堀部やすし(杉並区議会議員)
議会改革についてパブリックコメントを実施してみた(報告)
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議会改革についてパブリックコメントを実施してみた(報告)

堀部やすし(杉並区議会議員)

杉並区議会で議会基本条例・議会改革に関するパブリックコメントを実施しました(2022年1月)

民主党都議から転身した杉並区長も既に在任12年近くに及んでいます。この間、なかなか進展なく苦慮していたのが「議会改革」だったのです。

都議から転身した現区長はよくも悪くも老獪で、議会対策が巧妙でした。

議員出身であるがゆえに、最初から「議会対策のツボ」をよく心得ていたのですよね。議員を手懐けることに長けていたのです。

杉並区政「区民と議会」議会基本条例の解説


議会BCPの策定、ICT化、オンライン会議対応などは進んだけれど


長く産みの苦しみが続いていましたが、ここにきて①感染拡大とともにオンライン会議のトライアルを開始し、②議会BCP(業務継続計画)の策定、③ペーパーレスから議会活動のICT化推進、④さらに全ての委員会を必要に応じてオンライン会議とすることなどが可能となりました。

ただし、これらは単に「技術的な課題」を解消したに過ぎないのですよね。

日本の地方自治制度は、執行機関(長)と議事機関(議会)を分離独立させていることが特徴ですが(二元代表制/大統領制)、その趣旨を踏まえたチェック・アンド・バランスが働く本質的な議会改革が遅れているのです。

このような現状の中、やっと実施に漕ぎ着けたのが今回のパブリックコメント手続でした。


パブリックコメントには57項目もの意見が寄せられた


今回のパブリックコメント手続は、杉並区議会だより最新号(2022年1月1日号)、杉並区公式ページ、杉並区議会公式ページなどを通して告知し、広く意見を求めました。

おかげさまで、この1ヵ月の間に57項目のご意見をお寄せいただきました。内容も広範に及んでいます。ご協力ありがとうございました。

議会改革という地味なテーマであったにもかかわらず、関心を持ってくださったことに感謝しています。これは杉並区議会への期待と受け止めなければならないと思うのです。

個人的にも(公式ページを通さない形で)いくつかご意見をお寄せいただきました。取組を進めてよかったと心から思いました。

議会事務局を通じて公式にお寄せくださったご意見には、まず2022年3月15日時点における課題整理の状況を公表し、簡単なコメントを付しています。

こんな感じですね(全13ページ)。

コメントは、一連の条例・会議規則・要綱の制定改正が揃った年度末の課題整理として現況を説明しているものです。

本音を言えば、もう少し深く考え方を整理し煮詰めたかったところですが、57項目全てについて時間をかけて煮詰めていると、いつになっても成案を公表することができません。それでは次のステップに進めないことから、まずは年度末を期限として作業を進めました。

議会全体で合意形成に至らなかった課題については興味深いご指摘があってもコメントできなかったり、辛辣なご意見になかなか苦しいコメントをしていたりする部分もあるのですが、それも含めて議会オフィシャルで公表したことに意義があると考えています。


実施後の条例等見直し修正は6項目


杉並区議会は、他自治体に比べて議員の思想信条が多様で幅広く、個性的です。

これには肯定的な意見もあれば、否定的な意見もありますが、多様なものの考え方や価値観が議論に反映される可能性があること自体は個性であり強みと受け止めています。

一方で、トップダウンの効く区長(独任制)と異なり、議会は「合議制」であるがゆえに合意形成に時間がかかることも事実です。ここはウィークポイントでもあります。

民主主義に必要不可欠なプロセスですが、社会の変化から極端に遅れることのないよう常にその弱点にも意識を欠かさないでいることが必要です。

その意味で今回のパブリックコメント手続を通して「いま抱えている課題」を整理し広く共有することができたことは有り難いことでした。

パブリックコメント実施後の見直し修正は6項目。文言として修正はされなかったものについても、いくつか論点整理を進めることができました。

新年度はこれを踏まえて取組を次に進めることができます。ご協力くださったみなさん、ありがとうございました。


特に多くの意見が寄せられたのは請願・陳情の取扱い


特に多くのご意見があったのは、杉並区議会に提出される請願・陳情の取扱い(慣行)についてです。

1.委員会に全件を付託する伝統は守られていたけれど

杉並区議会においては、正規の手続きで議会宛に提出された請願・陳情を原則すべて各委員会に付託し、委員会の審査対象に位置付けることが伝統であり、慣行となってきました。

単に供覧(現在は電子回付)して終わりとせず、古くから原則すべてを委員会に付託し、委員会審査の対象としていたことは誇るべき運用であり伝統のはずでした。

しかし、昨今は、事案の複雑さや合意形成の困難さから委員会に付託して終わりとしている案件も少なくなく(執行機関が審査入りを嫌がるケースも少なくなく)、それが苦情に繋がっていたのです。

2.区民意見の陳述(補足説明の機会)に実施の根拠がなかった

議会に請願・陳情を提出された方の実情を把握するため、対面で陳述(補足説明)の機会を提供する慣行も古くから行われていました。

委員会審査に先立って陳情提出者に連絡し、そのことを打診するなどは、特にルールがなくとも実施されていた慣行だったのですが、これも骨抜きにされているケースが確認されました。

あくまで「慣例」として実施されていたに過ぎなかったため、委員長や事務方の判断により対応差があったのです。公式の記録にその概要が残ることもありませんでした。

また、昨今は「みなし不採択」などの手法もしばしば採用されるようになり、補足説明の打診を省くケースが発生していたことも問題視されました。

3.誰でも請願・陳情できるように

杉並区は、自治基本条例2条において「区民」の定義を「区内に住み、働き、又は学ぶ人」と規定しています。

そのうえで「区民は、区政に参画する権利及び区政に関する情報を知る権利を有する」などと定めています(同条例4条1項など)。

しかし、コロナ禍を経験した今、ライフスタイルはいっそう多様となり、居住概念も、就業概念も、就学概念も多様化しています。区内不動産の所有者共有者が区内に常住していないケースなども珍しくありません。

このように社会が変化している中において、平穏に請願する権利を「区民の権利」「国民の権利」と狭く考えることは妥当ではありません。

もとより議会宛に正規の手続で提出されれば、常住者以外の請願・陳情についても従来から審議対象にはなっていましたが、そのことは必ずしも知られていませんでした。

4.改善に向けて

今回のパブリックコメントでは、議会審議の中で請願・陳情をより直接的に取り上げることへの期待感が強いことがわかりました。

思えば、平成中期まではオフィシャルな委員会で頻繁に陳情審査を行なっていたのですよね。それこそ「スーパーの出店に反対してください」といった内容の陳情についても時間をかけて意見聴取し、審議していました。

変化したのは平成後期(山田区長の末期〜田中区長就任後の時代)からなのです。これまでの田中区政の全期間が異常だったといっても過言ではないのです。

請願・陳情の取扱いについては、今回これまで慣例・慣習として行われていたに過ぎなかった陳述(補足説明の機会)に実施の根拠を設けることになりました。条例化ですね。

プライバシーへの配慮など新たな課題も生まれていることから、陳述を義務化するようなことまでは考えられていませんが、取扱いの改善に期待感が強い現状を踏まえ、さらに取組を強化することが必要です。


田中区政の12年は、議会改革への歩みをひたすら押し戻される12年


杉並区議会は、田中区長の就任8ヵ月後に「議会改革の推進に関する決議」を行っています。

2011年3月11日、東日本大震災が発生した日です。

この決議に至る背景には様々な要因がありましたが、全会一致で決議されたのは、杉並区議会の現状に対する強い危機意識の表れでもありました。

しかし、その後も歩みは遅々として前に進むことがなかったのです。

2012〜2013年頃には新たな形で行う区民との意見交換会を企画するなど機運も盛り上がりましたが、現区長とその取り巻きに見事に冷や水を浴びせられ頓挫しています。

その後も、①区長の恫喝を受けて議会の審議が突然急に打ち切られる出来事が発生したり、②コロナ禍を口実に議会審議の短縮が行われたり、③区長提出議案の採決(賛否表明)にあたり会派拘束/党議拘束を受けて退席を余儀なくされる議員が繰り返し出現したりと、公の場での発言・討議を封じ込める「前時代的な政治」が幅を利かせました。

田中区政の12年は、議会改革の歩みをひたすら押し戻される12年だったのです。

新たに見直し成立させた議会基本条例、委員会条例、会議規則、さらにはオンライン会議実施要綱などを活かしながら、今度こそ取組を前に進めていきたいですね。


議事機関は、公明正大に議論し討議を行ってこそ、価値を持つ


議論を活発化させていくため、先の予算議会においても、本会議で予算の修正動議を提出するなど無所属議員による議会活性化の取組も強化を図っています。

議事機関(議会)は、公明正大に議論し討議を行ってこそ、価値を持つものです。

執行機関(杉並区長)の追認機関に陥っていたのでは、地方自治法の立法趣旨にも反します。

なぜ、法が執行機関(長)と議事機関(議会)を分離独立させているのか、その原点に立ち返って課題に取り組む必要があるはずなのです。


これからも風通しのよい杉並区政の実現をめざして努力を重ねていきます。応援してくださいね。

議会公式でパブリックコメント手続を実施し、課題に取り組むことができたのは、みなさんの応援のおかげです。いつもありがとうございます。

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堀部やすし(杉並区議会議員)
過去すべて無所属・無政党で当選しています。 小学校入学後、父が突然死し、日常が一変した日が自分にとっての原点です。 富山県生まれ。名前の由来は堀部武庸(堀部安兵衛)。