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『母』から感じる青木さやかさん

昔『オーラの泉』という番組に、青木さやかさんが出た時「あなたはいずれ本を書いた方がいいよ」と言われていたのを覚えている。

青木さやかさんは、お母さんとの確執があり、それを消化するためにも本を書くのがいいと江原啓之さんに言われていた。

もう10何年も前の話なのに、そのことはすごく覚えていて、何となくずっと気になっていた。

テレビであまり青木さやかさんを見かけることが減ったにも関わらず、気になり、本を発売して欲しいなぁとなぜか思っていた。

しかし、なかなか本は発売されなかった。
(厳密には何冊か本自体は執筆して発売していたようです)

そんな青木さやかさんの本を7月に本屋で見かけた。


すごく楽しみにしていた私だったのに、その日は買わずに帰ってきてしまった。

どこか躊躇してしまう自分がいたのだった。

あんなに欲しかった本なのに。
あんなに読みたかった本なのに。

発売どころか、書く前から読みたいと思ってたほど気になっていた本なのに。
買わないで帰ってきてしまったのだ。

タイトルもそのまんま『


タイトルがまんますぎてちょっと引いてしまったのかもしれない。
何となく読むのが怖く、辛くなりそうで。

買わずに帰って来たら、ものすごく気になってしまった。
欲しくて欲しくて仕方なくなってしまった。

数日間、私の頭の中は青木さやかさんでいっぱいだった。

数日後、我慢できず、買いに行った。
(本屋が遠いので、平日買いに行くことがなかなか出来ません)
買ってきたその日のうちに、一気に読んでしまった。

「文章力に長けている」と江原さんに言われただけあって、とても面白くテンポよく読めた。
とても読みやすかった。

確執のあった母とのこと、ご自身が癌になったことなど、辛いことが書き連ねてあるのかと思いきや、そうでもなく、笑える部分も多くあった。

本の中には、人との会話のやりとりが多く出てくる。
その会話のやりとりは、心地よいリズムがありながら、どこかズレているような不思議な感覚。
不思議な文章力だった。
それがとても魅力的なのだ。

その微妙なズレ感が、青木さやかさんの『生きにくさ』を表し、絶妙に感じ取ることが出来た。

お母さんとの確執があったからこうなったのか、元々生まれもった性質で、だからこそお母さんとの確執が生まれたのかはわからないけれど。

お母さんが、ホスピスで最期を迎える数ヶ月。
お母さんとの最後の仲直りのチャンスをどう迎えたのかが描かれている。

許そうとしたこと。
許せなかったこと。
人を通して学んだこと。
子育てをして成長したこと。
自分を受け入れること。
人を受け入れること。
自分を愛すること。

自分のことが好きになれない彼女が、生きにくさと闘いながらも懸命に、時には道を外れながらも真っ直ぐに、そして不器用に生きている姿に、親近感と共感を覚えた。

愛の形はひとつではない。
自分の望んでいる形で愛をもらえるとも限らない。
自分の望んだ形じゃない愛は愛ではないのか。
そんなことも考えさせてくれました。

まだまだ彼女の中には、蓋を開けられていない部分もありそうという印象を受けました。

その蓋が開いた時、開けることが出来た時、また新しい本を執筆してくれると信じています。

青木さやかさんの『母』
私にとって2021年1番のおすすめの1冊です。

生きにくさを感じている方、お母さんとの確執があった方、まだある方、お母さんを許せない方には、ぜひ読んでいただきたい本です。

幸せをありがとうございます。


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