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三遊亭好楽喜寿記念落語会〜池之端しのぶ亭に初参上

「笑点」でおなじみの三遊亭好楽、今年で喜寿だそうです。おめでたいですね。

これを記念して、番組でも時折名前が登場する、池之端しのぶ亭で記念の落語会が開かれました。豪華ゲスト陣、2日目は高田文夫先生・桂武丸・春風亭一之輔、3日目は林家木久扇、好楽の息子王楽、三遊亭好の助。私は、2023年9月13日の初日に行って参りました。

池之端しのぶ亭は、好楽師匠の自宅の1階を改造して、小さな寄席にしたもの。私は行ったことがなかったので、ちょうど良い機会と伺いました。根津駅の近くにある住宅の前に、「池之端しのぶ亭」という木製看板が掲げられています。

靴を脱いで中に入ると、寄席というより小さな集会所。前方は座布団に座り、そして低い高さの椅子、後方は丸椅子。定員は40人です。

開口一番は、三遊亭兼好の弟子、けろよん。好楽の孫弟子ということになります。そつなく「黄金の大黒」の前半を演じました。

続いて、連日登場する二つ目の三遊亭ぽん太、好楽さんのお弟子さんです。演じたのは「笑い茸」。立川談志の録音で聴いたことがありますが、ライブでは初めて。笑わない亭主を何とか笑わそうと、おかみさんが試したのは。。。

続いて上がったのは、上方からの七代目笑福亭松喬。師匠の六代目松喬は62歳の若さで十年前に他界しました。この先代の「らくだ」が絶品で、松鶴亡き後、笑福亭の伝統をつなぐ一人と期待していたのに残念でした。そんな思いもあり、当代松喬の噺を聞くのが、この日のお目当ての一つでした。

泥棒のネタを得意とする松喬が演じたのは、東京で演じるのは初めてという「泥棒と若殿」。山本周五郎の小説を落語に仕立てたものです。事情があってボロ家に住んでいる浪人のところに泥棒に入った伝九郎。これが縁となり、二人の間に奇妙な関係が作られていきます。この噺を聞けたのが、この日の収穫の一つでした。 見事な人情噺になっているとともに、“江戸の風“がしっかりと吹いていました。

それにしても、今年は「どですかでん」「季節のない街」山本周五郎に縁のある年となりました。

中入り後に上がったのは、「笑点」で好楽の隣に座る桂宮治。「初天神」を賑やかに、陽気に演じて、大いに笑いを起こして高座をおりました。

続いて、内海英華。こちらも上方からの“女道楽“、三味線漫談・俗曲です。この師匠、三代目桂春団治の東京公演などで高座に接し、粋で美しく、上方らしい笑いもしっかり取る芸が大好きでした。久方ぶりにライブに触れるのが楽しみでした。好楽さんに可愛がられていること、亡くなった奥様とも仲が良かったそうです。三味線・歌、「夢グループ」の女性ディスりといった漫談、楽しませて頂きました。

トリで上がった好楽師匠。池之端しのぶ亭というホームグラウンド、平均年齢が異常に高い客席を考えると、軽い噺だろうと予想していたところ、居候の若旦那が登場。「湯屋番」かと思いきや、「紙屑屋」。こちらも笑いの多い演目ですが、同時に唄の素養、歌舞伎の台詞回し、声色など、芸の裏付けがないと綺麗に演じられないネタです。

“喜寿記念“としながらも、普段の感じで、肩に力も入れずさらっと演じられたのが、師匠らしくて心地よい時間でした。

あらためまして、おめでとうございます!


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