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『14才の母』

(ネタバレありのため、これからこのドラマをご覧になる方はご注意ください)

春馬くんが、世間にその名を広めたのはこのドラマではなかったか。2006年10月~12月の水曜10時枠のドラマ。10時枠だから、主役が14才であるにも関わらず、大人向けのドラマだったのだろう。

当時、私は幼児2人の子育てに必死で、とても10時枠のドラマを見る余裕はなかった。だったら、録画して見ることもできたのだろうが、幼児とはいえ娘を持つ母の私、「娘がそんなことになったら堪らん!」とでも思ったのだろうか、見る気が起きなかった。事実、当時日本PTA全国協議会の「子供に見せたくない番組」ランキングで2位になったほど、物議を醸しだしたドラマであったという。

当時、上京して東京の高校に進学していた春馬くん。芸能人が多い学校だったとはいえ、周囲の反響はかなりのものだっただろう。好奇、嫉妬、羨望・・・仕事以外の場、私生活の場でもいろんな目に晒されて過ごす思春期は、私のような凡人には想像できない過酷さだったろう。それなのに、大人になってからもあの清らかさ、美しさ。改めて驚愕する。

実際に私がこのドラマを見たのは、春馬くんがいなくなった後の秋だった。

未成年の妊娠と出産をテーマにしたドラマといえば、私世代では、「3年B組金八先生」を思い浮かべてしまう(年齢がバレる・・・)。演じたのは杉田かおると鶴見慎吾。確か、同じクラスの優等生同士が妊娠して数々の困難を乗り越えて出産まで至ったと記憶している。

『14才の母』で妊娠するのは、金八先生の生徒よりさらに若い中学2年生設定の志田未来である(当時、本人13才)。相手となるのが、我らが春馬くん、有名進学校に通う中学3年生設定(当時、本人16才)。
金八先生の杉田かおるは体格もよく大人びていたが、『14才の母』の志田未来演じる未希は、体も小さく顔も幼く、「小学生か!?」という可愛さである。

そんな未希が、妊娠を知り一時は中絶を考えるも、やはり「ひとりで産んで育てる」という強い信念を持って自分の未来を選び取っていく。最初は出産を受け入れられなかった周囲の人々も、ひたむきで一生懸命な未希の姿を通して、受け入れ、成長していく。ざっくり言うとそんな内容のヒューマンドラマだ。

話のメインとなるのは、主人公未希とその家族の愛情物語である。両親役の田中美佐子さん、生瀬勝久さんの役どころと演技が、それはもう見事なのである。両親だけでなく、脇を固める役者さんの演技も素晴らしい。春馬くんの母役の室井滋さん、雑誌記者の北村一輝さん、産婦人科医の高畑淳子さん、未希の担任教師の山口紗弥加さん等々。

でも、ここでは、やはり春馬くんのことを書くことに集中してみようと思う。

春馬くん演じる桐ちゃんこと桐野智志は、女手一つで育ててくれた母親に言われるまま名門進学校に入学して裕福な生活を送っているが、満たされない日々を送っている。母親は、別れた父親への当てつけのために自分を一流の人間に育て上げることに必死で、本当の自分を見てくれない。そんな中、同じ塾に通う明るくまっすぐな一つ下の未希といる時だけが、本当の自分でいられる。一緒の時を過ごすうち、次第に二人は見つめ合い、そして・・・。

もちろん、際どいラブシーンは皆無。小学生のように幼い志田未来ちゃんに比べ、早くから大人びている春馬くんなので、二人のアンバランスさは少々気になる。

ここで誰にも言えない疑問を吐き出させていただくと、あんなに幼い未希が初回で妊娠まで至る性体験ができるものか?とか、性体験を覚えた男子中学生が彼女とそんなにさらっとした関係でいられるものか?(実際、その後二人はそういう関係を持っていないと思われる)とか、ついつい、大人の疑問が邪魔をして、突っ込みの声が止まらなかった。ごめんなさいっ。

まあ、その辺は置いといて、第一話から最終話につれて、春馬くんの演技、表情の変化が著しいのである。まさに成長期真っただ中、数か月に及ぶ撮影期間中に、心身ともに本当に成長していったのだろう。

最初は、なんに対しても不服そうで自信なさげ。彼女の妊娠に対しても逃げ腰で。臆病さ、無気力さ、狡さを体現している。でも次第に、未希の赤ちゃんを産む決意、「桐ちゃんには迷惑かけない」という思いやりに触れるにつれ、また早産で未熟児として生まれた我が子との対面を通して、自分の責任と目的を見出していき、自らの未来を選び取っていく姿。大切なものを守る一途な決意、勇気、大胆さ。最初の方の表情、動き抑えめな演技から、最終話では表情も豊かに、生き生きとした姿を見せてくれる。なんというか、ほんとに我が子の成長を見るような気にさせられた。春馬くんの成長期をそのまま見せていただいたようで、ありがたい気持ちになった。

エリート街道まっしぐらを途中下車して、未希と子供の為に生きていく道を選ぶ桐ちゃん。またしても大人の声が私の中でつぶやく。「これからたくさんの困難にぶつかるよ。恋愛感情だけじゃ続いていけないのに。」すぐに、「傷つかないための予防線」(by『しるし』Mr.Children)を張ろうとする。いや待てよ。別の声がする。「やってもみないで先を心配して降りるより、失敗するかもしれないけど今の気持ちを大事にして、やってみるんだね」そっか、未希と桐ちゃん、それでいいんだ。どんなに大変でも傷ついても、そうやってみた人にしか見えないものがあるんだね。今の気持ちを大事にする。今を生きる。春馬くんが私にくれたメッセージだもんね。

主題歌はMr.Children『しるし』。この曲をバッグにシーツにくるまり丸まっている春馬くんの表情が切なくて、胸が締め付けられる。

ダーリン ダーリン
いろんな角度から君を見てきた
そのどれもが素晴らしくて僕は愛を思い知るんだ

これ、春馬くんファンの想いだよね。

ダーリン ダーリン
いろんな角度から君を見てきた
共に生きれない日が来たって どうせ愛してしまうと思うんだ
ダーリン ダーリン Oh My darling
狂おしく鮮明に僕の記憶を埋め尽くす
ダーリン ダーリン

まったく、私の春馬くんを想う気持ちではないか!

さっきも書いた歌詞だけど、このフレーズ

「半信半疑=傷つかない為の予防線」を
今、微妙なニュアンスで
君は示そうとしている

春馬くん、あなたは「傷つかない為の予防線」を張らずに生きてきた人ではないか。だからこそ、清らかで美しくて・・・

その日から、私のプレイリストには『しるし』が追加され、毎日この曲が流れるたびに、私は春馬くんを想う。



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