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阿那律【仏教用語解説】vol.25

毎週月曜日は【仏教用語解説】をお届けしています。
第25回の今回は、「阿那律あなりつ」です。

阿那律あなりつ

阿那律あなりつは、十大弟子のひとりで、お釈迦さまのいとこであったと伝えられています。

十大弟子はそれぞれ最も秀でていた分野を冠して「○○第一」という称号が与えられており、阿那律は「天眼第一てんげんだいいち」と呼ばれていました。

天眼てんげん」とは、あらゆるものを見ることができる力のことで、物理的に視界を遮られても見通せてしまえたり、未来に於いて人々がいつ死に、いつ生まれるかなども見通すことができたと言われています。

さて、阿那律はどのようにしてこの「天眼」を手に入れたのでしょうか。

あるとき、お釈迦さまがお説法をされている最中に、阿那律はついウトウトと居眠りをしてしまい、お釈迦さまからお𠮟りを受けてしまいました。

その後、阿那律は不眠(眠らないこと)の誓いを立てました。そして、ついに修行のしすぎで失明してしまいますが、天眼を得たのだそうです。

それにしても、お釈迦さまと言えばとても穏やかで怒ったりしないイメージがありますが、どんな感じで弟子の居眠りをお叱りになったのでしょう…なかなか想像できないですね。

どのような𠮟り方だったにせよ、阿那律が不眠の誓いを立てたのは、「お釈迦さまに叱られたから」ではなく、「せっかくお釈迦さまの弟子になったのに、お説法の最中に居眠りしてしまった自分が許せなくて」という理由の方が大きかったのではないかなあ、とも思います。

阿那律は、日蓮宗で読む『妙法蓮華経みょうほうれんげきょう』にも出てくるのですが、表記は「阿㝹楼駄あぬるだ」となっています。「阿那律」と「阿㝹楼駄」って、結構違うので、知らなかったら別人だと思ってしまいそうです。

これは、彼の名前をもともとサンスクリット語では「アニルッダ」、パーリ語では「アヌルッダ」と発音するためです。原語を知ると、「阿那律あなりつ」より「阿㝹楼駄あぬるだ」の方が、より原語の発音に近い感じがします。漢訳にも色々なバリエーションがあるんですね。


今回の【仏教用語解説】は以上になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、また。

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