先日博論審査があり、無事通過して博士号を取得した。オックスフォードでの近世英国史博士論文審査というニッチな主題なのであまり需要はないと思うが、自分の記憶の整理のためにも、審査とそれを取り巻く状況についてここに書き残しておく。オックスフォードの博論審査の基本的な概要についてはいつもながら向山くんのブログがすばらしいのでそちらを見ていただきたい。https://penguinist-efendi.hatenablog.com/entry/2021/03/25/205718
近世西ヨーロッパの政治思想を語る際に人口に膾炙しているナラティブとして、壊滅的な宗教戦争の反省から「世俗的」な国家や権力の概念が生まれ、「近代」国家の礎が築かれた、というものがある。日本語の政治思想史の教科書もだいたいこのナラティブを用いている。この語りはわかりやすく出発点として有用であるため、いますぐ何か別のものに置き換えられるべきだ、という主張をするつもりはない。しかし2000年代以降、学術界における政治思想史と宗教の関係、そして近代の認識はかなり変わっているため、16
目次 序 1. 恵まれていた/運がよかったこと 2. 恵まれていなかったこと/つらかったこと 本題 3. もっと早くやれば/知っておけばよかったこと(本編) 4. やってよかったこと(次回以降) 5. やらなかったけど一応今のところ納得していること 6. やってこなかったけど今後努力したいこと 3. もっと早くやれば/知っておけばよかったこと -勉強や史料読解の成果をすぐ文章化しておくこと。文章化までが研究。 私がオックスフォードに来たとき一番足りていなかったのは
目次 序(本編) 1. 恵まれていた/運がよかったこと 2. 恵まれていなかったこと/つらかったこと 本題(次回以降) 3. もっと早くやれば/知っておけばよかったこと 4. やってよかったこと 5. やらなかったけど一応今のところ納得していること 6. やってこなかったけど今後努力したいこと 1. 恵まれていた/運がよかったこと -留学奨学金をもらえた。 ほんとうにほんとうにありがとうございます。 -英会話ができた。外国での一人暮らしに慣れていた。 学
はじめまして。ハナと申します。英国オックスフォードに4年近く留学し、懸案の博士論文の目処がつきそうなので、これから留学される方々に何か参考になればと思い、このタイミングでnoteを作成しました。とは言いつつ、何が「一般に」ためになるのか考えすぎるのはやめて、3年半前、オックスフォードに着いたばかりの自分が知っていればよかったなということを軸に綴っていきたいと思います。 研究者としての私の経歴についてはhttps://researchmap.jp/sylvhana55をご覧く