最近の大卒就職率が良い本当の理由

2025年卒業の就職活動も佳境に入ってきた。
4月1日時点の内定率は58.9%。
現行の就活スケジュールになってから過去最高である。
直近10年は驚くほどに就職率が高い。
途中コロナ禍を挟んだが、それでも就職率70%を超えている。(リーマンショック前でも70%は超えていない。)
売り手市場が続いているが、理由は決して喜ばしいものばかりではない。

ここ最近の就職率が良い理由は下記の4点である。
①:成長業界における人手不足
②:企業内部での人手不足
③:中小企業・ベンチャー企業への就職者増加
④:大卒者を採用する業界の増加

①について、一部の業界(IT・コンサル)では需要拡大に伴い、
良い意味での人手不足が発生している。特にコンサル会社に就職する人は驚くほど増えた。けれども、新卒にコンサル業務なんて出来るのだろうか….。余程優秀な人でないとこなせないと思うが。

②について、安定成長期(80年代中盤)に採用した世代の退職や人数が少ない世代の補充といった企業内部で発生している人手不足を解消するため、多くの大卒者を採用している。
景気が良いからというポジティブな理由ではなく
企業活動を維持するための対応と言っても良い。

③について、若者の大企業志向は下がってはいない。だが、個性的だったり福利厚生をウリにする中小企業や勢いのあるベンチャー企業も増えてきており、大卒の就職先は多様化している。現在は就活ナビが充実しているため、大企業でない企業でも情報をオープンにしやすい。学生側も様々な規模の企業を探しやすい。

④について、小売、アパレル、飲食、福祉、警備、現業職など
大卒者を採用する業界が増えた。
正直ホワイトカラーと言えるかは分からない。
30年前までなら大卒を殆ど採っておらず、高卒が中心であった。
(中小企業もだが)
バブル崩壊後の高卒就職の減少および
大学進学率の上昇に伴って、大卒が携わる仕事が増えた。

文科省が出す就職率の数字が高いから、
就職しやすくて良かったねという話ではない。
就職の実態や内訳を確認しないと意味が無い。

安定成長期やバブル期のように景気は良くない。株価だけが高い状況。
1人あたりGDPも台湾や韓国に抜かれている。上り調子の時代ではない。
構造不況業種も沢山生まれている。鉄鋼、電機、ITハード、銀行。

そう考えると、今の若者が就職に恵まれているわけではない。
(仕事に優劣は無いのだが、世間的に良しとされる)
大企業やホワイトカラーの仕事に就けない大卒も珍しくない。
こういった仕事に就ける人の割合は、世代ごとに大差は無いでしょう。


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