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湯上がりに読書!? 温泉併設「温泉図書館リミテッド」リスト大公開!


まえがき

図書館ウォーカーとして日本全国の図書館を訪ねてきました。

図書館ってほんとに多様な施設で、その特徴にもいろんなものがあるのですが、僕は「図書館勝手ゴライズ」(図書館を勝手にカテゴライズする)と名付けた分類法で整理しています。

分類法というと大げさですが、例としては「海が見える図書館」「展望塔がある図書館」「駅図書館プレミアム」(駅舎併設)などなど、図書館機能などに基づく専門的な分類ではなく、立地や建築などの表面的な特徴に沿ってカテゴライズする、という楽しみ方です。

その「勝手ゴライズ」の中に「温泉図書館」というものがあります。これは同じ建物の中に温泉(以下「公衆浴場」も含む)が併設されているか、または隣接か最寄りの施設が温泉という図書館のことを指します。

上で「または隣接か最寄りの施設が」と書いていますが、勝手ゴライズは条件付けをあまり厳格にすると該当する図書館がかなり少なくなってしまうので、かえって楽しめなくなるんですね。なのであまり固いことを言わず、ちょこっと条件をゆるめて対象館を増やすのが楽しむコツかと。

温泉図書館も全国各地にあって、見つけたらなるべく優先的に行くようにしているのですが、条件付けが厳しいほう、つまり「同じ施設の中に図書館と温泉が併設されている」という館はさすがにかなり少ないです。駅図書館プレミアムふうに名付けるなら、温泉図書館リミテッド?(笑)

というわけでここでは、湯上がりの汗をふきふき屋外に出ずに入館してすぐに本が読める「温泉併設」型の図書館「リミテッド」をリスト化してご紹介します。中には流行中のサウナも備えた温泉もあるでしょう。ただ、あくまで僕が調べた範囲内で判明しているものですので、実際にはまだ他にも存在するかもしれません。

だいたい北から南の順に掲載します。オラシオが訪問済みの館については写真も載せ館名の横に☆マークをつけています。またグーグルマップのリンクや、その下に書籍「図書館ウォーカー」シリーズと同じく公共交通によるアクセス情報も併記しますので、行ってみたくなった方のお役に立てば幸いです。

温泉併設図書館リスト

西興部村公民館図書室(北海道)

この記事をアップしXでシェアしたらすぐ「わが町を知ってもらうなら! 北海道の図書館員が薦めるブックガイド」編著者の加藤重男さんに教えていただきました!
西興部村は道北にある自治体で、位置的には下川町とオホーツク沿岸の興部町の間にあります。教えていただいて早速調べてみたのですが、なんとこちらの公民館は大浴場(温泉ではなく人工の光明石温泉のようです)のある「ホテル森夢」が併設!しかも同じ敷地内には美術館の「木夢」もあります。
ホテル内にはレストランもあるようですが、現時点では通常営業をやめ宿泊者限定で食事提供する形になったみたいですね。これはもうここに泊まるしかない!

アクセス情報:名士バス興部線西興部バス停から徒歩3分。

むかわ町まなびランド図書室(北海道)

最近は、香山リカさんが移住し町診療所の副所長になったことでも話題のむかわ町。町には香山さんが就任した山側の「穂別」と、海沿いの「鵡川」の2つの中心地があり、後者のほうにあるのがまなびランド図書室です。
なんとここ、道の駅、物産館、ホテル、温泉、文化ホールが併設されたハイパー複合施設「むかわ温泉四季の湯」の一部なのです。しかもホテル宿泊者は宿泊期間中限定で所蔵本を借りることもできるそう。難点は開館が13時からと遅いこと(夏休み期間中は10時から)。

アクセス情報:JR日高本線鵡川駅から徒歩12分。道南バス高速ペガサス号、または静内~苫小牧線の鵡川四季の館前バス停下車後すぐ。

石巻市図書館牡鹿分館(宮城県)

石巻市と女川町に属する牡鹿半島は、典型的なリアス地形の複雑でギザギザな形。すぐ東には島の金華山もあり、豊かな海の恵みで知られる三陸沿岸の中でも特に有名なところです。
半島最南部に2つの先端があるのですが、そのうちの北側のやや小さいほうの高台に建つ複合施設「牡鹿交流センターほっとまる」内にこの図書館分館があります。ほっとまるは温水プール、浴室&サウナ、トレーニングルームと図書館という構成。
図書館のすぐ外や海の見える二階には屋外テラスもあり、広い休憩室も。またプール利用者用のジャグジーバスからは海が見えるようです。

アクセス情報:ミヤコーバス鮎川線の鮎川小学校前バス停から徒歩20分弱。牡鹿地区市民バス寄磯~鮎川線または泊~清優館線清優館バス停下車後すぐ。

小国町おぐに開発総合センター図書室(山形県)☆

新潟県の関川村と接する県境の自治体、小国町。日本でも指折りのローカル鉄道路線として知られ、鉄道紀行作家の故・宮脇俊三が名著「時刻表昭和史」で描いて以降「鉄ちゃんの聖地」となった今泉駅を含むJR米坂線の沿線で、とても山深い地域にあります。ちなみに、熊本県にも同じ名前の「小国町」(どちらも「おぐにまち」)があるので間違わないように。
図書室は3階にあり、温泉は1階です。ここ、お湯は温泉なのですが、2人入ればもういっぱいの小さな小さな浴槽です。備え付けの石鹸などもまったくありません。そのかわりなんとたった200円!

おぐに開発総合センター外観
第3会議室という名ですが休憩室としても使えます

アクセス情報:JR米坂線小国駅から徒歩10分ほど(現在今泉~坂町間は運航休止中のため代行バス)

白河市立東図書館(福島県)

白河市と図書館、と言えばなんと言っても中央図書館/本館的存在の「りぶらん」が業界内では有名です。なかなかご縁がなくてこちらにも行けてないのですが、白河市内館で個人的に今いちばん気になっているのは東図書館のほう。だって、だって「きつねうち温泉」併設(文化センターも)なんだもん!
白河市内と言ってもかなり東側、郡山から水戸をつなぐJR水郡線のほうに近いエリアにあります。が、白河駅のあるJR東北本線、水郡線の双方からかなり離れていて、典型的な「車を運転しない旅行者にとってはとてもアクセスしにくい、地元の人ファーストな立地」の図書館と言えます。

アクセス情報:福島交通バス石川営業所線刈敷坂バス停から徒歩30数分、棚倉営業所線東庁舎バス停から徒歩25分。

新潟市立潟東図書館(新潟県)

日本海側の都市では人口がいちばん多い80万人を誇るアーバン・シティ新潟市。市内には市立中央図書館「ほんぽーと」と、やや郊外に位置する名建築館の県立図書館という2つの有名館があります。
ただ新潟市は人口が多いだけあって市立の分館的図書館もたくさんあり(計23館!図書室はのぞく)、そのうちの1つ潟東図書館は公衆浴場施設(温泉ではないようです)併設です。ここも上の白河市立東図書館と同じく公共交通ではなかなか難しい場所にありますが、すぐ近くには歴史民俗資料館や美術館、鎧潟水生公園などがあり、行けば公衆浴場含めいろいろ楽しめそうです。

アクセス情報:新潟交通観光バス白根桜町ー漆山ー巻駅前線茨島バス停から徒歩徒歩20分。

滑川市立子ども図書館(富山県)☆

こちら書籍「図書館ウォーカー」の1に掲載していますので、詳しくはそちらをご覧ください。
複合施設「滑川市民交流プラザ」の2階にあり、5階には公衆浴場「あいらぶ湯」(温泉ではないようです)、4階にはレストラン、そして6階相当の屋上には立山連峰や富山湾がほぼ360度見渡せる展望コーナーが。またすぐ近くに本館にあたる滑川市立図書館があります。

滑川市民交流プラザ外観
屋上から眺めた富山湾

アクセス情報:あいの風とやま鉄道・富山地方鉄道本線滑川駅から徒歩6分。

川北町立図書館(石川県)

石川県は近年、県立図書館、金沢市立海みらい図書館、野々市市立図書館併設の「学びの杜ののいちカレード」など、話題の新設館頻出の県ですが、個人的には温泉「ふれあいの湯」併設のこちら川北町立図書館も注目しております。
川北町は白山市のすぐ南にある自治体ですが、町内には鉄道駅はありませんのでバスによるアクセスになるようです。

アクセス情報:北鉄白山バス川北線川北温泉バス停からすぐ。ただし川北線は土日祝運休です。

かすみがうら市立図書館本館(茨城県)

霞ヶ浦北部の、まるで半島のような状態に張り出した部分にあるかすみがうら市。ここもまた鉄道がなくバスでしかアクセスできない自治体ですが、トレーニングルーム、公民館、カラオケ集会施設、公衆浴場(温泉ではないようです)に図書館が併設された一大複合施設「霞ヶ浦コミュニティセンター」が見逃せません。
同センターは今年の4月1日に「あじさい館」から名称変更したそうです。ただ、残念ながら浴場は故障中とのことで現在利用停止中とのこと。復活を待ちましょう。

アクセス情報:霞ヶ浦広域バス霞ヶ浦コミュニティセンターバス停からすぐ。ちなみに同路線はJR常磐線土浦駅前から出ています。

松戸市立図書館和名ヶ谷分館(千葉県)

松戸市は、青森市に移住する前に住んでいた東京時代に仲良くなった友人の出身地でもあるのでいつか市内の図書館に行ってみないとな、と思っているのですがなかなか実現しません。
で、目をつけているのが体育館、温水プール、トレーニングルームに浴場(温泉ではないようです)と図書館分館が併設された和名ヶ谷スポーツセンター。立地的にも、JR常磐線松戸駅と京成成田空港線東松戸駅のちょうど間くらいで、そんなにアクセスも難しくなさそう。ちなみに入浴料は市外からの人だと料金が倍の820円になるみたい。
それにしても、ここまで見る限りトレーニングルーム併設の温泉図書館けっこうある気がしますが、両方(トレルと図書館)利用する人ってどれくらいいるんでしょうね。

アクセス情報:松戸新京成バス松戸駅東口~新東京病院線和名ヶ谷スポーツセンターバス停からすぐ。松戸駅東口~東松戸駅線(如来堂経由)庚申塔バス停から徒歩5分。

青梅市中央図書館(東京都)☆

こちら書籍「図書館ウォーカー」の1に掲載していますので、詳しくはそちらをご覧ください。
JR青梅線河辺駅と「日本一美しいペデストリアンデッキ」(私選)で結ばれたビルに図書館と温泉があるのです。

こちら図書館と温泉がある河辺タウンビルB
ほら、このとおり!

アクセス情報:JR青梅線河辺駅から徒歩1分。

横浜市寿町健康福祉交流センター図書コーナー(神奈川県)

何度も行ったことも泊ったこともある横浜市にも温泉図書館がありました。石川町と伊勢佐木町にはさまれたエリアにある複合施設です。診療所(内科・精神科)、健康コーディネート室、多目的室や調理室にちゃんと貸出もできる図書コーナー、公衆浴場「翁湯」(温泉ではないようです)がくっついてます。しかも上には市営住宅もあるらしい。
くうう、気づいてなかった。最近1年間でもこの周辺に2回泊まったので、知ってたら行ったのに!今度こそ。

アクセス情報:JR根岸線石川町駅から徒歩8分。横浜市営地下鉄ブルーライン伊勢佐木長者町駅から徒歩10分。

呉市倉橋図書館(広島県)☆

こちら書籍「図書館ウォーカー」の2に掲載していますので、詳しくはそちらをご覧ください。
ここはいくつかの棟がデッキでつながっている構造でそれぞれ別の棟にあり、完全な屋内移動で図書館と温泉を行き来できるわけではないのですが、建築デザイン的にも面白いですし、島の南端にあるため建物上階などから松林越しにきれいな海も見えるのでおすすめです。

図書館のある棟
併設の桂浜温泉館(左側が図書館のある棟)

アクセス情報:広島電鉄バス呉倉橋島線桂浜・温泉館バス停から徒歩1分。

朝倉市中央図書館(福岡県)

こちらは温泉ライター高橋一喜さんの単著デビュー作「日本一周3016湯」を拝読して知った館。朝倉市は久留米市の北東側にある自治体で、秋月城がある秋月地区はいわゆる「小京都」の一つらしいです。
図書館があるのは、2つのサイズの文化ホール、生涯学習センター、保健福祉センター、そして温泉の「卑弥呼ロマンの湯」が併設された一大総合施設「ピーポート甘木」内。温泉に卑弥呼の名前が充てられているのは、邪馬台国がここにあったとする説からでしょう。
ただしここはそれぞれの建物が分かれて建っていてアーケードふうの巨大な屋根の下でつながっている構造のようなので、温泉と図書館を行き来するには微妙に屋外移動になりそうです。

アクセス情報:西鉄甘木線甘木駅から徒歩10分、甘木鉄道甘木駅から徒歩12分。

三島開発総合センター図書室(鹿児島県)

こちらは鹿児島県と言っても本土ではなく離島の硫黄島にある複合施設。ちなみにこちらの硫黄島は、第二次世界大戦で苛烈な戦場となった同名の島(現在は東京都内にあたる)と区別するため「薩摩硫黄島」と呼ばれることもあります。
三島村はその名の通り硫黄島、黒島、竹島の3つの島からなる自治体です。硫黄島の半分ほどを占める硫黄岳は活火山で、大きくない島内に多くの温泉があります。
そのうちの一つが、図書室も併設の総合開発センター内にある温泉。鹿児島港からのフェリーも停泊する港のすぐ目の前にある建物なので、温泉の窓からも海が見えるそう。図書室は2回にあるみたいなので、ここからも海が見えるのかもしれません。港周辺の海水は温泉の鉄分がまざって茶色に染まっています。ちなみに、施設内には歴史資料館も。

アクセス情報:鹿児島本港からフェリーみしまで約4時間、硫黄島港から徒歩3分。


というわけでした。温泉図書館リミテッドは今のところ計15館ですが、僕まだ4館しか行ってないですね(笑)
他にも知ってるぞ!という方はぜひコメントで教えてください。また、興味ある方はぜひ温泉やサウナでくつろいでからの図書館で読書、をぜひ楽しんでくださいね。

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