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1月・コートえらびの基準

初詣に着たいかどうか。
それを想像してワクワクするかどうか。

洋服を選ぶとき、特に便利さ重視ではなくフィーリングで購入したとき、わたしは「この服を着て旅行に行きたいなあ」といつも思う。
旅先で着ている様子を想像しテンションが上がる。

コートの場合この「旅行」が「初詣」にかわる。

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高校生くらいまで元旦に親戚一同で初詣に行く習慣があった。

学校は制服だし、休日も運動部に所属していたため洋服を着られる機会はかぎられていた。

ファッション雑誌が大好きで、お気に入りのコーディネートがあればうっとりと穴があくほど眺め、切りとって部屋に貼ったりノートにコラージュしたり。
勉強もろくにせずそんなことばかりしていた。

中学生のころは友人とファッション交換日記なるものをしていた。
交互にお題を決める。
たとえば「チェックのスカート」。
それに合うコーディネートを考え、イラストを描き色を塗り、お互い「いいね、かわいいね」と感想を伝え合う。
こういうのもいいね、こうしてもかわいいかも。
ファッション雑誌の企画をマネして交換日記にしたものだったのだけどあれは楽しかったなあ。
今でも実家にあるのだろうか。

高校生になれば唯一自由に選べるスニーカーと、あとは冬のマフラーや手袋をいかにおしゃれにできるか(おしゃれだと思ってもらえるか)に注力し、部活帰りには友人とコンビニでやっぱりファッション雑誌を立ち読みという日々。
ああ、この情熱を勉強に注げたらどんな人生を歩めたのだろう。
今の人生気に入っているけどね。

話が逸れてしまったが親戚一同で初詣である。

そんな大好きなファッションを楽しむ機会が限られていて、しかも自由に洋服を買うこともできなかった中高生の頃。
冬生まれのわたしは何度か誕生日プレゼントにコートを買ってもらった。

忘れもしない。
初めて自分でコートを選んだのは中二の冬。
それはベージュのツイード素材で、大きめの丸い襟が付いていて、ウエストがやや絞られた膝丈のレトロな雰囲気の一着だった。

これを着て初詣に行くんだ!と想像する。
ものすごく嬉しくてワクワクした。
一大イベントだった。

それから2年おきにコートを買ってもらったと記憶していて、高一の冬にはフードの付いたベージュのムートンコート、高三の冬にはネイビーのコーデュロイのジャケットを買ってもらった。

いずれももちろん初詣に着ていった。
親戚のおばちゃん達が誉めてくれるのも嬉しかった。

スポンジみたいになんでもぐんぐん吸収してしまうような、多感な時期におぼえたこの高揚感はその後アラフォーになった今でも身体に染みついている。

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昨年コートを買った。
今年も大活躍している。

黒のノーカラー膝下丈で、シンプルだけど少しだけ感じられるレトロな雰囲気は初めて選んだあのコートを感じさせないこともない。

もちろん頭の中にはこのコートを着て初詣に行くわたしがいた。

マスクの下でニヤリとしながら。


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昨年から漠然と季節ごとのファッションにまつわるエッセイを書いてみたいなあと思っていました。

年が明けて、スタートさせるのにちょうどいいので2023年は毎月書いてみます。

あと私のアイコン、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんがイラストレーターのノリタケさんの絵で、持ってるノートの表紙を撮ったものなんです…
まだnoteを始めたばかりの頃になにも考えずアイコンにしてしまったのですが著作権とか大丈夫なのか??と急に不安になり近々変える予定です!
すっかり愛着がわいてしまってさみしいんですけどね。

最後になりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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