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幼なじみ〜きゅっとなる編〜

娘には幼なじみで、親友がいた。
保育所からの友達。

名前はYちゃん。
そのYちゃんとは、小学校も中学校も奇跡的にずっと同じクラスだった。

保育所にいた時は、娘の仲のいい子という認識はあったものの、さほど親とは話すことはなかった。
親子遠足でも仲良く遊んでいるのに、一緒にご飯を食べることをしなかった。

そんな風に過ごしていたのだが、卒園を控えたある日、同い年でYちゃんのいとこの親から卒園を祝う会をやるからどうですか?とお誘いを受けた。

Yちゃんのお家で、YちゃんのいとこのMくん家族、Mくんのお友達Tくん家族。そしてうちの家族。

私は誘われてからずっとウキウキだった。

当日も楽しくて、その日一気に家族同士仲良くなったのだ。

そのYちゃんのお家とは、家族ぐるみのお付き合いになり、飲み会をしたり、お家に泊まりに行ったりするくらい仲良くなった。

母親同士も気が合い、2人で飲みに行くこともあった。

私は飲みすぎて、子供たちの前で醜態を晒し、トイレから出られなくなってしまったこともあった。
それを学校に提出する日記に書かれてしまったこともある。
急いで直させたけど…。あれは、焦った…。

そんな親たち(私か)を見ていて「私たちは絶対ビール飲まない!」と言っていた娘。
そんなこと言ったって飲むようになるのだよ、私のように…と、私は思っていた。

ある日、家で『ハタチになったら…」という題で、Yちゃんと2人でビールで乾杯している絵を娘が描いていた。

娘が3年生くらいの時だったと思うけど、その絵がとても素敵だったので、よく覚えている。

その絵を見ながらダンナが「そうかぁ。ハタチになったら居酒屋に行くのかぁ。お父さんは違う席で2人を見ているかぁ」と、全く意味のわからないことを言っていた。
お前、邪魔だから…という私の心の中のツッコミは口から漏れた。
ダンナは「同じ席にはいねぇよ」と言っていたが、ハタチの娘たちの飲み会について行く父親って、想像しただけでも恐ろしいと思ってしまった…。

ダンナのことはさておき、そんな風に2人ともずっと仲良しなんだろうなと思っていた。
その関係は自然にずっと続いていくと思っていた。

中学校でも仲良くしていているように見えていた。
けど、娘の中では少しずつYちゃんとの間に溝が出来ていたようだった。

はっきりとした理由は、私には話さないけど、何かがあったようだ。

後から娘が言っていたが、1回目は、小学校の時。

毎日のようにお父さんに「今日学校は楽しかったか?」と聞かれる娘。

めんどくさいから「普通」といつも答えていたらしいのだか、たまたまその日はYちゃんとケンカのようなことがあり、少し言葉に詰まってから「普通」と答えたらしい。
するとすかさずダンナは「なんだ?何かあったんだろ」と、疑惑を持ち、質問攻め。

そこで娘は、Yちゃんとあったことを口にしたらしい。
するとダンナはものすごい勢いでYちゃんの悪口を言ってきたらしい。

別に悪口を言ってほしくて、彼女を悪者にしたくて言ったわけじゃないのに、「あの子はこういうところがある。お父さんは気づいていた」などあることないこと色々言ってきたらしい。

ただでも傷ついた娘に対して、さらに友達の悪口を言って傷つけるとは…。

彼の正義感は、私には理解できません…。
まぁ、それはさておき。

そんなこともあったようで、その頃からそういえば、家族ぐるみの飲み会なども減ったように思える…。

そして、2回目は中学の頃に何かがあったようだ。
それでもお互い無視したり、仲が悪いようには見えなかった。

高校は別になり、Yちゃんは、寮に住んでいたため、通学で会うこともなかった。

時々週末に電車で帰って来た時に、偶然駅で会った時などは、娘は、昔のように興奮して私に報告してくれ、会えたことを喜んでいたので、中学の頃のことは時が解決したか、仲直りしたんだろうなと私は思っていた。

が、高校卒業の頃や、卒業してからのやり取りの中でYちゃんに何かあったのか、娘は一気にYちゃんへの信用がなくなってしまったようだった。

そして、お互い就職して、最初は連絡も時々はしていたようだが、今ではすっかり途絶えた。

そんな時に、周りからYちゃんのあまり良くない噂を聞いてしまったらしい。
噂なので、娘は初めほっといたらしいが、どうやら噂は、噂ではなく、本当のことで、娘が前に感じた不信感が、また顔を出し、どうにも信じられなくなってしまったようだった。
色々な点と点が繋がってしまい、友達でいることが出来なくなってしまったらしい。

そして今年、ハタチになった娘。

2022年1月には、成人式が行われる。

けれど、娘が想像力して描いたあの絵のような、乾杯をする2人の姿は、見ることはない。

私は、その描いた絵を思い出すたび胸がきゅっとなる。

しかもYちゃんは、この秋赤ちゃんを産み、お母さんになったのだ。

娘には未だ直接連絡がいっていない。

たまたま私が見かけて、妊娠を知ることになったので、娘には少し経ってから教えた。

娘は「お祝いをあげるのも嫌なんだけど…」と言った。
それは、この結婚相手で大丈夫かな?と思ってのことのようだった。
「絶対うまくいかないと思ってしまった私を裏切って欲しい」と、私に言った。
「何年か経って幸せに暮らしていたら『あの時渡せなかったお祝い』って言って倍くらい包んで持っていきたいわ」と言った。

いつか、そうなる日が来ることを母も願っている。
そして、いつか2人でビールで乾杯してほしい。

またまたきゅっとなった。

その時は私もこっそり見ていたい。
って、ダンナと同じじゃないかーい!
結局、類は友を呼ぶ。
私もダンナのことを言えないのだ。
恐ろしいおばちゃんだ。
いや、その頃にはきっとおばあちゃんだ。
恐ろしいおばあちゃん。

きゅっとなるねぇ。

未来の娘たち、幸せをありがとう。
きっとうまくいく。

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