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日本の労働生産性と給与。世界との差はどのくらいあるの?

日本人は昔から「働き者」として知られています。近年は多様な考えや働き方が生まれまていますが、「仕事が人生の中心だ!」という人も少なからずいるはずです。

皆さんは「労働生産性」という言葉を知っていますか?
労働生産性とは、労働の生産量(GDP)と労働者数または労働の量を割り、労働者1人が生み出す労働成果を指すものです。

日本は働き者が多いにもかかわらず、この労働生産性が低い国だと言われています。それは本当なのでしょうか?

日本の労働生産性を世界と比較すると…?

OECD(経済協力開発機構)が発表した2019統計のデータによると、日本の時間当たり労働生産性は47.9ドル(4,866円/購買力平価(PPP)換算)で、77.0ドル(7,816円)で8位のアメリカと比べると約6割の水準と、とても低いです。この額はOECD加盟37か国中21位で、主要先進7か国で見ると1970年以降、最下位の状況が続いています。

時間あたりの生産性

1人当たりの労働生産性は8万1183ドル(824万円)。OECD加盟37か国中26位と下位に甘んじており、これもまた、1970年以降でもっとも低い順位となってしまいました。

そもそも、日本はなぜ労働生産性が低いのでしょうか? 

世界と比べて、日本の労働時間は長くない?

まず、よく言及されるのが『労働時間の長さ』です。
ですが、実はG7各国と比較すると決して長くはないのです。OECD発表によれば、日本の平均年間労働時間は1,598時間で、労働生産性で日本を上回るアメリカ(1,767時間)と比べても働く時間は少ないです。
そのため、労働生産性が低い原因は労働する時間ではなく、効率や制度の部分に隠れているとも考えられます。
例えば、「ものづくり大国」として日本と比較されるドイツです。『ドイツではそんなに働かない (角川新書)』によると、「ドイツは休暇を5~6週間取得し、さっさと帰宅して夕飯を家族で囲む」とあります。現にドイツの労働時間は日本よりも300時間短く、にもかかわらず労働生産性は日本の1.4倍なのだそうです。
同書には、ドイツの働き方は労働効率を重視するだけでなく、消費者重視の日本とは違い労働者重視とも記されています。1日の働く時間も厳格に決まっているそうです。これは、労働者が働きやすい環境を国が作り上げていると解釈できると思います。
一方で、消費者重視の考え方ではお客様第一主義となります。これは確かに便利な世の中です。しかしその分、労働者に負担がかかる仕組みとなってしまっているのかもしれません。

また、「ドイツは休暇を5~6週間取得する」とのことですが、日本はどうでしょう?
エクスペディアが発表した【世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2018】 を見ると、日本の有休取得率、有休取得日数は共に世界19か国で最下位だったのです。これは3年連続で最下位という結果となり、有給取得率はなんと50%。1位のドイツ・ブラジル・フランス・スペインの取得率は100%です。
以上のデータから判断すると、あまり休まず、頑張って働いているにもかかわらず、日本は労働生産性が上がっていないということですね。

高齢化社会に向けて

そして、日本は今後更に『人口減少』『高齢化社会』を迎えると言われています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」は、2015年に1億2709万人だった日本の人口は、2065年に8808万人と減少すると発表しています。後40年余りで、日本に住む人が相当数減ってしまうというわけです。

15~64歳までの生産年齢人口はどうでしょう。こちらも、2015年の7728万人から4529万人に低迷が予測がされています。一方、65歳以上の老人人口は50年間で3387万人から3381万人と、僅かしか減りません。
ちなみに、高齢人口のピークは2042年とされており、そう遠くない未来にやってきます。
先々、生産年齢人口が大幅に減少することで人手不足の状態が顕著になり、経済にも影響を与えることが懸念されます。ともすれば、定年制度のさらなる引き上げがあり、高齢者の枠組みに入ってもなおバリバリ働かなくてはならない時代に突入する可能性もあります。
そんな時代を生き抜くためにも、1人1人の労働生産性を上げていくことが課題なのではないでしょうか。

他国より給与も低い現実

ここまで、日本が抱える労働生産性の問題について言及してきましたが、給与面についてはどうでしょう?

こちらも、2020年にOECDが発表した加盟諸国の年間平均賃金額のデータを基に紹介します。

平均賃金-Average-wage-OECD

(出典:OECD Data Average wages)

データによると、日本の年間平均賃金は 1ドル=110円換算で3万8515ドル(424万円)。1位のアメリカは6万9391ドル(763万円)です。なんと、日本はアメリカの約半分の給与しか得ていないのです。韓国の4万1960ドル(462万円)にも負けています。

この額を高いと感じるか低いと感じるかは人それぞれですが、問題は直近の30年間で各国の所得は大幅に上昇しているのに対し、日本は横ばいということです。

Workbook-OECD平均賃金推移-1990-2019年-

総務省が公表した『労働力調査』(2020)によれば、日本の雇用者数5,620万人に対し、非正規雇用の割合は約37%です。平成元年の調査では約19%だったので、この30年で大きく増えています。正規雇用者より給与の低い非正規労働者の増加も、賃金が上がらない理由に大きく関わります。

どうやって生産性を伸ばすのか

しかし、日本人は置かれている環境に不満があっても、そこに残り続けるという考えがあることが分かっています。

図

図2

リクルートワークス研究所が実施した日本・アメリカ・中国・フランス・デンマーク・中国で働く30代・40代を対象とする「5カ国リレーション調査」では、「給与に満足」「会社の経営理念に共感」といった部分において他国より下回っており、かつ「今の会社で長く働きたい」も低い状態にもかかわらず、「今の会社を辞めたい」と明確な意思を表しているのは日本が最も少ない状況です。

働く環境に何らかの不満を抱く人が多いにもかかわらず、「今働いている会社から去る」ことには非常に消極的になっているのです。年功序列・退職金など、実績や能力でなく、「どれだけその会社に在籍しているか」が重要になる労働環境が影響しているの可能性も考えられますね。

現状、景気が回復する見込みは望めません。不満を持ちながら会社に留まり続けても給与は上がらず、新型コロナのような未曾有の危機に直面したとき、大きなダメージを被る可能性もゼロではなく、不安は募るばかりです。

では、どうすればいいのか?

まず、国や企業が従業員が働きやすい環境を作ることが急務でしょう。
例えば新型コロナの感染拡大で『テレワーク』を推奨する企業も増えましたが、実際、朝の通勤ラッシュは緩和していません。満員電車で通勤をすることは非常にエネルギーがいるものです。1人1人の負担を減らすことで業務への集中力が高まります。
もちろん、出社しなくては仕事にならない職種も多く存在します。こういった場合、企業側が社員の抱えているタスクを把握し、無駄を省くことが大切ですね。それだけでなく、積極的なIT技術の駆使で、人間の負担を軽減することも重要となります。負担が減ると、スキルアップを図る時間も捻出しやすくなります。結果、労働生産性を伸ばすことができる可能性が高まるのではないでしょうか?

1人1人の負担が減ることで、今いる会社であらたな仕事に挑戦する人が出てくるかもしれません。様々な業務をかなす人材になれば市場価値も上がるはずですし、その企業でも重宝されるでしょう。結果、賃金の上昇も期待できます。
とはいえ、そう簡単に労働環境は改善されないはずです。なので、個人の努力も非常に大切になってきます。例えば、本業に支障をきたさない範囲で複業開始するのも手ですね。
経済や高齢化問題は自力で解決できませんが、スキルや経験値を上げることは今からでもできます。必要不可欠な人材になれば不当な環境にNoを突きつけられますし、働き方も今より幅が広がり、労働生産性の上昇に期待ができます。
労働生産性や賃金を上げるには当然、国の施策等が大きく関わってくるのは言うまでもありません。しかし、様々な発表データから考えると、待つばかりでは何も始まらないというのも現実です。これからの時代は、個人1人1人の意識改革が必要となってくるのかもしれません。

意識改革の方法

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