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君はヒーロー-よしともくんのはなし-


いきなりですが、みんな、ボランティアの語源で知ってる?
ボランティアってそもそもの意味は「自由意志」なんだって(出典:社会福祉用語辞典byテコム)
今回ご紹介するのは、そんな「自由意志」の人、よしともくん。
よしともくんは現在大学1年生。大学では心理学を専攻している。
ところで、いきなりですが大学生ないし、大学入学経験者のみなさま、受験の時の学部や学科ってどうやって決めた?
丁稚が大学を受験したのは20年ほど前のことなのだが、当時、わたしの周りでは「入れるレベルの大学で、喰いっぱぐれない学部に行く」派がメインだったように記憶している。
具体的には男子だと「経済学部・教育学部・法学部」、女子だと「文学部・教育学部・商学部」が多かった気がします。
なにせ20年前なのでそもそも学部のバリエーションが今ほど無かったのと、高校が文系コースだったので上記のような感じ。
理系コースだとここに医学部・薬学部や工学部が入る感じかなぁ。
そして、文系の場合、教育学部以外は将来の目標が明確にあって入ることは少なかったような気がする。

そもそもキャリア教育という概念がまだ無かった時代なので「キャリア形成を目的とした進路」というよりは「偏差値高めの大学で、ちゃんとした学部にいけばとりあえずどこかに就職できる。だから出来るかぎりそこを目指そう」みたいな雰囲気だった。
ゆえに、A大学偏差値62の文学部とB大学偏差値63の経済学部を併願することはザラにあったし、むしろ進路相談では「将来どのような方向にいきたいか?」「興味のあることは」何か?」よりも「自分の偏差値内で行けそうなところをとにかく受け、合格することをまず目指す」こと推奨していた記憶がある。だから、高校生時点でみんなきちんとやりたい事があって、そこに向かって大学や学部を選んでいることに、まず感動しちゃったりもする。

そういえばわたし高校時代何になりたかったっけ?ラッパーとか小説家とか言ってたような気がする…え?出身学部ですか?家政学部ですよ?マーケティングとか素材研究とか、服飾美学とかジェンダーやってました…とっちらかってはいたけれど楽しかったし、割と今に活かせてはいるので良しとしよう。

閑話休題。
平成時代の大学生に比べて令和の大学生はちゃんとビジョンがあって、そこに向かっていく熱さがあるように感じることが多く、よしともくんもその一人。
なぜ彼が心理学を専攻しているか?それは臨床心理士と社会福祉士の資格が取りたいからで、何故それらの資格を取りたいかといえば、それは彼がスクール・カウンセラー、ないし、スクール・ソーシャルワーカーを目指しているからなのです。(ちなみにどちらも結構な難関資格)
スクール・カウンセラーはざっくりいえば学校でカウンセリングを行う人なのですが(本当にざっくりでごめんなさい)、では、スクール・ソーシャルワーカーとは?「学校生活において児童や生徒が直面する様々な問題に対して、子どもの立場に立って行われるソーシャルワークを行う者の総称で、関係者と連携しながら彼らを取り巻く環境(学校、家庭、地域社会)に対する働きかけを行います」(参照:上に同じ)。ざっくりいえば、人にアプローチするのがスクール・カウンセラー、環境にアプローチするのがスクール・ソーシャルワーカーという感じかな?
両者に共通することは、子どもたちの困難を取り除き、より生きやすくするための支援を行っている、ということであり、それこそがまさによしともくんがやりたいことなのである。
平たく言えば、ヒーローということになりますね。

ヒーローといえば、よしともくんの生きざまは割と主人公だ。
19年間ほとんど勉強に興味なしで成績も宿題も全く気にしておらず、中3の夏に「いける高校ないぞ」と担任に言われて初めて焦ったような人なのに、20歳の現在「臨床心理士」と「社会福祉士」の資格取得を目指して絶賛めちゃくちゃ勉強漬けになっている。
将来住みたい場所は?と聞いた時も出てきた答えは「子どもが困っている場所ならどこでも」である。
なんという主人公感にしてヒーロー感!きっと前世はアンパンマンだ。

そんな前世アンパンマン、現世ヒーローなよしともくんは、たべるばのスタッフとして子どもたちの対応のほか、不登校気味な子への登校サポートや休校期間中のお弁当配達、拠点の管理人などもしておりかなり忙しい。

20歳成り立ての青年だし、遊びたいことも多いだろうに時間配分はどうしているのか?そんな疑問を本人に投げかけたところ、
「遊びよりもたべるばですね。」とシンプルな答えが返ってきた

-え、遊びよりボランティアなの?
-うん…
-なぜ?
-よく友だちにも「なんで?」で聞かれるけど…自分でも「なんでだろうなぁ」って思いながらたべるばを優先しちゃう。
-なんだそれ(笑)
 よしともくん、たべるばの立ち上げメンバーだよね?
-将来子ども関係の仕事に就きたい、という動機でたべるばの立ち上げメンバーに入って、そこから4年間続いているんですよね。
基本的にバイトも続かなくて、2ヶ月とかでやめちゃうのにたべるばは4年続いてる。
-人生の5分の1続いてるのか…なぜ?
-多分ですけど、バイトはマニュアルがあるじゃないですか。
でも、たべるばってマニュアルも何もなくて。気になったことはやってみてOK、そのスタンスが自分に合っていたのかなとは思います。
-高校生の頃からたべるばでスタッフしていたわけじゃない?
当時、周りの友だちとかからはどんな反応があった?
-すげぇな、えらいな、みたいなリアクションが多かったですね。
-今は?
-自分からあまり言ってないせいもあって、大学ではほぼ無風ですね。
でも、自分が凹んだ時とか、誰かに褒めてほしいときは自分から言う。
-ボランティアでこういうことしてるんですよって?
-うん(笑)
それで、すごいね、偉いねって言われてちゃんと気持ちよくなってアガる(笑)
-なんだそれ(笑)

よしともくんはヒーローなのに、かように力が抜けている。
志は高く、意思も強いのになんかちょっとだけ、変。

-子ども支援系の仕事を高校時代から目指していたわりに、勉強嫌いだったり、宿題出さない時期が長かったり。
よしともくんちょっと不真面目なところもあるよね。
-ちょっと変なんですよね、ぼく

「ちょっと変」な自覚はあるみたいでした。
ちなみに、小中通じてあまり勉強も宿題もしてこなかったというよしともくん。大学生活スタートと共に19年間分の「不勉強のツケ」を払うことになり、それはそれでちゃんと苦しんでいるようで…

-当時の自分に会えたらどうする?
-殴る。殴ってでも勉強させます。

とのこと。

-たべるばの活動でも子どもたちから、勉強が嫌いだ、宿題したくないって聞くとちゃんと勉強しないとダメだって説教みたいになっちゃうこともあります。
でも、過去の自分に言ってるようなもんだから、自分が言っている言葉に自分で刺されてる。
-自給自足
-ほんとに後々苦労するから、ちゃんと学校の勉強はした方が良い!

そんなよしともくんに一問一答形式で質問をしてみました。

-もし、自分がセレブ家庭育ちで、小学校から大学までエスカレーターでいけるような環境にいたら、どうなってたと思う?
-たぶん中学生ぐらいでやさぐれて、親のレールになんか乗れるか!って降りちゃう。
それで後々ちゃんと後悔します。
-好きな作品はなに?(音楽でも、漫画でも、映画でもなんでも)
-海外ドラマのウォーキング・デッドが大好き。
主人公の元保安官のリック(ゾンビ)が最後みんなを守るために犠牲になるところはすごくかっこよかった。「家族を見つけた」と言いながら銃をぶっぱなして去っていく。
守るものが出来て、それを守るために戦う主人公の姿に泣きました。
-よしともくんが守りたいものは何?
-子どもたちの将来!
虐待経験のある子は大人になると危ない道に進んでしまうことが多い。
だから自分がちゃんと守ることで、きちんとした道に進んで欲しい。
-子ども食堂で誕生会をするなら何が食べたい?
-う~ん….ロールキャベツ!コンソメスープに浸ってるやつ!配膳とか何もしないで、ただ腕組んで座ってロールキャベツが出てくるのを待っていたい(笑)

…….
………….
……………….

最後に、勉強がただでさえハードなのに、このコロナ禍でリモート講義がメインになってしまい、心が折れないのか?と聞いた(実際にコロナ禍の中で大学の中退率は上がっている)ところ、
「折れないですよ。折れたところで、何にもないですもん。ただ前進するのみ」
という力強い言葉が返ってきた。

よしともくんは「虐待の現場」を目にすることもあるそうだ。
そんな時、彼はなによりも「自分にムカつく」という。
今はまだ大学生だから出来ることがすくない。だからこそ、資格を取った暁には今までできなかったことを全部やってやろうと心に固く決めている。

守るべきものを自分で定め、守る方法を自分で探り、自分で決めた道を突き進む。
全ては自分の意志だから。
よしともくんは真の意味でのボランティア・ヒーローなのである。

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