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義母に教わる

いつも家で何食べてるの?

11年前、新婚当初。
義母にされてイヤな質問ランキング1位に君臨していたのがこの言葉だ。

私はこの質問をされるたびに探られているような、信用されていないような、どうせ大したもん作ってへんのやろと思われてるような気になった。

「なんであんなこと聞くんやろ。」
夫にそう言うと
「料理の話がしたいんじゃない?」
と返され、そんなワケないやん!!!と心の中ではげしく突っ込みを入れたものだ。

今なら分かる。
そんなワケあったのだ。
義母は料理の話がしたかっただけに他ならない。
だって義母は料理が好きだから。

探られているような気になったのは私の問題。
要は料理に自信が持てなかったからひねくれた捉え方をしていたのだ。


数日前、義母の誕生日だった。

夫や夫の両親、子供たちの誕生日、お祝いの日には赤飯を炊いている。

この赤飯の炊き方は8年前、夫の実家近くに引っ越してから義母に教わったものだ。

小豆を小鍋で炊く。
もち米と白米の分量は4:2。

小豆は固くても口に残るし、柔らかすぎると炊き上がって混ぜる時につぶれてしまう。
この加減が難しい。

私はお祝いごとの度に赤飯を炊いた。
夫の両親は「良い加減に炊けとるなー。」といつも褒め言葉を忘れない。

その赤飯を近所に住む夫の祖母と伯母のところへ持っていく。
するとその日のうちに電話が鳴る。

「お赤飯おいしかったよ。○○ちゃん(わたし)上手やわー、ごちそうさま。」


今は単純にこうゆうのいいなと思う。

お祝いに赤飯炊いて配るっていつの時代だと思っていた。
でも、自分が作ったものをおいしいと言ってもらえると嬉しいのだ。
そして、いつのまにかおいしいと言ってくれる人達のことも好きになっている。

義母は料理が好きで、私は義母の作る料理の味が好きで。
それなら素直に教わろう。
作り方以外にも大切なことを教えてもらえるかもしれない。


いつも何食べてるの?

そう聞かれたら素直に答えればいいのだ。

昨日はお鍋にした、とか。
柿をサラダにしたらおいしかった、とか。
餃子を焼いたらフライパンにくっついてしまった、とか。

そしてそのあとこう言う。
お義母さんは何食べてますか?

きっと楽しそうに、いろんな話を聞かせてくれるだろう。




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