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きっとずっと私にとっての青春の名作🌻          『私を知らないで』白河三兎著

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内容✏︎

中2の夏の終わり、転校生の「僕」は不思議な少女と出会った。誰よりも美しい彼女は、なぜか「キヨコ」と呼ばれてクラス中から無視されている。「僕」はキヨコの存在が気になり、あとを尾行するが…。少年時代のひたむきな想いと、ままならない「僕」の現在。そして、向日葵のように強くしなやかな少女が、心に抱えた秘密とは―。メフィスト賞受賞の著者による書き下ろし。心に刺さる、青春の物語。

心に残った文章

"僕は玄関を開け、音の溢れる世界に踏み出す。耳を高く立て、上唇と下唇の隙間をこじ開けなくてはならない世界で僕は直視する。過去からの因果と、ままならない現在を。"
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この本は、ナツイチとAKB48のコラボ企画でこじはるが読んでいたのをきっかけに手に取りました。14歳の頃です。

その時から今まで何度も再読し、私に影響を与えた不動の一位の小説です。主人公は引っ越しを繰り返し人を観察することが得意で、どのような言動すれば上手く立ち回れるか、深く干渉せず干渉されずにいるかを重視している子どもらしくない大人っぽい中学生です。

それがキヨコとの関わりによって反抗期が来たり、感極まり泣いてしまったりと変化していくのがとても切なく表現されていると思います。重たいテーマではありますが、自分の生や幸せが人の死の上で成り立っている事は事実でもありますし、自分の中にある闇を表に出すことで保つ事もあるんだなと気づかせてくれます。

ただの青春小説ではなく、今回読んで社会派小説だなあっと新しい発見がありました。読むたびに新しい発見や視点を見つけることが出来、しかし必ず泣いてしまいます。
そして、子どもの力じゃどうにもできないと思える状況で、あのようなラストを描くとは白河さんにしか出来ないと思います。

構成も伏線も感情の変化もすべて私にとって素晴らしいものでした。思春期の時に読めたことは私にとってとても嬉しいことです。

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