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「組織に敵も味方もない。」組織と前向きにつき合い始める3つのことば

またひとつ、企業の組織と教育をご支援する仕事に関わらせていただきました。やりきった経営陣の清々しい表情や、声を絞り出すかのように会社の未来を語った次世代社員の顔が思い出されます。

組織運営がうまく行かない日々は誰もが苦しい思いをします。思いや方向が一致せず、やるせない日や、眠れない夜もあったことでしょう。

そんなドラマにお付き合いさせていただきながら、「お互い様だったね」「明日から気を取り直してよろしくね」こんな声を聞けると、組織開発冥利に尽きます。

そこで、今回は組織を強くしたいリーダーや、組織の中で悩んでいる最中の方に、何か一つでもエールになればいいなと思います。私が組織開発案件の中で大事にしている3つのことをお伝えします。

組織開発の基本は“共犯者扱い”!?

「現場が正しくて、本社が間違っている。」

「株主の要請に答える経営は常に冷静だ。わがままな現場にこそ問題がある。」

どちらかが正しくて、どちらかが間違っている。この意識構造である限り組織開発のケアが必要です。なぜなら、この議論の行き着く先は意見の平行線。その先には不信感、絶交、分離が待っています。

私自身、コーチやファシリテーター役として主観が全く入らないわけではありません。どちらかの肩を持ちたくなる瞬間はあります。しかし、コンサルの師匠から教わった格言が、常に正しい判断へと戻してくれる気がします。

「組織には絶対的な犯人はいない。いるとしたら組織の全員が共犯者。まずそれを認めなければ何も始まらない。」

組織の中で”やり方”の間違いを指摘することは重要ですが、人の”考え方”や“あり方”を決めつけ、マウントを取ったり避難することは悲しいことです。そんな場面を目にしたら、先の言葉を思い出し、ご自身だけでも心を落ち着かせて冷静になり、取るべき行動を見つけていきたいものです。

無知が生む悲劇

では、なぜ組織の中で敵や味方などが分離してしまうのか。ヒアリングやコーチングを通して組織内の人の声を聞くとあることに気づきます。

多くの場合、相手のことを知らないのです。

また、これまでよく知り合った間柄であっても、コミュニケーションの頻度が下がると誤解をしていたり、知らないことが増えているのです。

つまり、無知が悲劇を生む。これは組織の話に限らず、歴史上の史実をみても明らかではないでしょうか。

知らないことを恐れず、認め、謙虚で素直な気持ちで相手の意図や背景を聴きたいものです。

相手は、自分が言ったことをわかってくれるわけではない。

話を聞いてくれる人が言ったことを、わかるのです。

「知っている」人こそ謙虚さが必要

最後に、なぜ無知が生まれてしまうのか。

私は”謙虚さ”が極めて大事だと思っています。

そこで、謙虚さについてコーチングの師匠から教わった言葉を紹介したいと思います。

謙虚さと自己卑下は根本的に違う。

自己卑下とは周囲からのフィードバックを受け取らない態度。つまり、指摘に対して「そんなはずじゃない」とか、称賛に対して「私なんかが褒められるわけがない」といった具合です。

一方で謙虚さは周囲からのフィードバックを真剣に受け止め、信じること。指摘をされたら相手の気持ちに共感し、称賛に対しては「言ってくれて嬉しい気持ちです」と受け入れる具合です。

私達は自信がなくなると、謙虚にフィードバックを受け止められなくなります。自分がダメだという情報のみ収集しようとします。(網様体賦活系RAS)

すると、自分について無知なことが増えます。自分の無知は、相手への無知とつながるのでしょう。

やがて、小さなこだわりの中で人を選別し、マウントを取り、敵と味方に分ける。こうした構図が組織の幸福感を阻害します。

もしも、心が曇ったら

そこで大切なことは、無理に自信を持つことでもなく、不自然な褒め言葉をかけることでも、非科学的に強みを発見することでもない。

ただ、ありのままの事実である「組織には敵も味方もいない」ことを自問自答することです。

ほんの小さな事実を見つめるだけで、心が軽く動いたら、組織はすでに新しい一歩を踏み出しています。

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