見出し画像

【質疑応答記録】女性活躍を目指すなら、紅一点にならないよう「数」に配慮することが重要

前回、昨年11月に行った発表内容の要約を書きました。

今回は、この発表をしたときにいただいた質問について、改めて自分の考えをまとめてみようと思います。

この日、私の発表が終わったあと、次のような質問をいただきました。

「女性活躍のためには、やはり「数」が重要だと考えますか?」

この質問の意味を考えるために、まず、前提となる情報を整理したいと思います。

私は発表において、男性中心組織においていわゆる紅一点となってしまった女性は、トークン化し、全女性の象徴と見なされ、個人として実力を発揮することが難しくなることを説明しました。したがって、真の女性活躍を目指すならば、ただ女性を登用するだけでなく、全体に占める女性の数の割合にまで配慮することが重要です。

しかし、「クオータ制等を導入して、登用する女性の数を一定割合以上(できれば全体の3割以上)に高めるべきでは」という提案をすると、毎回同じような反対意見が返ってきます。それは次のようなものです。

・「数だけ増やせば良いという問題ではないだろう」
・「女性だからではなく、能力によって登用するべき」

これらの意見があることは、当日の発表のなかでも指摘しています。ですので、「女性活躍のためには、やはり「数」が重要だと考えますか?」という質問は、上記のような意見があることをふまえた上でなされたものと思われます。

当日、この質問に対して私は概ね次のような返答をしました。

私はやはり「数」は重要だと考えます。

もし、「数」にこだわるあまり、能力が追い付いていない女性までもが登用され、組織が不利益を被ることを懸念するのであれば、それは別の施策によって解決されるべき問題です。

「責任ある役職には男性が就くもの」とか、「跡取りは男性」という価値観によって、女性は男性に比べて経験を積む機会や成長する機会が少なくなりがちです。ですから、与えられる役職に対して能力が追い付いていない女性がいることは当然のことと認識するべきです。

この問題を解決するためにやるべきことは、「能力の高い女性を厳選して登用すること」ではなく、「女性が学習し成長する機会をもっと意識的に増やすこと」だと思います。

要するに、「「数」にこだわるあまり、能力が追い付いていない女性までもが登用され、組織が不利益を被る」ことを懸念するのであれば、「女性が学習し成長する機会をもっと意識的に増やす」という対策をとるべきだということです。

上記の回答に加えて、現時点での私の考えを加筆しておきます。

仮に、「能力の高い女性を厳選して登用」した場合、そのような人材は数が限られてきますから、男性中心組織においては、かなりの少数派になってしまいます。つまり、せっかく登用した「優秀な女性」が、紅一点となり、トークン化してしまう可能性が高くなるということです。トークン化してしまうと、その女性が実力を発揮することが困難になるのは、前回の記事で確認したとおりです。

このような結果に陥ることは、その女性だけでなく組織にとっても望ましくありません。また、期待して登用した女性が実力を発揮できなかった場合、「やはり女性には無理だったか」と結論づけてしまう可能性すらあります。

したがって、「優秀な女性」を登用して、彼女が活躍してくれることを望むのであれば、なおさら「数」の問題に配慮することが非常に重要になってくると思います。

「クオータ制等を導入して女性の割合を3割以上にするべきだ」と言う主張はよく聞きますが、「なぜ3割以上でなければならないのか?」「3割を下回るとどうなるのか?」という疑問に対する答えとなるのが「トークン」という概念ではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?