逆光.
データフォルダに足跡を残す人類, 歩き続けて痕跡を残す人類. 前者はいずれ忘れ去られて消えていき, 後者は足跡や手垢が朽ちて昇華していく.
もしかして, という言葉が頭を過ぎる. もしかして, 手触り感のないものへの没入感を理解せずに情報だけが移動し続ける日常に慣れ, 触れない世界と一生乖離したまま過去の自分が大切にしていたものが他人に芽生え始めているかもしれない可能性に目を瞑り続けるのだろうか.
もしかして, 手触り感のある情念や手垢の暖かみをただの情報と処理してまたディスプレイの世界へ戻るのだろうか, 心と身体の距離をインターフェースに委ねたまま.
それが誰に分かる. 何が分かる. 分からぬさ, 人は所詮自分の知ることしか知らぬ.
それでも.
僕たちは, 常に知らない世界と共存し続けている.
世界との摩擦を, どう表現し続けて息を吐いていくのだろうか.
友人の個展をサポートしながら現場で話している彼を眺めて唐突に, 対話する意識を道具に委ねて或いは道具を通して生命と生命の均衡を保っているのか, と考えていた.
もしかして...
それでも, それでもと言いたいのは僕にとっての情念が人類への愛おしさに表れているから.
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