最近の就職活動における大変さ

ここ10年ほど、大学生の就職活動は売り手市場と言われているけれども、大企業への就職者数が多いわけではなく、ただ就職率が高いだけ(詳細は9/2の記事を参照)。

こうした数字で明らかになる部分以外でも、
最近の大学生が、過去(バブル期や就職氷河期)と比べて、大変だと感じられる要素を紹介したい。


1.一般職・エリア総合職採用の縮小

メガバンク、損保、総合商社は、2017年入社まで大量に一般職・エリア総合職を採用していた。
18年入社から、メガバンクが採用人数を減らし、続いて損保も減らした。総合商社にいたっては、三菱商事(20年入社より)、三井物産(24年入社)、住友商事(21年入社)が一般職採用を廃止した。

たった数年で、一般職採用の枠が一気に削減された。もはや、一般職入社→30才頃に寿退社→専業orパート主婦というキャリアが珍しくなった。

削減の影響を受けるのは、主に女子学生でしょう。女子も総合職を希望して就活せざる負えなくなった。
仕事へのコミットメントに重きを置いていない人には地獄のような状況。
現在の20代は、男子、女子関係なく、一億総総合職世代として、就活やビジネスで競争しなければならない状況です。

2.就職活動の早期化・長期化

現在の就活スケジュール(4年の6/1選考解禁)は、17年入社から始まった。
※解禁と言っても、守っている企業は伝統的な大企業くらい。

それ以前(98年〜15年入社)は、選考解禁が3年の12/1・3/1と早すぎたため、学業に支障をきたすとして6月解禁へ変更した。

ところが、10年程前より、3年時からインターンシップへ行く学生が増え始めた。インターンの中には本選考に繋がるものもある。
大企業・人気企業はインターンでも、就活本番さながらの選考がある。

インターンの参加率は年々増えており、25年入社は、89.5%にも登った。(マイナビ 2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査より)
この数字、3年の10月時点での結果ですからね。
もはや、3年夏頃からインターン(=実質的な一次選考)に参加して、4年に入って本選考が当たり前の流れとなっている。

就活は早期化&長期化(大企業志望)している。現に25年入社については、6/1時点の内定保有率が85.2%。(6/1解禁開始の17年入社は54.8%)
大企業志望の学生は、解禁前に滑り止めみたいに内定を持っているのが当たり前である。

3年生から、就活に力を入れなければならないため、学業との両立なんて不可能。

3.企業のランク付けに関する情報の多さ

本来、企業や職業には序列は無い。
しかしながら、インターネット上では各企業の平均年収や就職難易度に関する情報が溢れている。 
良くも悪くも、様々な情報に簡単に触れることが出来てしまう。

そもそも、90年代後半までは平均年収(=40歳位の年収)という考え方がナンセンスだった。
理由として、バブル崩壊まで収入と物価が上がっており、この頃は再び上がると信じられていたから。現在のように30年近く収入も物価も横ばいという状況ではなかった。
大学生が20年後、つまり40歳位の年収を見て、生活レベルを参考に出来なかった。

現に、2003年卒までの就職四季報には、現在のように社員の平均年収は記載されていない。30歳時の月収(目安)が☓☓円と書いてあるだけ。

また、収入の話だけでなく、2008年頃から新卒就活での就職偏差値なる物差しも存在している。質の悪い話である。大学受験のごとく、就職の難易度が偏差値に置き換えられて、細かくランク付けされる。

このように、平均年収や就職難易度といった、企業の序列に結びつけられる情報のおかげで、否応なしに就職先を比べられるリスクに晒されている。

インターネットがあっても無くても、景気が良くても悪くても、女性の社会進出が進んでも進んでなくても、いつの時代も就職活動は学生の負担が大きいと考えさせられる。


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