見出し画像

"ちょっとした一言”には、変える力がある。手紙×デジタルで始める、令和のシン・顧客コミュニケーション「ホンネPOST」

こんにちは!株式会社はこぶん代表の森木田と申します。
弊社は、ビジネスシーンにおける「顧客と事業者のコミュニケーションデザイン」を主要事業とする、2022年4月創業のスタートアップです。

昨年から"ホンネPOST"というサービスをクローズドリリースして、一部企業の方々にご利用頂いておりましたが、導入先の拡大も進んできたことから、23年8月に正式にリリースしました!

▼サービスリリースのプレスリリースはコチラ▼

プレスリリースでは、サービス立ち上げの経緯や想いといった背景を詳しく伝えられていないので、タイトルに挙げた「顧客のちょっとした一言」の事業成長における重要性と共にお伝えしたいと思います。

1本で収まりきらなかったため、第1弾はサービス内容や社会課題・私たちが作りたい世界について、第2弾では顧客の本音を引き出すためのより具体的なアプローチについて、2回シリーズでご紹介させていただく予定です。

顧客コミュニケーションに興味・課題がある方にお役に立てる内容になっていますので、是非お読みいただけると嬉しいです。
第1弾の内容は以下になります。


1.ホンネPOSTとは?

顧客の"ちょっとした本音"が届く、デジタルレター

ホンネPOSTは、顧客と事業者の間で「匿名の手紙のやり取り」がスマホで簡単にできる、デジタルレターの顧客コミュニケーションツールです。

顧客は利用した商品・サービスに対して事業者に伝えたい感想や要望がある時、ホンネPOSTのQRコードを読み取り、手紙のフォーマットに伝えたいことをストレートに綴って投函すると、ポスッとくん(ホンネPOST公式キャラクター)がそれを匿名で事業者に届けます。

LINE版・Webブラウザ版の2つのインターフェースで展開
(外国語切替も対応)

投函された声はダッシュボードに自動集計され、事業者は「現場で今起きていること」を確認し、タイムリーにサービス改善の施策を打てたり、匿名のまま返事が出せて、既存顧客の離脱改善・エンゲージメント向上やリピート促進のためのアフターコミュニケーションを行うことができます。

左:ダッシュボード  右:メッセージBox

ホンネPOSTを作った目的はたった1つ。「顧客のフィードバックを最も手軽・カンタンに事業者に伝えられる方法を創ること」です。そのためにサービス設計で基本に据えているポイントが3つあります。

・顧客が感じたこと、伝えたいことを「思うまま」自由に伝えられること
・手軽に、簡潔に伝えられるシンプルなUI
・「単発調査」ではなく「双方向コミュニケーション」を軸にしたUX

導入先のとあるカフェでは、従来Googleフォームの顧客アンケートで1年間で100件程度だった回答が、ホンネPOSTでは最初の約1ヶ月で114件の回答が集まったという成果も出ています。内容についても平均50文字・最大300文字を超える回答もあり、ホンネPOSTに寄せられる「ちょっとした一言」には、見過ごされがちな顧客潜在ニーズが多く含まれており、事業者のサービス向上に大きく役立っています。
上記の導入事例:micro FOOD&IDEA MARKET 様

ホンネPOSTの特徴は、以下3つのVOC施策(Voice of Customer:顧客の声)を手軽に、一気通貫で行える点です。

①顧客心理の"見える化"に特化したヒアリング型(*)アンケート/感情分析
②利用後客とのアフターコミュニケーションを通じた離脱改善/リピート促進
③「顧客の声」を活用した集客マーケティング施策

(*)顧客ごとに個別の感想/FBを取得し、文脈から情緒的価値や深い洞察を得るアプローチ

現在、実店舗ビジネスや対面型イベント、企業の新規事業、自治体における市民の声収集など、民間から行政まで幅広いシーンで利用が広がってきており、「自社の事業特性やニーズに応じた、ベストな顧客コミュニケーションができるタッチポイント」の構築にご利用いただいています。


2.ホンネPOSTリリースの経緯

ホンネPOSTでは、解決したい2つの社会課題があります。

(1)サイレントカスタマーは顧客全体の約70%

日経リサーチの調査によると、日本人は商品やサービスを購入・利用した際に不満を感じた時、直接企業に伝える顧客は3割弱にとどまるそうです。
参考:日経リサーチ「生活者痛点 基本調査(2020年2月)

また、サイレントカスタマーを産む主要因の1つとして、伝えたくても「伝えるのが面倒/連絡手段が分からない」という点が挙がります。
参考:トランス・コスモス「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2018」

皆さんも、⽇常⽣活のあらゆる場所で「もっとこうした⽅が良いのに」といった”ちょっとした本⾳”が頭に浮かぶことはないでしょうか?そういった一言には、⼤切な顧客インサイトや事業成長のカギが詰まっています。

⼀⽅で、「スタッフさん忙しそう」「直接は⾔いづらい」「アンケートは関係ないことばかり聞かれて⾯倒くさい」と感じ、モヤモヤしながら何も言わず店を後にする経験が一度はあると思います。私⾃⾝そういう経験がとても多く、「目の前にいるのに伝えられない」という、ラストワンマイルの顧客コミュニケーションの非効率に課題を感じていました。(ここでいうラストワンマイルは物理的な意味ではなく、顧客から事業者へ「直接フィードバックを伝えられる機会や手段」を指しています)

また、一般的にサイレントカスタマーの対象は「不満を抱えている顧客」ですが、ホンネPOSTで寄せられる声には不満・リクエストだけでなく、「感謝・お礼」といった好意的な内容もかなりの割合を占めます(厳密には、導入シーンや問いかけ設計によりばらつきがありますが、総じて好意的な声の方が過半数を占める事例が多いです)。

例えば、丁寧に対応してくれた店員さんに感謝の言葉を伝えたいけど、声をかけるタイミングがなく諦めたといった経験皆さんにもないでしょうか?実際には「好意的な感情を伝えたいと思っているが、直接企業に伝えられていない/伝え方が分からない顧客」も、世の中には多く存在しているということが検証の中で分かった事でもあります。

顧客の喜びや感謝の声は、事業者にとって何よりも「やりがい」を感じられる源でもあり、明日への活力に繋がります。それらも含めた広義のサイレントカスタマーの声は膨大な数にのぼると考えられ、こういった埋もれている声を届けるべき人(=事業者)に1%でも多くきちんと届けることができれば、事業成長に大きく寄与することは間違いありません。

(2)"SNS・口コミ"と"顧客の生の声"の違い

「SNSや口コミレビューの声」と「経営の意思決定のために必要な顧客の”生の声”」は、顧客の声という分類では同じでも、性質的には異なります。
最大の違いは「声を取る目的」「伝える相手」です。

事業者にとって、SNS・口コミは「新規集客・SEO対策」が主目的であり、
顧客の声を伝える相手は「他の顧客」となります。

「他の顧客に紹介する・知らせる」という仕組み上、皆さんも実際に顧客としてSNSや口コミに投稿する際に頭の中で浮かんでいる相手は、事業者ではなく「画面の向こう側にいる不特定多数の誰か」ではないでしょうか?

また、誰でも見られるオープンな場でもあるため、「自分がどう見られるか?」という顧客自身の自己承認欲求という感情も入り混じったり、「本当は不満を伝えたいけど、SNSや口コミにあげるとお店に迷惑になるのでしない」という声も、顧客インタビューの中で良く出てくるコメントで、率直なフィードバックをする場所としてはノイズ要素が多くあることが分かります。

そして、昨今大きな問題になっている「誹謗中傷」という点でも課題があります。SNSや口コミは安全な立場から、第三者(事業者)を容易に「評価・論評できる」という仕組みで成り立っており、どうしても「上から目線」の意見が出てしまいやすくなっています。

ここでいう安全な立場とは、「自分の年齢・立場・経験への責任追求が無い状態で、自分の価値観で相手を自由に評価できること」と定義します。

特に不満の場合「価値観が合わないだけなのに、それを許せず自分の正義感を押し付けることで、相手より上の立場に立ったような高揚感」を得たいという心理で心無い言葉を一方的に投稿したり、ライバル会社が恣意的にネガティブ投稿を行うケースもあります。そういった声が不特定多数の人の目についてしまうことで、必死に取り組んでいる事業者の心身にも、事業そのものにも悪影響を与えていることは事実です。

事業者インタビューの中でも、

「SNSや口コミにあがる顔の見えない声は聞かないことにしている」
「SNSや口コミの声は素直に耳を傾けられない」

といったコメントもあり、これは「事業者本人に直接向けられた言葉」ではない、という点が本質的な理由だと考えます。SNSや口コミは集客のためのマーケティングツールとしては非常に優秀で必要不可欠なものですが、「経営の意思決定に必要な顧客の生の声」とは性質が異なると感じています。

(3)「顧客の生の声」が社内に正しく届けられない

ビジネスは基本的に「顧客のJOB(片付けるべき仕事)」を解決することなので、そのために「顧客からのフィードバック」に耳を傾け、改善の”ヒント”を見つけながらサービスを磨き上げていくことが重要です。

一方で、会社員時代に大きな組織で働いていた時、「現場の声を社内に共有すること」にいつも苦労していました。組織が大きくなると関係者も増えていき、事業の意思決定を持つ経営層は、現場から離れているケースがほとんどです。そういった状況では、現場担当者から定期的に上がってくる業績報告の中で把握することになりますが、顧客との会話の中で拾われた現場の"生の声"は、社内では「現場担当者のフィルターがかけられた間接情報」となるため、信頼度と解像度が落ちます。結果的に、経営層には「それは〇〇(現場担当者)が言っていることだろう」と捉えられ、正確な課題分析を難しくしています。

ホンネPOSTの導入を進める中で、このような課題は大企業に限らず、業態規模問わずあらゆるシーンで起きていることが分かり、現場の声を色褪せずに関係者へ簡単に・ダイレクトに届ける仕組みがあれば、あらゆる場所でもっと本質的な意思決定がスピーディにできると感じたのも、ホンネPOSTを立ち上げた大きなきっかけの1つです。

3."ちょっとした一言"は潜在ニーズの宝庫

私たちがなぜ顧客の「ちょっとした一言」を引き出すことにこだわっているかと言うと、その言葉には「顧客が1番伝えたいこと」が詰まっているからです。

人の意思決定の95%は直感的な思考で決めている」というのは有名な話ですが、商品購買やサービスを利用する際も同じように、1つ1つの意思決定を全てロジカルに判断して決めることはありません。

従って、顧客が「実際に商品を買うときに考えている瞬間の思考」に最も近づけるのが「ちょっとした一言=直感の言葉」だと考えており、それを把握できることは「顧客のJOB(片付けるべき仕事)」を見つけるための大きなカギになります。

実際に、これまでホンネPOSTに寄せられた約3,000件の声には見過ごされがちな顧客潜在ニーズが多く含まれており、事業者のサービス向上に大きく役立っています。

予測できない環境変化・テクノロジーの進歩の中、個人のライフスタイル・価値観の変化はより加速しています。また、モノが溢れている現代、機能的価値だけで差別化するのが難しくなっている中で、情緒的価値(商品・サービスに対する感覚的・精神的な価値)の重要性がますます高まっています

それに伴い、企業にとって⽬に⾒えない顧客の隠れた本⾳(=インサイト)を的確に掴むことが、ビジネスの成功のために今後さらに不可⽋な要素となっています。

日本人は世界でみても「意見を率直に伝える」ことが苦手な文化背景もあり、躊躇いなどの⼼理的ハードルでコミュニケーションが阻害され、社会が⾮効率になっているシーンは数多く存在します。

私たちはその交差点に⽴ち、「顧客の言いたいけど言えない」「事業者の聞きたいけど聞けない」という両者の溝を解消させ「⼼の声の流通」を加速することで、日本の事業創造力の底上げを目指します。

4.次回シリーズでお伝えしたいこと

今回は主にホンネPOSTのサービス内容や、サービスを立ち上げた背景となる社会課題、私たちが作りたい世界についてお伝えしました。

次回は、より実務に一歩踏み込んだ形で「アンケートで顧客の本音が出てこない本当の理由」や、「コミュニケーションで顧客の本音を引き出す、とはどういうことか?」といったテーマで、心理学や行動経済学も踏まえてさらに深掘りした内容で、ホンネPOSTの提供価値をお伝えしたいと思います。

お楽しみに!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?