ハナ

英国オックスフォードで思想史の研究をしています。博士論文提出済み。 主な関心: 政治・…

ハナ

英国オックスフォードで思想史の研究をしています。博士論文提出済み。 主な関心: 政治・宗教思想/近世イングランド/自然法

記事一覧

博士論文の口頭審査

 先日博論審査があり、無事通過して博士号を取得した。オックスフォードでの近世英国史博士論文審査というニッチな主題なのであまり需要はないと思うが、自分の記憶の整理…

ハナ
5か月前
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政治思想史と宗教

 近世西ヨーロッパの政治思想を語る際に人口に膾炙しているナラティブとして、壊滅的な宗教戦争の反省から「世俗的」な国家や権力の概念が生まれ、「近代」国家の礎が築か…

ハナ
7か月前
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オックスフォード留学三年半の振り返り①

目次 序 1. 恵まれていた/運がよかったこと 2. 恵まれていなかったこと/つらかったこと 本題 3. もっと早くやれば/知っておけばよかったこと(本編) 4. やってよかった…

ハナ
1年前
50

オックスフォード留学三年半の振り返り(序)

目次 序(本編) 1. 恵まれていた/運がよかったこと 2. 恵まれていなかったこと/つらかったこと 本題(次回以降) 3. もっと早くやれば/知っておけばよかったこと 4. や…

ハナ
1年前
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自己紹介・諸前提

はじめまして。ハナと申します。英国オックスフォードに4年近く留学し、懸案の博士論文の目処がつきそうなので、これから留学される方々に何か参考になればと思い、このタ…

ハナ
1年前
37

博士論文の口頭審査

 先日博論審査があり、無事通過して博士号を取得した。オックスフォードでの近世英国史博士論文審査というニッチな主題なのであまり需要はないと思うが、自分の記憶の整理のためにも、審査とそれを取り巻く状況についてここに書き残しておく。オックスフォードの博論審査の基本的な概要についてはいつもながら向山くんのブログがすばらしいのでそちらを見ていただきたい。https://penguinist-efendi.h

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政治思想史と宗教

 近世西ヨーロッパの政治思想を語る際に人口に膾炙しているナラティブとして、壊滅的な宗教戦争の反省から「世俗的」な国家や権力の概念が生まれ、「近代」国家の礎が築かれた、というものがある。日本語の政治思想史の教科書もだいたいこのナラティブを用いている。この語りはわかりやすく出発点として有用であるため、いますぐ何か別のものに置き換えられるべきだ、という主張をするつもりはない。しかし2000年代以降、学術

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オックスフォード留学三年半の振り返り①

目次

1. 恵まれていた/運がよかったこと
2. 恵まれていなかったこと/つらかったこと

本題
3. もっと早くやれば/知っておけばよかったこと(本編)
4. やってよかったこと(次回以降)
5. やらなかったけど一応今のところ納得していること
6. やってこなかったけど今後努力したいこと

3. もっと早くやれば/知っておけばよかったこと

-勉強や史料読解の成果をすぐ文章化しておくこ

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オックスフォード留学三年半の振り返り(序)

目次
序(本編)
1. 恵まれていた/運がよかったこと
2. 恵まれていなかったこと/つらかったこと

本題(次回以降)
3. もっと早くやれば/知っておけばよかったこと
4. やってよかったこと
5. やらなかったけど一応今のところ納得していること
6. やってこなかったけど今後努力したいこと


1. 恵まれていた/運がよかったこと

-留学奨学金をもらえた。
 ほんとうにほんとうにあり

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自己紹介・諸前提

はじめまして。ハナと申します。英国オックスフォードに4年近く留学し、懸案の博士論文の目処がつきそうなので、これから留学される方々に何か参考になればと思い、このタイミングでnoteを作成しました。とは言いつつ、何が「一般に」ためになるのか考えすぎるのはやめて、3年半前、オックスフォードに着いたばかりの自分が知っていればよかったなということを軸に綴っていきたいと思います。

研究者としての私の経歴につ

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