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1989年の「拍手喝さい」=編集局はなぜ株暴落に沸いたのか

 1989年、あるいは翌年だったでしょうか。配属ガチャの衝撃がなお残るある日、私は早朝の繁忙さから解放され、少しくつろいでいました。その頃はヘビースモーカー(注1)で、雑然とした机で一服していました。編集局では大きなニュースが館内放送されますが、その日は日経平均株価の暴落が伝えられました。すると、どこからともなく拍手が沸き起こり、みんなが喝采したのです。

 映画『バブルへGO!!』なら、未来から広末涼子(注2)が飛んできて、「拍手なんかしている場合ではない!」とたしなめたうえで、記者・デスクらが『お立ち台』(注3)と呼んだ編集会議に乗り込み、「『バブルを潰すな』の論陣を張れ」と諭したことでしょう。金融経済史の回顧は、まずはバブルのピークから始めたい、と思います。

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