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図書館ウォーカーは「孤独のグルメ」になれるか?

僕の初の単著「図書館ウォーカー 旅のついでに図書館へ」(日外アソシエーツ)、ありがたいことに増刷されました。まだまだ絶賛発売中です。

旅という視点から図書館を見るというコンセプトは、意外と誰も書いていなかったものです。本を出してからちらほら「自分も旅先で図書館を訪ねてる」的な感想を見聞きすることがあり、それなりに同じ趣味の人がいるみたいなのですが、それを読みものにして人に伝えるということを考えた人がこれまでいませんでした。

さて、本の「あとがき」に書いたのですが、個人的には図書館ウォーカーが「孤独のグルメ」みたいな擬似ドキュメンタリー風ドラマになればいいなと願っています。

ドラマになると本が売れるから、と言うより(笑)、いくつか共通点が見られ、同じような作り方ができるのでは?と思ったからです。ではその共通点を挙げてみましょう。

1.「内心」をセリフのメインにできる
近年はゾーニングなどの対策をとることで飲食やおしゃべりができる図書館も増えてきましたが、基本的に図書館は「静かな空間を維持」という方針のところが多いです。
つまり、主人公である図書館ウォーカーが入館してから館内を見回って感じることは全部「口には出さない」セリフになります。
孤独のグルメの主人公が入店してメニューを決めるまで、そして食べている間に考えていることがセリフとして流れるのと同じ展開ではないでしょうか?

2.意外とドラマチックな旅です
書籍への感想を見ていると、僕が淡々と各地の図書館を訪ねているふうに読んでくださった方も多いみたいですが、数時間に一本しかないバスや列車に乗り遅れそうになったり、唯一の移動手段だった公共交通ルートが運休したり、行ったら図書館が開いてなかったり、アクシデントけっこうあります。
また、僕はあまり「地元の人たちとのつながりを作りたい!」というタイプではないので自分から話しかけたりはしないのですが、コミュニティバスの運転手さんとかその辺を歩いている人と偶然会話することになったり、いわゆる「心温まる交流」系の出来事も多いです。
孤独のグルメでもクライアントに会いに行っていろんな出来事がありますから、同じような感じで作れるんじゃないでしょうか。

3.歩く人目線
孤独のグルメの井之頭五郎は基本的に出張先で歩いてますよね。それも観光地とかではなくふつうの街を。
図書館ウォーカーは「旅そのものをより楽しむための図書館めぐり」が基本コンセプトですが、それは図書館の立地が観光者向けではなく、その街の日常に囲まれた場所にあるので、ちょっと違った視点の街歩きができるからです。
五郎は街並みを眺めてなんやかんや考えながら一人で歩いていますが(そしてその「思い」がセリフになっている)、それは図書館ウォーカーの旅とまったく同じです。
車を運転して移動する回がほとんどないのも大きな共通点だと思います。

4.もちろんグルメ情報もあり
図書館ウォーカーに対する否定的な感想の一つに「グルメ情報なんか要らない、図書館と関係ないこと書くな」というのがありました。
僕としては、図書館というのは地元文化と密接にかかわった施設なので、周囲のカルチャーやグルメをご紹介するのも図書館に関係あるだろうという考え方です。なぜ切り離そうとするのか、よくわかりません。
まあそれはさておき、僕は旅先の名産品を食べたり、買って帰ったりするのが大好きです。ソフトクリームとかすぐ食べます(笑)。
いわゆるご当地グルメとして有名なものもあれば、地元系スーパーに行ってたまたま見つけたもの、偶然見つけたおいしいお店など図書館ウォーカー旅のなかで食べ物を堪能しまくっています。
「食べる」ということについては孤独のグルメと共通するところがあるのではないでしょうか。

さて一方で、相違点もいくつかあります。

まず、公共図書館でドラマを撮影することはけっこう難しいという点です。飲食店だとたぶんお金をお支払いすればまる1日貸し切りとかできるでしょうし、宣伝にもなるので双方にとっていいのかもですが、図書館は違います。
あと、図書館ウォーカー本文では基本的に館内のことはあまり描写していないので、ドラマ版ではそこをさらに作り込んでいかないといけません。僕は図書館の見方がかなり表面的かつ浅いので、入館してからの部分をどの程度面白いものにできるのかは未知数です。
もう一点、僕はかなり「公共交通移動の中の出来事」を重点的に書く傾向があります。公共交通はその街のパブリックな空間の一部なので、乗るだけで旅先に少し入り込めたような気分になるのと、景色とか他の乗客の会話とか五感で楽しめるところもけっこうあるからなんですね。でも公共交通での撮影もなかなか難しいですよね。
あとは、図書館ウォーカーをいったい誰に演じていただくのか?という最大の問題があります(笑)。僕自身はダサいおじさんなので(でもオタクっぽい見た目ではないと思います)、感じの良い中年の俳優さんに演じていただけると嬉しいですね。あとは、思い切って女性にするのもありかなと思っています。

そんなこんなで「図書館ウォーカー」を孤独のグルメみたいなドラマにしたいのですが、はてさて可能性はあるのでしょうか? 
僕は前にここnoteで書籍の元になった新聞連載を紹介する記事を書いて「本にしてくれる出版社募集」をしたらほんとうに打診があって書籍化されたので、ここでもいちおうボールを投げておくことにします。
妄想や企画売り込みを書くのはタダだし、自由です。だから書いておくことにしました~。

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