見出し画像

『パヨカカムイ        ユカラで村をすくったアイヌのはなし』             かやの しげる・文      いしくら きんじ・絵     小峰書店


沖縄同様に北海道の先住民族アイヌの言葉も異国の地のようで、全く分からない。そして、独特の文化を継承している。

民族に惹かれる、わたし。

この絵本は、アイヌ民族に語り継がれた昔話。 一人でも多くアイヌの物語に親しんでほしい気持ちがあった、“萱野 茂”さんが、自身が少年時代に語っていた

《ユカラ》=昔話

を絵本にしたものです。

画像1

鹿や熊は大切なタンパク源。狩が下手なお父さんが得意なこと、それは、ユカラをはなすこと。

毎晩、こどもに昔から伝わるユカラを語っていたお父さん。

ある日、川岸へ現れた、病気をまき散らす神

《パヨカカムイ》

お父さんは、魚のしっぽやヒレをあつめて、器に入れてパヨカカムイにお願いします。

“ここにいらしても、何もありません。     僅かなお供えものですが、これを持って、どこかへ行かれてください”

画像2

その夜、お父さんの夢にでてきたパヨカカムイ。

“あなたのユカラが、あまりにも面白く、聞き惚れてしまって、病気をまき散らすことも忘れてしまった。あなたは、良い心を持っている。

ユカラは、子ども達だけではなく、人が死んだ時、熊を送る時にも話しなさい。”

人が死んだ時は、物語の途中から語り、最後まで語り終わること。              それは、死んだ人が、ユカラの続きを聞きたいと、この世に戻ってくることがあるから。

熊をとったときは、ユカラを最初から語って、話が面白くなったところで辞めること。      熊の神は、話の続きを聞きたくて、何度もアイヌのところに戻ってくるから。

画像3

こういった、昔から語り継がれる話は、   多々にして、“”自然と人間“”との関わり方を教えてくれています。

子どもの頃は、その話の全容がわからなくても、暮らし育つ中で、だんだんその意味がわかってくる。 

父母が、祖父母が、近所の人が話していたな。

というような、そんな記憶を繋いでいく。

画像4

その村には、病気がはやることなく、鹿や熊もたくさん獲れるようになったとのこと。

ユカラを語ることで、村を守ることができる。

だから、ユカラを語り継いでいくことは、大事である。ということを伝えている絵本です。

伝承することの難しさ。時には、曲がりくねって、始まりの意味とずれているのかもしれない。

私の父も、寝る前に大蛇が出てくる話をよくしていたな。まぁ、それは面白おかしく作られた昔話だったけど、それがまた、今でも記憶に残るほど、私にとって楽しい時間だったのです。

画像5


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?