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亜久里
2021年12月29日 21:43
麻耶の笑顔に、私の口元にも自然に微笑みが浮かんだ。「私も会いたかった。来てくれて、ありがとう」「ううん。未来のお願いなら、喜んで」 私たちは並んでデパート前の並木道を歩いた。その間も、私はうつむいたり、ブランド店の瀟洒な間口をのぞき込んでみたり、ふわふわと足の浮く心地だった。時折、磨き上げられたデパートのガラスに私たちの姿が映った。肩の力を抜いた麻耶の歩幅の隣、念を入れて巻いてきた私の髪