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東大生ラッパーと大雑把につかむ世界史【第6章】

 こんにちは!東大生ラッパーの法念です。前回は「第5章」で「それぞれが自立する時代」の話をしましたね。(目次はこちら
 今回は、13世紀の様子をみていきます。この講座では、この時代を、「モンゴルの時代」と呼ぶことにしますよ!ではいきましょう。

モンゴルの時代(全体像)

 この時代、ついに中央ユーラシア世界全体を統一する帝国が登場しました。モンゴル帝国といいます。中央ユーラシア世界を統一するような帝国は後にも先にもモンゴル帝国だけです。

 モンゴル帝国は各世界に侵入し、いくつかの国を滅ぼします。一方、モンゴル帝国が広大な領域を支配したことで、帝国のなかでの長距離の行き来がしやすくなります。いくつもの国を通過するより、一つの国の領域の中で移動する方が、圧倒的に楽ですし速いですよね。

 モンゴル帝国のなかで広大な商業のネットワークができ、経済が活発になると同時に、その周りの地域でも商業が発展します。とくに、「それぞれが自立する時代」であつかったように、海の道はさまざまな商人によって非常に発達していました。海と陸の商業ネットワークが結びつきを強めて、ユーラシアを大きく覆うようなネットワークができたのです。

 さて、モンゴル帝国は、だんだん支配する領域を広げるにつれて、やがて一つの帝国だけでの支配は難しくなりました。いくつかの帝国の連合体として、ゆるやかにつながるようになるのです。本家(親分)は東アジア世界の大元ウルス(ウルスというのはモンゴル語で「くに」などの意味です)でした。子分の帝国たちは、各世界のお話で紹介しましょう。

2020年04月10日19時24分57秒_page-0001

モンゴルの時代(それぞれの世界)

 東アジア世界では、西夏と金が相次いでモンゴル帝国によって滅ぼされます。モンゴル帝国の親玉は、国の名前を「大元ウルス(元)」に変え、東アジア世界を支配しました。そのさい、(南宋)は元によって滅ぼされています。元は、宋にかわる「中華帝国」として振舞ったわけです。

 中央ユーラシア世界は、繰り返しになりますが、モンゴル帝国が統一しました。モンゴル帝国はいくつもの国の連合体となるわけですが、とくに中央アジアにはチャガタイ=ウルスという国が繁栄していました。

 東ヨーロッパ世界は、ビザンツ帝国が存続していますが、ほぼ死にかけのような状態であることを抑えておきましょう。東ヨーロッパ世界にもモンゴル勢力は侵入し、ロシア平原のあたりにはモンゴル勢力がジョチ=ウルスという国を建てました。ビザンツ帝国はジョチ=ウルスとも交易を行っています。

 西ヨーロッパ世界は、神聖ローマ帝国が存続しています。交易もより一層活発化し、地中海の交易も、より発展しました。というのも、イタリア商人は、地中海東岸まで行って、ムスリム商人から香辛料を仕入れるなどしていたのです。ムスリム商人は香辛料をアジアから仕入れています。

 イスラーム世界は、形式上リーダーであったアッバース朝がモンゴルに滅ぼされてしまいます。一方、エジプトに建てられたマムルーク朝という王朝はモンゴルに勝利します。今度は、マムルーク朝が、アッバース朝のカリフを保護した、などとしてイスラーム世界のリーダーになっていくわけです。一方モンゴル勢力も国を建てました。フレグ=ウルスといいます。フレグ=ウルスはやがてイスラームを受け入れました。

 南アジア世界は、このころイスラーム勢力が国をつくるようになりました。デリーという都市を首都において、いくつかのイスラーム王朝が次々に南アジア世界を支配しました。これをデリー=スルタン朝といいます。デリー=スルタン朝も、モンゴルの侵攻を受けましたが、なんとかデリーは守り抜きました。

 東南アジア世界も、モンゴルの侵攻を受けました。滅んだ国もありましたが、モンゴルは海の島々までは支配することができませんでした。海の道もたいへんな発達をしましたから、いくつもの国が繁栄しました。とくにシンガサリ朝という国を抑えておきましょう。香辛料貿易で発展した国です。ムスリム商人がこの香辛料を買って、地中海東岸まで運び、イタリア商人に売るのでした。

 今回は以上になります。こまかい「世界」の話は高校生の方だけで大丈夫ですよ! モンゴル帝国が広大な領域を支配したこと、それにより、海でも陸でも交易が非常に活発化したことをおさえておきましょう。
 また、各地のモンゴル勢力は、それぞれの土地の文化や慣習などを受け継いで支配することが特徴的でした。中央ユーラシア世界が拡大して、溶けていくイメージです。だんだん「世界」の線がぼやけていくわけですね。イスラーム世界も南アジア世界まで浸透して、溶けていっています。この時代あたりから、「世界」の線を書くのがかなり難しくなってきますよ。
 では、最後に「モンゴルの時代」の復習ラップを聴いて復習しましょう!
https://youtu.be/f_Vf2cXPwCw


 次回、第7章は、この大きな交易圏が、一時的に崩壊するお話です。なぜ崩壊するのか、新型コロナウイルスにも近い内容がでてきますよ! お楽しみに!

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