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2020年 お気に入りアルバムTOP10

はじめに

2020年は新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が大幅に増え、音楽を聴く時間も例年と比べてかなり多かった年になりました。

また、いつもはサブスクで好きな曲だけピックアップされたプレイリストを聴くことが殆どだったのですが、去年は押し入れからレコードやCDを引っ張り出し、アルバム1枚を通して聴くということも多く出来ました。

ということで、去年聴いて個人的に良かったアルバムをランキング形式で10枚紹介したいと思います。

また、条件を設けて、1アーティスト(1バンド)からは1アルバムのみとします。

10. Jeff Beck / Truth (1968)

1968年に発表されたジェフ・ベック・グループのデビュー作です。このアルバムは本当に名盤だと思います。

ロッド・スチュワートのボーカルといい、ジェフ・ベックの荒々しくもトリッキーでかっこいいギタープレイといい、現ストーンズのロン・ウッドのベースといい、何もかも最高のアルバムです。

しかし、この頃のベックの性格は最悪で、ギャラを独り占めし、気まぐれでわがままなベックにメンバーは嫌気がさして最後の方は険悪なムードだったそうです。

ちなみに、キース・ムーンとジョン・ポール・ジョーンズとジミーペイジが参加しているという豪華な『Beck's Bolero』という曲が8曲目に収録されています。

9. The Velvet Underground / The Velvet Underground and Nico (1967)

現代アーティストと聞いて必ずと言って良いほどその名が挙げられるポップアーティストの巨匠アンディー・ウォーホルの肝入りでデビューしたヴェルヴェット・アンダーグラウンドによるデビュー作です。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第19位というように、世界的にも多大な評価を受けている名盤です。

このアルバムは僕にとって「理解出来ない音楽」である反面、ダークでメランコリックな彼らの独特な世界観に衝撃を受け、魅力を感じました。

8. Robert Johnson / The complete Recordings (1990)

戦前ブルースの名盤アルバムですね。恥ずかしながら、ロバート・ジョンソンとこのアルバムの存在を去年初めて知りました。ある日突然ブルースを聴いてみたいと思い、遡って行った結果、このアルバムに辿り着きました。

ロバート・ジョンソンって、彼の妙に高い声といい、死亡原因が未だに分かっていないということもそうですけど、個人的にすごくオカルトチックな存在なんですよね。

このアルバムで時に好きな曲は『Kind Hearted Woman Blues』『Come On In My Kitchen』『Preachin’ Blues』です。音質が悪くて良い意味で古臭い感じもまた好きです。

7. The doors / The doors (1967)

邦題『ハートに火をつけて』で知られるドアーズのデビューアルバムです。これはロック全体の名作の中でも最初に挙がるぐらいのアルバムではないでしょうか。

やはり印象的なのはアルバムの最後を飾る『The End』でしょう。フランシス・コッポラの「地獄の黙示録」でも印象的な使われ方をされた10分を超える超大作です。この曲の歌詞がこれまた凄い。男の人は少なからず父親との間に競争心や父を超えたいなどのエディプスコンプレックスがあり、「親父を殺して母親を犯したい」という様な過激な事も1967年という時代に歌ってしまいます。

「詩」の部分で音楽に多大な影響をもたらした重要なアルバムではないでしょうか。

6. Harry Styles / Fine Line (2019)

もちろん最近の音楽も聴きますよ(笑)
元ワン・ダイレクションのハリースタイルズによる2作目のソロアルバムです。

ポップカルチャーの第一線を邁進してきたハリースタイルズですが、ワン・ダイレクションの活動休止と同時に彼の音楽性はプログレやサイケのような70年代に逆行するスタイルになったのではないでしょうか。

ゴージャスなホーン隊、合唱団による美しいハーモニー、楽しげな手拍子や口笛があちこちに散りばめられ、夢のように自由奔放で、幅広い層に響くような作品へと完成しています。

5. Nirvana / Nevermind (1991)

グランジ/パンク/オルタナティブのオーバーグラウンドへの進出を決定付けたと言えるアイコニックな名盤『Nevermind』です。このアルバムはニルヴァーナのカタログの中では聴きやすく、ポップなアルバムだと思います。

ニルヴァーナはこのアルバムで世界的な成功を収めたのですが、カート・コバーンはもともとアンダーグラウンドの世界で光を放っていたグランジという音楽を、自らの成功によりメジャーシーンへと押し上げてしまった事に大きな葛藤を感じていたそうです。

このアルバム最大のヒット曲『Smells Like Teen Spirit』を「契約の関係で仕方なく歌う」と発言するほどカートが嫌っていたというのは有名な話ですね。

4. Frank Ocean / Blonde (2016)

R&Bシンガー、フランクオーシャンによる最新のアルバム『Blonde』です。リリースから4年以上経った今でも、頻繁にメディアで取り上げられています。

内省的で自伝的な非常にパーソナルな内容に、ノスタルジックなサウンド。どこか退廃的でもの哀しい、儚いサウンドがアルバムを通して表れています。自分の内面をさらけ出した、歌詞もまた素晴らしいです。

この先、何十年も聴き継がれて行く歴史的な傑作ではないでしょうか。

3. The Beach Boys / Pet Sounds (1966)

今でこそブライアン・ウィルソンの最高傑作、名盤中の名盤として知られるこのアルバムですが、発表当時の1966年ではかなり高度な内容で、賛否両論があったと言われています。

ブライアンがビートルズの『Rubber Soul』に影響を受けて『Pet Sounds』 を作り、そして、このアルバムにジョン・レノンとポール・マッカートニーが影響を受け、『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』の直接のインスピレーションとなったというのは面白い話ですね。

2. The Beatles / Abbey Road (1969)

ビートルズの最後のレコーディングとなる最高傑作、『Abbey Road』です。

ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人のこれまでのビートルズとしての約8年間で培われた最高の経験値のもと繰り広げられる洗練されたアルバムとなっています。

ジョージによる傑作、『Here Comes The Sun』と『Something』は言うまでもなく、B面の『You Never Give Me Your Money』から『The End』までの約15分間のメドレーが特に素晴らしく、メドレー終了後20秒間沈黙が続き、隠しトラックである『Her Majesty』で幕を閉じるという非の打ち所がないアルバムです。

余談ですが、僕が小学校2年生の時、人生で初めて聴いたビートルズの曲がこのアルバムのB面の2曲目に入っている『Because』なのですが、それを聴いた時「怖い」って思ってしまったんですよね。それからこの曲は今でもちょっとトラウマです。まあビートルズ好きな人は誰しも1曲や2曲怖いと思う曲があるとは思いますが。。。まあそれを加味してもこのアルバムは本当に好きですね。

1. John Lennon / Plastic Ono Band (1970)

第1位はジョン・レノンのビートルズ解散後初のソロアルバムである『Plastic Ono Band』(邦題『ジョンの魂』)です。

2020年はジョンの生誕80周年、追悼40周年ということで、彼のことを見返すことが多かったのでこのアルバムを1位に選びました。

邦題で『ジョンの魂』とあるように歌詞からは、彼の苦悩や感情がひしひしと伝わってくる作品です。一方、サウンド面はシンプルで、ジョン自身は「渋いアルバム」と評しています。

この頃のジョンは妻のオノ・ヨーコが日本人ということで日本文化にも大きな影響を受けており、特に、短くシンプルにものごとを伝える俳句に感銘を受けました。このアルバムの7曲目に収録されている『Love』は松尾芭蕉の句集にインスパイアされて作ったそうです。

おわりに

冒頭でも述べた通り2020年は沢山のアルバムを通して聴けた年になりました。

また、音楽はYouTubeやサブスクで聴く人が多い現代ですが、CDやレコードを買って、ジャケを眺めて、歌詞カードを眺めて、実際に聞くというこの一連の流れ、視聴体験は素晴らしいということを実感しました。

アルバム製作者は聴き手がアルバムを通して聴く事を前提として作っている訳だから、これからもなるべくCDやレコードを買い、通しで聴くということを続けたいと思います。

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