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法螺貝談義(第63話)

思い通りにならず、うまくいかない事への態度で得られるものはとても大きく、その気付きを与えてくれるのも法螺貝です。

法螺貝は基本は唇の左側か右側のどちらかを使って音を出します。

とにかく最初は違和感でしかありません。

これは最初はこの動作そのものが非日常だからで、自分の唇でさえうまく動かないという事を痛感します。

練習の過程の中で、自分の身体も心も思い通りにならないという気付きがあったりと、得られる事はたくさんあります。

法螺貝を思い通りにしたいという気持ちは、深く追究していると誰にでも起きます。

そんな思いも認めながらも、うまくいかないからこそ工夫し考えます。

たまに迷い込んで、何が正解かわからない事も出てきますが、わからない事は実はよく考えると良いことだと思います。

人間はわからないから不安にもなりますが、逆に何もかもわかってしまったら毎日が途端に面白く無くなってしまいます。

わからないという事自体が、実は人生を面白くさせている面もかなりあります。

UFOキャッチャーも取れるかどうかわからないから面白いわけで、100パーセント取れるUFOキャッチャーがあったら面白くありません。

仮に明日何が起こるのか先に全てわかってしまったら違う意味で恐ろしいですし、小説も漫画も映画もこの先の展開がどうなるかわからないから面白いのであって、

ある意味でこの点において、人は救われているという面もあるかもしれません。

わからない事、思い通りにならない事そのものが、大きな視座で眺めると実は毎日を面白くさせている根本になっています。

答えのあるテストと違い、世界には一辺倒な答えなんてないので、こういう過程の中で試行錯誤したりすることが後々役に立ちます。

これだけ科学技術が進み、宇宙に鉄の塊を飛ばす技術があっても、まだ来ていない明日に、何が起こるのかすら誰もわかりません。

人間のご都合主義にはならない、わからないから「決めつけない」という態度が啓けてきます。

知ったつもり、分かった気にならない事。

違う法螺貝を吹くと毎回身体の運び方も違ってきますから、法螺貝に歩みよる態度になります。

これは人間関係でも、相手を決めつけない、意図や状況を把握して接するという態度を教えてくれます。

法螺貝から学べる事は山ほどあり、日常でも役に立つことばかりです。

先が分からない事や、もともと思い通りにならない事が前提だからこそ、余計な力が抜けますし、日々の面白さにもなります。

「一切皆苦」とは良いものです。

YouTube「立螺」


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