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はじめのことば


韓国、ソウルを中心とした本屋を紹介をするプロジェクト、「本屋(책방)の窓から」を始める。
2017年に韓国の書店、出版について紹介する「本の未来を探す旅―ソウル編」が刊行された。その中でもあったように韓国では大型書店ではない特色のある独立書店がたくさん生まれている。本の刊行から3年、変化の早いソウルは今どのようになっているのか。本屋から見える社会について、留学期間を利用して書店を訪れ、最終的にZINEにまとめようと考えている。
そして、Note、及びInstagramで韓国の本屋の情報を更新する予定だ。

○本屋の窓からにこめた意味
私が大切にしている本に「ニューヨークで考え中」(既刊2巻。現在も、亜紀書房ウェブメディア「あき地」で連載中。

https://www.akishobo.com/akichi/kondoh)
アニメーション作家の近藤聡乃さんがニューヨークでの暮らしについて綴ったエッセイ漫画だ。
その中でも、2巻に収録されている"エピソード126"「新婚その後 その2」を今でも何度も読み返す。


作者の近藤さんがアメリカ人の夫に「英語に興味を持てない」と衝動的に言ったことに対して夫は、「英語に興味を持てないことは僕には興味を持てないと同じ意味だと思う。」と彼女に伝える。夫は近藤さんとぐらいしか話す機会がないのだが日本語をコツコツ勉強していて、「言葉」というのはその人の一部でという気持ちで日本語を勉強していたのだということに気づいたというエピソードだ。


海外で本屋に入るのは勇気がいる。より楽しむのに、「言葉」を理解する必要がある。
言葉を勉強し、使えるようになるのは時間と労力を要するものだ。けれど言葉への理解力が増えれば増えるほど本屋においてある本を理解できるようになる。
普段単語と辞書をにらめっこして、教材を読んでいるときには理解をすることより覚えることが頭を占める。けれど、時々本屋にきて並んでいる本を手に取りながら廻っているとその言葉で少しずつ本屋の窓の外に広がる社会を「理解」するということを実感することがある。
そのときいつもこのエピソードを思い出し、言葉を学ぶこと、本屋に足を運ぶことの楽しみを味わう。

本屋は、社会を映し出すメディアであり、店主の考えも並んでいる本からうかがい知ることができる。私はそれが好きで本屋に足を運ぶようになった。
本屋の店内で本を手に取り並んでいるのを眺めながら、本屋の窓からみえる外の空気に思いを馳せる。
そんな意味を込めて、「本屋の窓から」と名付けた。 (見出しの画像はB-PLATFORMという本屋の窓だ。この大きな窓から店内に風が流れ込んだときに、この名前が浮かんだ。)

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