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アズマヤを作っている時、彼は楽しんでいるのかもしれない。

こんにちは、営業部長です。

2023年8月27日に編集長に誘ってもらい『ニワシドリのひみつをもとめて』トークショーに行ってきました!
イベント会場は、東京は神保町にある子どもの本専門店ブックハウスカフェ。こちらは本屋さんとしての営業は勿論なのですが、カフェスペースのほかにミニ画廊、イベントスペースもあり、いつもとても賑やかです。

今回は7月に発売された、絵本作家・鈴木まもるさんの『ニワシドリのひみつをもとめて ものづくりする鳥のふしぎをさぐる旅』(理論社)の刊行記念トークイベントでした。

ニワシドリって知ってる?

オーストラリアとニューギニアの一部の限られた地域にのみ生息しているニワシドリ。庭の手入れをする「庭師」に似ているのでニワシドリ。
お恥ずかしながら私は本書で初めてその存在を知りました。
名前の所以ともなっているのですが、ニワシドリのオスは「アズマヤ」を作り、メスにプロポーズをするのだそう(ニワシドリ科の全てがアズマヤを作るわけではないそうです)。
アズマヤは「東屋」のこと。

ん? 巣じゃなくて東屋?
もうこれだけで「?」がいっぱいなのですが、トークイベントで鈴木さんが見せてくれた、実際にニワシドリの作ったアズマヤの写真が……想像の斜め上の大きさとクオリティだったんですよ。

本当はここでバーンと写真とか出せたらよかったのだけど、
ごめんなさいトークに夢中で写真を撮っていませんでした。痛恨のミス。

気になります? 気になりますよね?
google先生に聞いてみるのもいいけれど……是非本書を読んでみてください。

その体にあわないアズマヤの大きさ、そして芸術品かはたまた何かの神聖な儀式に使われるのかと思うような緻密な造形。その近くにちりばめられた色とりどりの装飾物。
こんなことを言ったら失礼なのですが「鳥がこれを作った…? まさか」と疑ってしまうようなすごさなのです。

鈴木さんは子どものころ図書館で目にしたニワシドリの一種の「アオアズマヤドリ」のアズマヤが忘れられず、大人になり絵本作家になったあと、ニワシドリの謎を解明して絵本にまとめようと実際に現地に行ったのだそう。
そうして出版されたのが『ニワシドリのひみつ』(岩崎書店/2014年)で、
『ニワシドリのひみつをもとめて』はそのいきさつというか、鈴木さんがニワシドリと出会い、ミッションインポッシブルさながら現地に足を運び実物を見て自分なりに謎を解明するまでを、文章と素敵な挿絵でまとめたものです。


大人が読んでもおもしろい本

本書は一応児童向けだと思うのですが、おとなが読んでもめちゃめちゃ面白いです。
旅行記の様な、エッセイの様な、柔らかくておちゃめな文章から、鈴木さんの人柄を知れるような気がしました。
個人的にはオーストラリアにアズマヤを探しに行くくだりで、旅行会社に現地のガイドさんを探してもらい(目的はあくまでアズマヤなので、普通のバードウォッチングのガイドさんではわからず依頼から見つかるまでに半年くらいかかったそうな)
いざ行けるぞ! ってなったら、
「ほんとに、そんなところ行ってもだいじょうぶかな?」
と急に不安になっちゃうエピソードがすごくおかしくて。大人ってそういうところあるよね(笑)
でもその後すぐに楽しみが勝って、仕事の納期とかカレンダーとにらめっこして調整をつける。心の中でGOサインがでる。ミッションイン●ッシブルのテーマが流れる(脳内に)。
この一連の流れが本当に最高でした。鈴木さん絶対面白い人だぞ。

本が面白い人はトークも面白い

でイベントなんですが、やっぱりイベントでも面白い方でした。
絵本作家を目指した経緯とか、画家じゃなくて絵本作家を目指した理由とか、当時の気持ちそのままで語ってくれたのですが、その姿がまごうことなきおとなで、すごい人なのに、心の中にニワシドリの謎に魅せられた当時の鈴木少年が居るのがわかるというか。不思議な魅力を放つ方だなあと、なんか、静かに圧倒されました。

また今回は(今回も?)いろんな鳥の実物の「巣」も見せていただきました。大きなトランクを開けると中から様々な大きさ、形の巣。
それらを来ていた子ども達に渡して、
「これ持ってみんなのところをぐるっと回ってきてもらっていいかな?」
とお願いする鈴木さん。ニッコニコでその巣を持って巡ってくれる子どもたち。それをニッコニコで見る私達。
楽園か?

イベントは親子で参加されている方は勿論、おとなの方も多くいました。
みんなで巣を見て驚いたり、鈴木さんの話に笑ったり、すごい素敵な空間だった。

ニワシドリからクリエイターの心を感じた

イベントでも言っていたのですが、本の中でも鈴木さんは「なぜニワシドリはアズマヤを作るのか?」をずっと考えているんですよね。
図鑑や関連書籍を読んだだけでは全然わからなくて、現地に行く。実際に見る。スケッチする。でもそれでも足りない。
見たものを咀嚼して、自分なりの答えを出す。
そしてそれを形にする。それが鈴木さんの絵本の作り方なんだなと。
同じように、ニワシドリもこれまでの生態としての歴史があって、
オスは巣は作らないけど精巧なアズマヤを作るようになった。
その経緯が鈴木さんと通ずるところがあるような気がして、
アズマヤを作っている時、彼(ニワシドリ)は楽しんでるのかもしれないな、と思いました。

「なぜニワシドリはアズマヤを作るのか?」鈴木さんがどんな答えにたどり着いたのかは、是非本書にて!


今回のトークイベントの会場はこちら↓


イベントは終了しましたが、鈴木まもるさんのミニ原画展が9月5日(火)まで開催中です!(残りわずか!)


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