“選挙は祭り!“だけではない〜映画「シン・ちむどんどん」は教えてくれる
私が毎週聴くラジオ番組の一つ「東京ポッド許可局」のパーソナリティの一人、プチ鹿島。新聞20紙を購読し、時事ネタを得意とする芸人だが、最近ではTBSの「ニュース23」にも登場している。
その彼がラッパーのダースレイダーと共にドキュメンタリー映画を制作しているというのは「許可局」で聞いていたが、その作品「シン・ちむどんどん」(2023年)が早くも「日本映画専門チャンネル」で放送されることを、新聞のラテ欄をチェックしていて知った。ちなみに対抗するわけではないが、私の購読紙は、日経・朝日・毎日・英Times・New York Timesである。
2022年の沖縄知事選を、ダースレイダー&プチ鹿島がやじ馬的に取材するという仕立てになっているが、内容はなかなかに深い。
この時の立候補者は三人、現職で野党含むオール沖縄推薦の玉城デニー、自民・公明推薦の宜野湾市長サキマ淳、元衆議院議員で、かつては自民や維新に所属していた下地ミキオである。
二人はこれら候補者の街頭演説に突撃取材するのだが、切り口が面白い。三候補とも、好きなテレビ番組としてNHKの朝ドラ「ちむどんどん」を挙げているのだが、鹿島さんは「本当に見てるの?」「もし見てないんだったら、ウソ言ってることになるから、公約含め信頼度が下がるのでは?」と突っ込みに行く。
下地氏は「沖縄の男はだらしないと誤解されるよね」と感想を述べるが、鹿島さんの「好きな登場人物は?」という突っ込みに返答できない。“にぃにぃ“と答えれば完璧だったのに。
サキマ氏は、あっさりと「忙しいから見ていない」と答える。この人の公約は2030年までの普天間基地返還である。もちろん、推薦を受けている自民党は認知していない。また、辺野古建設が2030年までに完了する可能性は基本的にゼロである。さらに、統一教会の合同結婚式出席のために台湾まで行っている。
玉城氏は、ドラマの時代は自分の体験したものと同じだと、無難な受け応えをしていた。最終的には、その玉城氏が33万9千票を獲得、27万4千票を獲得したサキマ氏を退けて勝利、投票率57.9%の沖縄の熱い選挙は終了、映画の前半が終了する。
そして後半では、再び沖縄に戻ってきた鹿島&ダースレイダーが、選挙の最大の争点だった普天間基地移転・辺野古建設問題に切り込んで行く。二人は「よく知らないので教えて欲しい」という姿勢で、識者の話を引き出していくのだが、これが奥深く、どうしても目を閉じがちな沖縄の基地問題を突きつけてくれる。
選挙を取材するということは、日本が抱えている問題を見つめることだということがよく分かる。
我々は、投票権の有無に関わらず、選挙にもっと興味を持つべきである。そうすれば、日本の抱える問題、それに対応するはずの政治家の姿勢が見えてくる。そのことをこの映画は教えてくれる。
なお、本作は「劇場版センキョナンデス」の続編。「日本映画専門チャンネル」での放送は終了、私は見逃した。本作については11月23日に再放送予定。
これらのベースになっている二人のYouTube番組は「ヒルカラナンデス」は絶賛配信中である
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