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コラム:『女性活躍推進』という表現、違和感あるけど必要?

依田真門(まこどん)

世界経済フォーラムが毎年集計しているジェンダー・ギャップ指数の発表が、今年も近づいてきました。日本は昨年146か国中で125位。一昨年の116位から大幅に順位を下げ、これまでの中で最下位という、残念な結果でした。日本は、万年劣等生という地位に長く甘んじています。今年は何とか挽回してほしいものです。

劣等生とはいえ、努力していない訳ではありません。2016年、政府は「女性活躍推進法」に基づく諸施策を開始し、企業に対して女性活躍に向けた行動計画の策定と数値目標の公表を義務付けました。具体的には、女性管理職の比率に応じて認定(えるぼし認定)を行い、優良な企業には“えるぼしマーク”の使用許可や公共調達での優遇など、インセンティブを与えています。

こういう取り組みは大いに結構だし、積極的に推進する企業を応援したいと思います。ですが、個人的には『女性活躍推進』という言葉に、ずっと違和感を感じてきました。20-30年前には“女性の活用”なんて言葉が使われていて、さすがにこれは、今は誰も使わなくなりましたが、“活用”を“活躍”としたところで、男女の非対称感は残っていて、個人的にはやはり、違和感が拭えないところです。

気になったので「女性活躍推進法」と同様の内容を持つ他国の法律の名称を、今回もChatGPTに聞いてみました。こんな結果です。(2つの法律や政令でカバーされているケースもあります)

タイ: Gender Equality Act B.E. 2558 (2015)
シンガポール:Tripartite Guidelines on Fair Employment Practices
イギリス:Equality Act 2010, Gender Pay Gap Reporting
ドイツ:Gesetz für die gleichberechtigte Teilhabe von Frauen und Männern an Führungspositionen (Law for the Equal Participation of Women and Men in Leadership Positions)
スペイン:Organic Law 3/2007 for Effective Equality between Women and Men
アメリカ:Equal Pay Act of 1963, Title VII of the Civil Rights Act of 1964

調べた限り、他国では単に“平等”とか“男女同等”の様な表現が使われているだけで、“女性”のみ表記している例は見当たりません。私が持つ違和感の元は、多分グローバルには共通なのだと思います。

では、現場の捉え方はどうだろうかと、経営課題に『女性活躍推進』を入れているある企業の人事の方(女性)が、ダイバーシティー担当もされているとのことだったので、打ち合わせのついでに聞いてみました。彼女の答えは、「経営の姿勢が明確になるので、“女性“の表記はあった方がいい」と、非常に明確でした。方針が出されてからは、社内的にも“何故わざわざ女性にするのか”のような議論をしなくてすむ様になった、とのこと。なるほど。実務的には曖昧さが消えた方が進めやすいんですね。確認はしませんでしたが、私が持っている様な“非対称”の違和感も、彼女は感じていないみたいでした。

“機会均等”とか“男女平等”とかでは弱い。明確に“女性”、“活躍”と明記して初めて変化が可能になる。これが日本の現実なのかもしれません。道のりは長い、ということかなあ、と、ため息が出てきました。

今年は100位以内…、無理かもしれませんが、希望を失わず、少しづつ少しづつ前進しましょう。

_/_/_/_/ ホープワークニュースレター vol.29_/_/_/_/
<希望の便り from ホープワーク協会>2024.6.7