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素敵な人の知り合い、素敵なのはなんでだろう。『希望をくれる人に僕は会いたい』若木信吾

人について知るとき、誰かの紹介が入るとより広く、その人について知ることが出来ると思う。切り出し方は、言葉に、写真に、映像と、いろいろあるけど、手法は問わず、自分の好きな人、憧れている人が「この人良いんだよ、っていうのはね...」みたいな感じでお話しているのを聞いた日には、「俺も話してみたいっす...」みたいな気持ちになる気がする。

テレビっ子、雑誌っ子の僕からすると、インタビューの対談相手とか、「〇〇特集」ってときに特集相手にコメント寄せてるパターンで興味を持つことが多いんですよね。又吉直樹特集で言うならパンサー向井、ジューシーズ児玉、本で言うなら星野源は又吉直樹の対談相手で深く聞くようになった。

誰が語るのかというポイントは重要で、「なんだかこの人洒落てるな...」って思う人が語っているものはチェックしたくなる。多芸な人に惹かれるのは、いろんな目線を持ってるように見えるからかもしれない。

昔から自分にその傾向はあったけど、より注意深く、どのように表現するかを考えるようになったのは、大学2年生頃にインタビューを通して、人の歴史や考えを記事化するようになってからだと思う。

聞いた話を、そのまま文字に起こして「はい、どうぞ。」と公開するだけだと思っていた時期もあったけど、取材を重ねるうちに、そんな生半可なことじゃねえぞこれは、ということに気づき始めた。

何かを表現するということ、そして人について表現するときに、自分の力量を問われているように感じる。感じた力を言語化する能力、適切な言葉の当て方、それに到るまでに日々どれだけの本を読み、生活を過ごしてきたのか的な感じで考えていくと、日々研鑽を積んでいる感じがしてきて、多少生きづらくなるから、時折り忘れるようにしている。

肩肘張ることなく「おお。。これいいなあ。。」っていう本に出会い、読み進めていくうちに、「今度の取材ではこういう感じでやってみよう!」みたいな感じで、自然とモチベーションがあがって、試してみたいことが増える。そんな本屋での瞬間は、凄く良い。

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若木信吾さんをご存知だろうか。カメラマンであり、映画監督であり、浜松の書店「BOOKS AND PRINTS」のオーナーでもある。若木さんについて知ったのは、この記事だったように思うんだけど、「やらないで後悔するより、やって学ぼう」とか、「10年周期で考えることで、世の中に残るものが完成する。」とか、「モノづくりは、人生の中で一緒に歩むもの。」とか、わあなんかいいっすねえ...ってなる言葉が並んでいた。なにより着こなしとかかっこよかった。

若木さんの初のエッセイ&インタビュー集「希望をくれる人に僕は会いたい」は、30人の素敵な方々へのインタビューをただ言葉だけを載せるのではなく、インタビューを通して、 若木さんの言葉で、お相手のことや、それに対してこう感じたと言う感じで、言葉が綴られている。

国内から海外まで、職業もさまざま。若木さんが出会って素敵だなあと感じた人たちとの時間が、次々に登場していく。沿えられる各人の写真も、落ち着きのあるかっこよさがにじみ出ていて、こんな感じで写真を撮りたいなあと思わせる。

30人へのインタビューのページが終わると、若木さんのエッセイの項目が始まる。今回の取材で感じた想いや、文章、言葉への想い、 それにまつわる過去の体験が綴られていて、すぐに読み進めてしまった。

最後には、カメラマンである彼が、世界各地で撮影した写真が並んでこの本は終わる。

「人と関わって新しいことが発見できれば未来が訪れる。それが希望だと思う。だから僕はいつでも希望をくれる人に会いたいと思っている。」 

帯に綴られた文章には、とても共感する。僕も「インタビュー」をするようになって、人と人との会話が生活を楽しむ材料を与えてくれることに気づいた。生かされている感覚というか、普段はそんなこと言い出したらきりがなくなるから言わないけれど、本であれ、音楽であれ、人であれ、そういった出会いの瞬間が日々に彩りを与えてくれる。

やっぱり希望をくれるもの、そしてそれを作りだす人たちと一緒に生きていきたいなあ、そんな風に改めて思わせてくれる若木信吾さんの「希望をくれる人に僕は会いたい」、オススメです。

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