児童書が好きな大人が、本好きの子どもの味方とは限らない
子どものころを振り返って思うのは、「児童書が好きな大人が、本好きの子どもの味方とは限らない」ということだ。
児童書が好きな大人は、だいたい思い出の一冊がある。
大人はその本が大好きで、大好きで、子どもたちに押しつけがましくそれを宣伝してしまう。
大好きなので、今流行っている本を否定し、好きな本を持ち上げようとする。
よく見られる光景だ。
子どもの世界が変われば、受け入れられる作品も変化していく。それは仕方のないことで、だからこそ新しい物語を書き続けなければならない。
また、古い物語も、読み継がれるためには新しい解釈が必要で、そのためには訳を買えたり挿絵を変えたり、工夫していかなければならない。
なまじ子どものときの思い出が強いばかりに、って感じなんだろうなあ。
うちの親は読書家だが、児童書にほとんど興味がなかったため、私の読む本に口出ししなかった。
一時期文字の本ではなく漫画ばかり読んでいたことがあったが、それでも何も言われなかった。
結局のところ、「用意はするが干渉はしない」というのが、本好きの子どもが気楽にいられる一番の状況なのかもしれない。