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仏教用語解説

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さまざまな仏教用語を解説していきます。 第1~23回はこちら→https://temple.nichiren.or.jp/1081018-shoboji/blog/
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記事一覧

祇園精舎【仏教用語解説】vol.33

【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。 第33回は「祇園精舎」です。 ◇◇◇ 前回、「精舎」について解説しました。簡単に言いますと、僧侶が仏道修行しながら居住する建物のことです。 「祇園精舎」は、古代インドのコーサラ国の都・「舎衛城」にあった精舎です。お釈迦さまはここで多くの説法をされたそうです。 『平家物語』の冒頭「祇園精舎の鐘の声…」で有名ですね。 名前の由来 「祇園」という名前の由来については、次のように言われています。

精舎【仏教用語解説】vol.32

【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。 第32回は「精舎」です。 ◇◇◇ 前回、古代インド・コーサラ国の都「舎衛城」について紹介しました。この舎衛城に、「祇園精舎」と呼ばれる、お釈迦さまが滞在するための建物があったと言われています。 今回はもともと「祇園精舎」の解説をする予定でしたが、記事を書き始めてから、いや、そもそも「精舎」の解説をしなきゃだめじゃないかと気づきまして、先に「精舎」の解説を書きたいと思います。 「精舎」という言葉の

舎衛城【仏教用語解説】vol.31

【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。 第31回は「舎衛城」です。 ◇◇◇ 前々回、古代インドの強国・マガダ国の都市「王舎城」について解説しました。今回の「舎衛城」は、コーサラ国の都の名前です。 サンスクリット語では「シュラーヴァスティー」と言います。昔、サヴァッタという名前の仙人が住んでいたことから、このように名付けられたと伝わっているそうです。 「舎衛城」の他に、「室羅伐悉底」という漢訳語もあります。こちらの方が、「シュラーヴァス

霊鷲山【仏教用語解説】vol.30

【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。 第30回は「霊鷲山」です。 ◇◇◇ 前回、「王舎城」という、古代インドのマガダ国にあった都市について解説しました。 「霊鷲山」は、この「王舎城」にある山の名前です。 サンスクリット語では「グリドラ・クータ」と言います。「グリドラ」は「ハゲワシ」、「クータ」は山頂という意味です。山頂の形がハゲワシの頭の形に似ているので、このような名前がついたと言われています。 いまもインドに実在する山 霊鷲山

王舎城【仏教用語解説】vol.29

【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。 第29回は「王舎城」です。 ◇◇◇ 前回までは、十大弟子という「人名」に関する言葉の解説をしてきました。 今回から、何回か続けて、お経典によく出てくる「場所の名前」について解説していこうかなと思います。 王舎城 王舎城というのは、古代インドの大国・マガダ国の都市の名前です。サンスクリット語では「ラージャグリハ」といいます。 「城」という字が使われていますが、お城そのもののことではなく、王様の

十大弟子【仏教用語解説】vol.28

【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。 第28回は「十大弟子」です。 十大弟子とは 十大弟子というのは、お釈迦さまの弟子のなかで、主要な人物10人のことを指します。それぞれ特に秀でていた分野の名前を冠して、「○○第一」という称号もつけられています。 前回の【仏教用語解説】で、10人全員の解説が終わりました。各記事のリンクは以下のとおりです。 (①~⑥は4年前にやっていたお寺ブログの記事で、かなり文字数が少ないです) すべての経典で重視

羅睺羅【仏教用語解説】vol.27

【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。 第27回は「羅睺羅」です。 羅睺羅 羅睺羅はお釈迦さまの実の息子で、十大弟子のひとりです。原語のサンスクリット語では「ラーフラ」と言います。 彼が生まれたとき、父親であるお釈迦さまが「さまたげとなる者(ラーフラ)が生まれた」と言ったことから、「ラーフラ」(羅睺羅)と名づけられたと言われています。 私がこの話を初めて聞いたのは中学生くらいだったと思いますが、「なんてひどい名前の付け方をするんだ」と思

摩訶迦旃延【仏教用語解説】vol.26

毎週月曜日は【仏教用語解説】をお届けしています。第26回の今回は、「摩訶迦旃延」です。 摩訶迦旃延 摩訶迦旃延は、十大弟子のひとりです。幼い頃から利発で教えられたことをよく理解することができたので、お釈迦さまの説法の説明役を担っていたそうです。このことから、「論議第一」と呼ばれています。 南インドのバラモンの家に生まれた人で、阿私陀仙人の弟子だったそうです。 阿私陀仙人というのは、お釈迦さまがシッダールタ王子としてお生まれになった時に遠くからやってきて、「この方は出家

阿那律【仏教用語解説】vol.25

毎週月曜日は【仏教用語解説】をお届けしています。 第25回の今回は、「阿那律」です。 阿那律 阿那律は、十大弟子のひとりで、お釈迦さまのいとこであったと伝えられています。 十大弟子はそれぞれ最も秀でていた分野を冠して「○○第一」という称号が与えられており、阿那律は「天眼第一」と呼ばれていました。 「天眼」とは、あらゆるものを見ることができる力のことで、物理的に視界を遮られても見通せてしまえたり、未来に於いて人々がいつ死に、いつ生まれるかなども見通すことができたと言われ

富楼那【仏教用語解説】vol.24

【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。 ※第1~23回はこちら。 第24回は「富楼那」です。 富楼那はお釈迦さまの弟子で、十大弟子のうちのひとりです。 より詳しい名前は「富楼那弥多羅尼子」と言い、これはサンスクリット語の「プールナ・マイトラーヤニープトラ」を漢字で音訳したものになります。 「プールナ」は「富楼那」、「マイトラーヤニー」は「弥多羅尼」となります。「プトラ」は「子」という意味で、ここだけ意訳されています。 実は、「マイトラ