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【人間は愚か】PUI PUI モルカーに見る、自由という刑に処せられた者たち

人間は愚か。

『PUI PUI モルカー』を見た大人は、全員口を揃えてそう言う。

この国の関心ごとは、電車で隣に座った人のマスクがウレタン製かどうかではなく、UUUMを解雇された大物YouTuberの行く末でもなく、どうやって『Clubhouse』に招待してもらうかでもない。

我々の感心は、いまや『PUI PUI モルカー』に登場する人間の愚かさに向けられている。

自戒の意味も込めて彼らの愚行をご紹介していくので、面白そうだと思ったらぜひ視聴してみてほしい。

以下にバンダイチャンネルのリンクを貼っておく。

初回お試し無料で全話見られるので、少しでも気になったら気軽に見てほしい。ちなみに1話は登録なしでも視聴可能だ。


『PUI PUI モルカー』はきんだーてれびで放送されている子供向けアニメだ。

「モルカー」という名前を初めて目にしたときは中国版のマリカーかと思ったのだけれど、まあそんな事はなく。

単純に「モルモット×車」だからモルカーと呼ばれているのであった。

この、何を考えているのかよく分からない表情もそうなのだけど、車輪がついているのにヨチヨチ歩きなのが何よりも可愛らしい。

見ているだけで頬が緩むような愛くるしさで、疲弊した社会に癒しを届けよう。そういうコンセプトで作られた作品だと思って視聴したのである。私は。

ところが現実は非情だ。

モルカーは可愛い。この上なく可愛い。そして癒される。のだけど、それを扱う人間が途轍もなく愚かなのである。

信号無視による渋滞誘発、モルカーを盗難する銀行強盗、炎天下にモルカーとペットを放置して彼らを危険にさらすドライバー。

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引用:PUI PUI モルカー【公式】

ひどい。ひどすぎる。一体モルカーが何をしたというのか。どんな罪を犯せばこんな憂き目に遭うのか。動物が不条理に痛めつけられる場面は、思わず目を覆うほど苦手だ。

これ以外にも運転席からゴミをポイ捨てしたり、NISSANも裸足で逃げ出すような手放し運転を披露したり、初心者マーク付きのモルカーに無茶な改造を施したりと、散々な有様である。

愚かな人間のしわ寄せを食らうモルカーのことを思うと同情を禁じえない。これで何も思わない人間がいたら、そいつの血は間違いなくおかしな色をしている。

だから『PUI PUI モルカー』を見た大人たちは言うのである。人間は愚かだと。


「何のために生きているのですか?」

こう聞かれて即座に答えられる人は中々いないだろう。このように人間は、決められた目的を持たずに存在している。

フランスの哲学者サルトルは「人間は自由という刑に処せられている」と言った。

定められた目的がない以上、我々人間は、どう生きるか、どうありたいのか(目的)を自分で探さなくてはならない。どんな生き方をしようと“自由”だけれど、行動に伴う責任は果たす必要がある。

モルカーを運転する人間は、しばしばモラルのない行動を起こすが、そこに責任が伴うことを忘れている気がする。

たとえば第1話『渋滞はだれのせい?』で信号無視をして渋滞を引き起こした若者は、最終的に警察のお世話になった。

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引用:PUI PUI モルカー 第1話| バンダイチャンネル|初回おためし無料のアニメ配信サービス

あまりにも極端な例だけれど、自分の意思で起こした行動は少なからず周囲に影響が出るし、その責任が報いとして跳ね返ってくることもある。

我々人間は、それを肝に銘じて生きなくてはならない。

『PUI PUI モルカー』を視聴してきて、最も愚かだと思った人間が第4話『むしゃむしゃおそうじ』に登場するドライバーである。

こいつは愚かという概念をジェット機で突き破ってきた、もはや“クソ野郎”としか言いようのないやつだ。

モルカーのTシャツを着ているくせに、窓からポイ捨てしたゴミを自分のモルカー(テディ)に食べさせているのである。

自分のモルカーに1ミリも愛情を注いでいない、ファッションでモルカーを乗り回すダメな男だ。本当のモルカー乗りではない。

今のモルカーブームで私が恐れているのは、この第4話に登場するようなファッションでモルモットを飼育し始める人が急増することだ。

実際にモルモットを飼育している方がこんなツイートをしていた。

飼育コストがかかることは当然として、本当にモルモットを飼いたいなら、小動物を診察できる動物病院にアタリをつけてから迎え入れてほしい。

モルモットに関わらず、怪我や病気で苦しんでいるのに治療を受けられないのは可哀想である。「診てもらえる病院がないなら諦める」くらいの気持ちでいた方が、不幸なモルモットを増やさずに済む。

モルモットを迎え入れるかどうかは各々の自由だけれど、自分の意思で起こした行動の責任は果たさなくてはならない。

「思ったより大変だった」からといって簡単に投げ出すような真似は絶対にやめてほしい。モルモットが頼れるのは、飼い主のあなただけだ。

数ヶ月後、飼育放棄されたモルモットが保護施設に溢れ、現実でも「人間は愚か」だと非難の声が上がらないことを切に望む。

ここまで人間は愚かだの、自由という刑に処せられているだの、ぐちゃぐちゃと書き連ねてきたけれど、とにかく言いたいのはモルカー可愛いである。

『PUI PUI モルカー』には、今回お話したこと以外にも小ネタがたくさんあり、YouTubeやTwitterで他の人の考察を読んでいくのも面白い。

冒頭の繰り返しになるけれど、初回お試し無料で全話の視聴が可能だ。気軽に見て、人間の愚かさとモルカーの愛らしさをこの目で確かめてほしい。


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