就職氷河期世代の実態を調査・分析する①〜団塊ジュニア世代(1971年〜1974年度生)〜

就職氷河期世代とは、バブル崩壊後の不況期に就職活動を迎えた世代であり、一般的に1970年度生〜1982年度生が該当する。厳密な定義は無い。

不況と一言でいっても、10年以上も続いたため年度によって状況は異なる。バブルから不況への移行期もあれば、有効求人倍率が1を切るような慢性的な不況期もあった。

だから、氷河期世代と一括りにされていても、就職のしづらさは、生まれ年や最終学歴で大きく変わる。

また、就職というと大学卒業者の就職を連想させる。現在、若者の大学(4年制)進学率は50%を超えて、高卒や短大卒の就職者が少ないから、そう考えるのは仕方ない。
一方、氷河期世代においては、大学進学率は高くなく(25%〜40%)、高卒・短大卒が高い割合を占めていたことを留意しなくてはならない。

今回の記事では、団塊ジュニア世代(71年〜74年度生)の状況を分析する。

生まれ年と学校卒業年度(最終学歴別)の景気を下記の図1にまとめた。

図1:生まれ年と学校卒業年度(学歴別)の景気

なお、1974年度生まれまで、高卒者の進路は、3分の1が就職、3分の1が短大・専門学校。3分の1が大学であった。その年より後は就職者が年々減っていく。現在、就職者は高卒者の8分の1。

バブルに伴う採用拡大の恩恵に預かれたのは、93年卒まで。
図1を見ると、93年卒に該当するのは、高卒なら74年度生まれ。専門・短大卒なら72年度生。大卒なら70年度生。

94年卒は、少し氷河期。ギリギリセーフです。
95年卒から氷河期突入です。

団塊ジュニア世代=就職氷河期世代の先頭ランナーと語られるけど、氷河期の被害を受けた人の割合は少ないんです。
大卒なら72年〜74年度生。
専門・短大卒なら74年度生。
当時、大学進学率は25%。専門・短大進学率は30%(専門18%+短大12%)。
氷河期の被害者は、72年度生:25% 
73年度生:25% 74年度生:55%

むしろ、バブルの恩恵受けられた人の方が多い。
高卒なら71年〜74年度生。
専門・短大卒なら71年〜72年度生。
当時、高卒で就職する割合は30%。
バブルに恵まれし者は、71年度生:60%、72年度生:60% 73年度生:30% 74年度生:30%

皆がみんな、バブルの恩恵を受けられたり、氷河期の被害を受けた訳ではない。
この世代は、高卒や専門・短大卒で就職する方が大卒で就職するよりも、条件が良い企業に就職できたケースが多かったと考えている。
大卒に関しては、最高レベルに厳しい大学受験を乗り越えたのに、就職も厳しくて本当に報われない……

バブル崩壊で、人口が多い団塊ジュニア世代の
雇用を十分に受け入れられなかったことが問題と良く語られる。
ただ、実は団塊ジュニアの雇用問題については、
バブル前の1985年に議論の話題に上がっており、
就職できない人が沢山発生すると予想されていた。(出典:21世紀のサラリーマン社会 経済企画庁総合計画局より)

この頃は人口の多い世代(1967年〜75年度生まれ)が就職し始める時期だった。
この世代より前は人口が多くなかった(1学年155万人〜170万人)ため、安定成長期で経済成長率が低くても、雇用にあぶれる人は少なかった。
ところが、同じペースの経済成長率だと、人口の多い世代の雇用を吸収しきれないと予測された。

運良くバブル経済を迎えたため、この世代の大多数(67年〜70年度生の殆ど、71年度生:60%、72年度生:60% 73年度生:30% 74年度生:30%)の雇用を無事に受け入れられた。
就職氷河期が人口の多い世代にクリティカルヒットせず、雇用問題の深刻化を抑えられたのは救いだった。

団塊ジュニア世代の就職について、個々の事情を見ると、就職氷河期の被害を受けた人はいるのだが、
世代全体としては被害は少なめである。

被害が大きいのは、この後のポスト団塊ジュニア世代(1975年〜1982年度生)です。
次回の記事では、この世代の実態を調査・分析する。

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