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Labの男16

 Labの男16

コッ コッ コッ革靴の音に
身のこなしのシャープさが滲みでている。
何もしていないのに絵になるたたずまい
黒髪のロングヘアー白ワイシャツに
細身の黒ネクタイ右手には相棒のタバコ

気だるそうな表情に不機嫌なくちびるが開く
 「この場所でタバコ吸うのが好きで
  よく来るんだ。わざわざ10分もかけて
  このフロアーに来てるんだから
  内緒にしてくれよ 橘ぁ〜」

明智
 「何言ってるんですか
  Labでも関係なくタバコ吸ってるでしょうよ
  メイデンさんだけですよ!
  そんなのまかり通るのっ!」

すぅ〜〜っ はぁ〜〜っタバコで明智を指して
 「この場所は特別なんだよ。話し相手もいて
  ちょうどいいんだよ。内緒だからな」

 「わかりましたよ、ここに来れる人は
  それでなくても限られるんだから
  研究時はクリスタルマン
  上のフロアーに運ばれるだろうし
  地下8階まで来れるのは
  数えるくらいしかいませんよ」

オレンジの灯火が左右に揺れる。
 「違うんだよ、ここに来て岩石男と
  話すのが楽しみなのがバレたく無いの。
  乙女にそんな野暮な所まで
  喋らすんじゃないよ。はずかしい」

 「ほらっあれだっ気味わるく思われるだろ
  こんな岩石男と話してたら」

明智 【はずかしい?
    なんでそんなこと気にしてるんだ?
    そんなこと有無も言わせないくらい
    恐れられている自覚?ないの?】

と思いつつも
いつもおかまいなしに振る舞っている印象
しかない来栖に
恥ずかしいという感情を持っていたことに驚く。

 「わかりました。口外しませんよ。
  岩石男との甘いひと時
  誰も水を差すようなことはしません」

顔を覆うようにタバコを吸い
 「いやいゃ、そんなこと言ってない言ってない
  ちょっと曲がって伝わってるな」

肘で小突く明智
 「誰も、岩石男を独り占めしようとは
  思いませんよ。直接対話が好きなんスね。
  大丈夫です。ナイショですよっ」

明智は仕切りなおして
 「ちょっと休憩して
  みんなで一服でもどうだい?」

クリスタルマンを囲って4人でタバコを吸う。
ごそごそと暗闇に消えていった後
すぐに帰ってきた来栖
隠していた灰皿を持ってくる来栖。
ちょいとしたカワイらしい一面がある。

不機嫌なくちびるが
 「あれっ野口はタバコ吸ってたっけ?」

玄白「橘のが感染っちゃってたまに吸うんですよ
   いつも、もらいタバコで」

 「でっ、コイツは、だれだ?」

万次郎「はっ初めまして ジョン万次郎です」

 「外国人なの?んっ?クォーター?ハーフ?」

吹き出して咳をしている玄白 オホッゴホッガハ

明智「今日はコイツの進路相談に
   クリスタルマンに会いに来たんですよ」

 「ということは、見込みがあるのか?ジョン?」

明智もだんだん半笑いになってきている。
 「ジ、ジョン はっはは、いい線いってます」

 「そうか、岩石男は個人の波長も読み解いて
  答えてくれるからなジョン。
  ほぼ正解が返ってくるからよく聞けジョン。
  ただ我々人類には
  先を行き過ぎた答えに
  理解が追いつくのに時間がかかることもある。
  後々分かることになるだろうから
  胸に留めておいた方がいいぞ!ジョン!」

ジョンは、歴戦の来栖でも
一目置いているクリスタルマンを眺めつつ

  「はい」

 「んじゃ〜 そろそろいくわ。まだ書類仕事
  溜まってんだわ。またなジョン」
そのまま暗闇に消えていく来栖。

即身仏の割には人望が厚いクリスタルマン

明智「犬みたいに呼ばれてたな
   ジョン ジョンって はははは」

  「ジョンってモサくない?」

玄白「吹き出したよ、やっぱり万次郎は
   もってるな はははは」

万次郎「本名の方が良かったですか?」

明智「メイデンさんにしてみたら名前なんて
   どうでもよくて彼女の印象に残るのは
   なかなか難しいはずなんだけどな」

玄白「ボクなんて覚えてもらうのに1年は
   かかったからね」

明智「万次郎は、やっぱり もってるな」

万次郎「なんで来栖さんは名前で呼ばれるのが
    嫌なんですか?
    それとメイデンさんって何?」

それなっ
明智は腕組みをしつつ
 「なぜだか来栖さん昔から
  名前で呼ばれるのを嫌がるんだ。
  肩書きの部長ってのも嫌がる。」

ある日Labでだべってたんだよ。
 「玄白に、アイツは無表情の仏頂面だから
  中世の拷問器具
  アイアン【鉄の処女】メイデンだって
  あだ名付けて笑ってたんだ。
  ヘビメタ感もあるだろって」

ひょっこりと
 「そしたら急に後ろ手に現れて、ビックリして
  メイデンさんって呼んじゃったのよ。」

おでこを押さえて万次郎
 「その時は、大目玉を喰らったでしょう?」

 「それが大丈夫なのよ。
  メイデンさん、どうしたんですか?
  って聞いちゃったんだけどスルーよ
  そのまま普通に返事してきたよ。」

アイアン来栖メイデン京子
 「この辺りにタバコ見なかったか?」

 「だってさ。ナンデ?どおなってんだよ。
  試しに、もう一発かましてやったのよ」

 「メイデンさん、あっちの方っ見てみました?
  なんだったらメイデンさん!
  オレのタバコあげましょうか?」

  「明智さん攻めますね」

アイアン来栖
 「おおっ!気が利くな。やっぱっ直火のタバコよ
  ありがとありがと!2〜3本貰ってくな。
  助かったわ」

 「って普通に去ってくんだぜ〜
  同時に2人顔見合わせて
  んっ?何で?」

 「ナゾだろ〜?わかんないのよ心理がさ。
  以降、部長呼ぶときはメイデンさんなのさ」

万次郎は笑いながら
 「アイアンさんの可能性もあったんですね」

明智 玄白「そうそう」

玄白「でも明智はメイデンさんに気に入られてる
   ってのもあるだろうね。だってあの
   戦慄の来栖とミッション共に行動してたら
   ビビって話かけれなくなるの普通だから」

  「明智はバカだから普通に声かけるからね」

明智「バカ野郎っ!スイッチ2つくらい入れて
   話しかけてるんだよ。
   口が悪いところもあるけど
   やさしいからな」

万次郎「あれ?明智さん好きなんですか?」

 「おいおいおい、何聞いてるんだよ
  ミッションでもスイッチ1つ入れるくらい
  なんだぞ。キリングマシーン来栖だぞ」

ごそごそ後ろに戦慄の
 「橘ぁ〜エレベーター動かないんだけど
  スイッチ入んないわ」

ドキーーーッ
「うおぉぅ、メイデンさん
       一緒に行きますわっ」

スイッチを3つ入れてメイデンと消えてゆく明智

玄白と万次郎は顔を見合わせて
 だっはははははっは

玄白 万次郎
 「明智も もってますね ははははっ」

しばらくして………

帰ってきた明智
 「危なかったぜ〜
  あれわざと帰って来てなかったか?部長?
  あっぶないぜ、ぶっ飛ばされっから」

玄白「あれは聞こえてたんじゃない?」

万次郎「明智さんは もってますから」

ネクタイを直しつつ明智
 「そろそろクリスタル大明神
  三者面談と洒落込もうかい」

万次郎
 【ちょっと情報量が大渋滞で明日
  知恵熱でも出るんじゃないかな】

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