アジアのファイナルで見てきたもの サウジアラビアの歴史、サンドバギー、そしてカプサ
新型コロナウィルスの影響で、Jリーグが中断している。ようやくサッカーのある週末が戻ってきた直後の出来事で、一抹の寂しさは拭えない。
ぽっかり空いた時間と心。隙間を埋めるようにサッカー関連の記事や動画を漁っている。
そして、こんな記事が目にとまった。
記事で切り取られているのは、昨年11月のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦。我らが浦和レッズがサウジアラビアのアル・ヒラルに敗北した後のことだ。
記事の中で、表彰式を見守る浦和レッズの選手たちの振る舞いは、「実に堂々たる『ファイナリスト』」だと称されている。
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2019年、浦和レッズはファイナリストだった
トップチームだけではない。
浦和レッズレディースもまた、ファイナリストだった。
2019年12月、浦和レッズレディースは皇后杯の決勝を戦った。
当日は、数千人の浦和レッズサポーターを含む、1万人の大観衆で、素晴らしい雰囲気。
しかし、リーグ戦に続いて、日テレ・ベレーザの後塵を拝した。
熟知したアジアの戦い方を駆使して勝ち上がるも、アジアのトップとの距離をまざまざと感じさせられたACL。
新しいスタイルに取り組み、魅力的なサッカーを展開しながら、小さくない一歩が足りなかった皇后杯。
2つのファイナルで目にしたものは必ず、このクラブが大きくなるための糧になるだろう。
アジアのファイナルで目にするもの
ACLの現在のレギュレーションでは、プレーオフ、グループステージから準決勝までは、東西分かれて行う。
言うなれば、準決勝までが東アジアチャンピオンズリーグで、決勝が東西アジアのチャンピオンによる王座決定戦といった趣だ。実際、アルヒラルとの決勝は別の大会と言っても良いほどだった。
これを旅目線でいうと、アジアのファイナリストにならないと、西アジアへのアウェイ遠征は出来ないということだ。
そこで今回は、昨年11月のサウジアラビア遠征のうち、まだ紹介していなかった観光パートをお届けする。
リヤド随一の観光名所
遠征前に行ったインタビューで、サウジアラビアは、ムハンマド皇太子の下、観光に力を入れていると知った。
観光ビザの解禁はまさにその証左であり、僕も恩恵に預かった。
実際に訪れると、首都リヤドは必ずしも観光資源に恵まれているわけではなく、観光客の誘致はまだまだ発展途上な印象を受けた。
今のところ、旅に行きたい国をリストアップしても、サウジアラビアがリストの上の方に来ることはなさそうだ。
しかし、1~2日程度なら十分に楽しめる。
外せないのは、建国の祖アブドゥル・アジズの名を冠した歴史センター(King Abdul-Aziz Historical Center)にある、国立博物館(National Museum of Saudi Arabia)だろう。
建物も立派だし、展示も充実していたし、リヤド随一(唯一?)の名所と言って良い。今回の記事の主役である。
人類と宇宙
博物館の最初のセクションは、人類と宇宙(Man and the Universe)。
なかなか壮大なイントロだ。
足を踏み入れると、太陽系の惑星、パンゲア大陸と、理科の教科書に出てきそうな絵が続く。
歴史系の博物館が、自然史から展示を始めるのは不自然なことではない。地球の歴史は人類の歴史より長い。
しかし、ここで気になるパネルがあった。
人類は、アッラー(神)から、地球と地球上の生命を監督する役目を課されている。
うまく訳出できないが、コーランの2章30節も引用されている。
イスラム圏で歴史に触れるのは初めてなので、とても興味深い。
その後はまた理科的な展示に戻り、サウジアラビアで産出する鉱物などが陳列されていた。
ここでまた気になるパネルが目に入る。
ずばり、石油のできるまで。
サウジアラビアと言えば、なんといっても石油。産油量、埋蔵量ともに世界第2位。国家の歳入の3分の2を占める。
このセクションは、人類と宇宙というよりも、アッラーと石油という印象だ。
石と文字
次のセクションから人の営みが展示されるようになるが、その中心は石。
様々な石器、石に刻まれた絵、石を使ったモニュメント。
石は過去を保存し、現代へ伝えてくれる。
石に次ぐのは文字。世界最古の文字のひとつでもあるようだし、アルファベットの興りもアラビア半島とのこと。
文字は大事だ。文字がなければ記録することができない。何より、こうして記事を書くこともできない。
預言者の部屋
突然、全く雰囲気の違う一角に出くわす。
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