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収納だけを目的にするとどうなるか。「収納しすぎて家失いました」を読んで

amazonのレビューを参考にして本やモノを買うことが多いと思うのですが、これは「レビューがあまりに酷評過ぎて逆に気になった本」でした(笑)。

レビューの冒頭に「タイトル詐欺」という文字が踊り、自称ファンだという人からも「一番胸糞悪かった」「収納や売却の参考にはならない」とのコメントが相次いでいて…

いやいや、実体験に基づくものだし、どんなにひどい本でもきっと何か得るところがあるはず! と思い購入してみたのですが…
凄い、なんとレビュー通りでした😂

生まれて初めて「読んでる途中で気分が悪くなる」という経験をしたのですが(笑)、その正体は「物欲に次ぐ物欲で家が埋まっていく様子(だけ)を克明に眺めることへの嫌悪感」「満腹なのにさらに無理やり口を開けさせてモノを突っ込まれて行く食傷感」とでも言いましょうか…

普通に考えると、収納の本って「溢れていたモノを見て反省し、モノと向き合う過程でどんどん部屋と心がきれいになっていく様子」を描くものであって、読み進めるうちに「スッキリ」していくもので、「学び」のある内容ですよね。

なぜかこの本にはそういう描写がなく。
そりゃたしかに「タイトル詐欺」と言われるはずだわ、と納得。

本書は、物持ちの良すぎる家族が、「家の半分を収納にしてしまえばたくさんモノが所有できて最高じゃね?」という短絡的な考えのもとに、「億」という金額を突っ込んで北海道に収納御殿を建ててしまった――のはいいけれど、生活スタイルの変化により東京に住むことになり、収納御殿はただのデカいだけの倉庫に成り下がり、そのあげくにローンの支払いが滞って家を手放すことになった、という実話だそうです。
さらにはその収納御殿(ごみ屋敷)からモノを撤去するのに相当な金額を要することになって、七転八倒する、と、ここまで書いただけでまた胸やけがしそう。
このコロナ禍に東京と北海道を何往復もし(交通費だけで相当なものでしょう)ゴミをクリーンセンターに運び込み(それも相当な回数)、お金をかけて集めたものをひたすらゴミとして処分していく姿は、自分の現場でも多数見てきましたが、読んでいるだけでへとへとに疲れます。

過去に私もnoteに書いていますが、「これ、使わないけど捨てるのは忍びないから実家に送っとこ♪」というのは自分の首を絞めることになります。まさしくこの本の内容そのもの…。

収納に関しては確かに全く勉強にならないのですが、そのぶん、反面教師にするには本当に良書だと思いました(笑)
ご自身や家族が溜め込み症の方は、ぜひ怖いもの見たさでご覧ください。
ただ、作者さん(とそのご主人)、病的なまでの浪費家なので、この本が売れて印税が渡ることで、さらなる無駄遣いをするのでは…という危惧が拭えません(;^ω^)

このご夫婦に関しては「溜め込み症」と呼ばれる強迫性障害のことを彷彿とさせてくれるのですが、「コレクション(収集)」と「溜め込み(hoarding:ホーディング)」は違うのだと、ぜひ知っていただきたいですね…。
足の踏み場もないほどのモノに生活空間を圧迫されていながら「我こそはコレクター!」と気取っている方がいらっしゃったら、それはすでに精神疾患の域に達しているかもしれません…。

また、本の途中で、
「市の有料指定ごみ袋で出すより、清掃工場へ持ち込むと10キロ200円で引き取ってもらえます、こちらの方が断然お得ですね!」
みたいな記述があるんですが、えっと、ちゃんと計算できてますか…?
そこに行くガソリン代、往復の作業時間のロスなども計算したらはるかに大損なんですけども…!?
こういう「場当たり的な金銭感覚」(にもかかわらず自分はお金の計算ができる人間だと信じきっている)でいらっしゃるから、家を手放す羽目になるのだなと痛感…。
私はお客様にはなるべく指定ごみ袋で出すように「計画的なゴミ処分」をお教えしていますよ…!?

立ち退き期限が迫る中、ギリギリまで何の作業もせず慌てた挙句、「要・不要」も判断できずに全部捨てる羽目になったご主人の持ち物。自業自得ではありますが、こういうケースが実際にあったというのはお客様にガンガンお伝えしていこうと思います! 

とにもかくにも、モノが多いと家を失う。これは確かだと思わされました。
二度読む気にはなれないのが残念ですが…(苦笑)

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