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27歳教員、中学校時代、居場所のなかった俺がYahoo!知恵袋に救われた話

「なんで学校の先生になったんですか?」

何度聞かれたか分からない質問。子ども、大人、問わずされる質問。

「なんとなくっすよ」

そう言ってはぐらかしてはきた。実際、教諭になったのは「受かっちゃった」からだ。「受けろ」と言われ、講師1年目に受けて、それっぽく話してたら受かった。受かってなかったら27歳の今、違う道のりを歩んでたかもしれん。

なんで教員になったのか。

それは「俺みたいな居場所のなかったやつに未来に希望を与えたかった」、それしかない。それ以外のなにものでもねえ。

小、中学校時代の友人はいない。高校、大学に入って仲良くなったやつしかいない。コンプレックスもあったが、27歳の俺は自分に誇りをもって生きられるようになった。

「どんなやつにもスポットライトを」、これは俺が中学校の教員として働くなかで座右の銘にしていることである。

それは13、4歳の俺が「Yahoo!知恵袋」の雑談カテゴリーで名前も知らない匿名の大人たちに温かくしてもらったことに起因する。

雑談カテゴリーの「ソウルくん」時代

なんで雑談カテゴリーに投稿し始めたのか。それは忘れた。

でも、インターネットが好きだった。小中学校特有の狭いコミュニティから逃げ道を作ってくれるインターネットが。エンタメもそうだ。

ブラウン管から見る世界は、いつだって俺を笑顔にしてくれた。

雑談カテゴリーでやっていたことなんて、ささいなこと。

「おはようございます!」から始まり、みんなに答えてもらう一つの質問を用意してスレを立てておくだけ。それで回答が来たら、その人の投稿を見に行って「回答ありがとう!」って言いながら顔見知りになっていく。

インターネット村。

あの村はとても俺に優しかった。俺を俺らしくさせてくれた。優しくしたいときは優しくできた。現実社会では分かり合えないことを、罵倒を浴びせられ、チョークを投げつけられる日々を、救い出してくれた。

いつからか100人ぐらいからコメントが寄せられるようになった。自信になった。温かさは、優しさってやつは、絶対に人に伝わるんだ、救うんだって自信になった。

その頃の先生たちが悪いとは一切思わない。当時は辛かったが、大人の立場からどうしようもないこともあんだろとしか思ってない。

でも、俺は。今の27歳の俺は。

希望の光ってやつを背中で語れる大人でありたい

お前は、お前のままでいいんだぜ。いろんな境遇があるよな、機嫌がいい日もあれば、なんかノってこない日もあるよ。俺はどんなお前も受け入れたい。それが人間だ。任せろ、俺がお前を守る。

そうやって言える人間に育った。それは家族のおかげであり、インターネット村の、今は何をしているか分からない人たちのおかげだ。

絶対に人を馬鹿にすることで笑いをとらねえ。それはガキのときに俺が心に刻んだ誓い。大人になるなかで揺らいだこともある。まさかそれをしている教員がいるとは思わなかったもんな。でも俺は、俺だ。

関わる人間とは幸せな関係でありたい。良い感じの距離感でありたい。それを察知できる自分でありたい。だから、俺は子どもたちから今日もまた学び続ける。

5時に起きることも何も辛くない。だいたい、こんなもんさ、マイライフ。昨日も今日も何も変わらない。信じたいことを信じたい。守りたいものを守りたい。今日も俺は子どもたちの前で語り、俺はチョークを握る。

ただ、それだけのこと。でも、今日もインターネット村に救われてる自分がいる。優しい社会でありたいよな。優しい自分でありたいよな。

そのままのあなたでいいんだ。俺はそれを言葉にして伝え続ける。仕事が違えど、役割が異なれど、やってることの軸は変わんねえ。

今日も誰かに支えられながら、泥臭く生きる。学校、行ってきます。

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