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Labの男50

 Labの男50

大型の人事異動が実施された。上層部は直接
クリスタルマンにアプローチできるようになり
よりオーバーテクノロジーの恩恵を受け
技術面で他製薬会社と格の差をつけたい
組織ならではの思惑がある。
エビス薬品工業はかねてからクリスタル案件を
ごく少数の限られた者で取り仕切るのに躍起だ。
日本の公での諜報部 
外事課に台頭できるほどの力を得ようと
水面下での攻防は繰り広げられている。

外事警察または外事課
(がいじか Foreign Affairs Division)
日本の公安警察の中で、外国諜報機関の諜報活動
国際テロリズム・戦略物資の不正輸出
外国人の不法滞在などを捜査する課である。
1947年、GHQによって内務省は解体されたが
外事警察は特高警察の後継組織である
公安警察に組織された。
戦後の外事警察は、ソ連・中国・北朝鮮など
共産圏による諜報活動の防諜に従事した。

現フロアー地下8階からビルの最上階8階へ移動
いつ何時でも手を煩わせずに
最上階から最下層まで
直通のエレベーターを設置。
クリスタルマンは少なく見積もって2トンはある為
警備問題と底が抜けてしまう問題で
地下に安置されていたが、
今回を機に
クリスタルマン専用エレベーターを作成
たたみ2畳分ほどのエレベーターは、
3トンは絶えれる仕様で
建物全フロアーを移動でき
永続的にエレベーターフロアーが設置場所
クリスタルベースとなる。
最上階に置かれる理由は
クリスタルマンとのアクセスへの
ジャミングが少ないからだ。
最上階が最重要フロアーとなった。

いつの間にか明智Laboは万年ひかりの届かない
元クリスタルマン保管フロアーの地下8階に
追いやられてしまった。
それと共にツリーマンのウッディーと
元イワノフがうち預かりになった。
最上階8階はクリスタルマン関係全般
建物全体が8階とそれ以外あつかいとなり
玄白にしてみればマークが減って、
以前以上に好き勝手にできそうだと喜んでいる。
玄白は機嫌よく鼻歌まじりで
首なしイワノフこと
イワノフボデイを検査している。
重厚なエレベーターの扉が開き
誰かが入って来た。
白衣のポケットに手を入れ
不機嫌に口をとがらせ後ろで髪をくくった女性
 コツコツコッ

  「あれ?
   久しぶりじゃないルナ先生!なにか用?」

 「人事異動って何よ?
  あまりにも猶予に余裕なさすぎない?
  選択の余地は?
  決定事項が勝手に突き出されただけよ」

  「えっ!
   もしかしてルナ先生も
   明智Labo預かりになるの!
   まるで面倒な
   荒くれ野郎たちの吹き溜まり扱いだね」

 「なんの労いも何もないドライなものよ!
  なんなのよアイツら!」

  「それじゃ〜もうボクらの動向を
   監視しなくてもいいんだよね?
   え?もしかしてまだ監視任務は継続?」

 「なぁ〜んだ!知ってたんだ!
  ちょっと罪悪感が薄れたわ!
  よかったっ玄白がそんなので」

  「よくある事だろう?
   ボクだったら監視付けるだろうからね。
   ということは上層部の思うように
   クリスタルマンにアクセスできるように
   なったって事だよね」

 「だからアタシも用無し。
  あっさりしたものよ!まったく
  これでもエージェント兼医療班だっつうの!
  スパイのスパイは疲れるんだからね!
  おっと ゴメンごめん玄白ぅ」

  「いやいゃ〜タイヘンだね〜
   ルナ先生はただ仕事を
   こなしてただけだろうからね。
   悪く思う必要はないよ。でもこれからは
   腹割って話してね」

 「そうね!よろしく玄白」握手する2人。

 「それはそうとマコちゃん元気してる?」

  「元気よ、げんき
   ますます研究に没頭してるよ。
   それにウッディーもこっちに来たでしょ。
   今は彼と話し込んでるよ」

 「彼女オンナっぽくなくて好きなのよね。
  ヘンに気を使わなくてもいいから
  それに自身の研究にアツいでしょ?
  そこも信用できるわね」

  「あんまり女子ウケが良くない方
   なんだけどねカノジョ。
   うじうじとめんどくさい女ならではの
   環境とかが苦手なんでしょ?
   お互いにオスっぽいのが
   良いんだろうね」

 「それにおそらくは、
  男の趣味が被らない所もいいわよね。
  私は、ウソつかない男がいいんだけど
  彼女あれでしょ?ダメンズ好きよね」

  「ビンゴだね。わざわざややこしい所を
   引っ張ってくるのがマコちゃんらしさ
   なんじゃないかなぁ〜」

 「もう、上の階には私の席がもうないのよ。
  だから、色々持って来ていい?」

  「ああ、いいよ。
   それにしばらくの間借りだった筈なんだけど
   どうも明智Laboは
   この最下層に決定っぽいよね?
   もう少し研究施設な
   たたづまいにしないとね」

 「分かったわ、ありがとう。
  私物いっぱいあるのよ
  ちょっと取ってくるね」

  「ちょっと!マコちゃんにウッディーっ!
   研究に必要なのかき集めて来てよ!
   新生、明智Laboに相応しい
   感じにしたいからね」

のそのそと歩いてくる2人。
 「えっ、嘘でしょ?こんなカビ臭い所が
  Laboになるの?どんなけ扱いが悪いのよ
  失礼しちゃうよねっ!
  かなり貢献してるっつうの!」

  「ここがボクの新居になるんダスか?
   陽の光が浴びれないのはちょっとだけ
   イヤだダスなぁ」

 「大丈夫だよウッディー!マコちゃんが
  イワノフの頭を作るついでに
  日焼けサロンみたいな人工太陽も
  作ってくれるんじゃない?」

  「そうよね。もうちょっと湿気っぽさを
   一身しないとね。あと机とかもどっかから
   くすねて来ないとね」

 「それはそうと、マコちゃんはどう思う?
  イワノフのエネルギー源って何だろうな?
  首の部分は輪切りになったままの
  剥き出しだもんね」

  「そういえば以前よりも少し肉付きが
   シャープになってるものね。
   クチが無いんだから
   どうしたものかしらね?」

 「イワノフヘッドに口付けてあげたら?」

  「それもそうよね。
   その内、明智Laboの面子
   フリークショウよろしくの
   見せ物小屋みたいにならないかしら?
   ややこしい奴ばっかり送られてきそう」

 「それはそれで
  多様性を体現した部署になっていいんだけど
  サステナブル担当になっちゃうと
  再生工場みたいになっちゃうのは
  さすがに疲れちゃうね」

あいも変わらず玄白は
まるで自分の事じゃ無いように話すのに呆れる
ウッディーとマコちゃん。

 「それとルナ先生も、うち預かりになるからね。
  ホントに明智Labo流しになったから」

  「えっ〜っ ちょっと嬉しいけど
   玄白の言い方〜っ!
   罪人の島流しみたいに言わないの!」

 「だってルナ先生って監視役だったんだよ。
  我がLaboによからぬ動きがあった
  時の為のね。
  だからある意味、島流しなんだよね」

  「だったら首切りに近い扱いじゃないのよ!
   とんでもないねっまったく!」

組織のためとは
個人の気持ちは反映されないものだ。
次は我が身と
盗聴もそれほど悪くなく感じてきた
マコちゃんだった。

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