ピラミッドの木像(日常の中の不思議ファイル 3)
星月菩薩の頬のアザが消えた!という話。
那須塩原インターを降りて3kmほどのところに
クフ王のピラミッドを正確に10分の一にした建物が建っています。
10分の一と言っても、かなり大きい建物です。
「ピラミッド温泉元氣館」は
当初はスピリチュアルな啓蒙のための研修所のつもりで建てたそうですが
温泉が出たので温泉施設として運営することにしたのだとか。
毎日のように来ている近所の人たちは、温泉としてきているのでスピリチュアルには全く関心は無いようです。
オーナーは大正生まれ。学生時代に特許を取って会社を興し
バブリーな波に乗って30以上の工場と会社を持っていました。
そして趣味でピラミッドを建ててしまったような人です。
何度もエジプトのピラミッドを訪問し、
ピラミッドの模型を作ってその中と外との違いを検証して、ピラミッドパワーは確かにあると確信してこの建物を建てたのだと言っていました。
そのピラミッドの中で起こった不思議は枚挙にいとまがないくらいなのですが、おいおい書いていきましょう。
そしてこれは1999年の年末のことです。
オーナーが瞑想ルームで新年を迎えようと提案してきました。
瞑想ルームとは、
本来のピラミッドであればファラオの棺がある位置にあります。
、
ピラミッドの上から3分の一くらいの高さにある、瞑想室と呼ばれるその部屋は、薄暗い照明の中で横になって寝ていると本当に気持ちが良いのです。
オーナーはそれまで、そこに泊まりたいという宿泊客がいても断っていたのですが、その時はそこで2000年を迎えようということになりました。
12月31日、宿泊している人達の中にも希望者がいて、全部で15,6人参加していたように思います。
その部屋はかなり広くて、ピラミッドですから天井もかなり高く暖房が効きません。1階からファンヒーターをいくつか持ってきていました。
広い空間のそこここにちょっとしたオブジェなどが飾ってあり、瞑想が始まるまでの間、他の人たちは物珍しそうにあちこち見て回っています。
ちょっとくぼんだコーナーに木造の星月菩薩像が鎮座していて、
初めて見る人たちはオーナーから説明を聞いていました。
その星月菩薩は、気品のあるとても美しい顔をしていますが、木製ゆえの理由で、頬に大きく内側から色濃いシミがありました。それはアザのように見え、オーナーの話では、それさえ無ければ国宝に指定されていただろうとのことでした。
確かにとても美しいお顔でした。
そうこうするうちに時間も経ち、オーナーが挨拶を述べてから、みんな思い思いの場所に離れて横になって瞑想に入りました。
いつの間にか眠ってしまったようで、とても不思議な夢を見ました。
そして、
「はい、皆さん、2000年になりました!
明けましておめでとう。」
というオーナーの声に現実に引き戻されました。
寒くてすぐに部屋に引き返した人もいましたが、
ほとんどの人は所在無い感じでぼんやりしていたり、
またあちこちをウロウロしたりしていました。
「あっ!!」という声で星月菩薩の前に人が集まってきました。
星月菩薩の頬の大きなアザが消えているのです。
先ほどオーナーから、このアザさえ無ければ…という話を聞いたばかりだった人々は、口々に興奮して不思議がっていました。
私も覗き込んでみましたが、本当に木のシミがすっかり消えて、そこには美しい星月菩薩の顔がありました。
その後、何度かピラミッド温泉のその場所に行きましたが、あの時すっかり色濃いアザが消えたようになっていた星月菩薩の顔には、また少しアザのように見えるものが戻ってきていました。ですがそのアザの面積は、ぐっと小さく薄くなっています。
確かに不思議ではありましたが、
私はひそかに、いつもは置かないファンヒーターが木のシミに何らかの作用をして消えたように見えたのではないかと思ったりしました。
ですが星月菩薩の近くにファンヒーターは無かったし、本当に寒かった。
不思議と言えば不思議。
そしてあれ以来、そこに行くたびに星月菩薩の顔をチェックせずにはいられないのです。