絵本「ボタンをかけちがえたら」〜くぼみさんから家族へのものがたり〜
「身近な人に伝えたい想いがあっても、距離が近いからこそ伝えるのが気恥ずかしい」「相手が子供で、伝える手段が限られている」そんなことは、ありませんか。
ライターやイラストレーターが集まるチーム「身近な人へのものがたり」は、インタビューで汲み取った想いをベースに、相手に想いが伝わる本を制作・販売*します。本の制作依頼だけでなく、シナリオライターやイラストレーターとしてチームに参加することも可能です。
今回紹介するのは、絵本「ボタンをかけちがえたら」。保育園に通う主人公・ぼったんが、ボタンをかけちがえることからワクワクする空想の世界へ飛んでいく本作を通して、作者の久保みのりさんが家族へ伝えたい想いとは——。
*モニター募集は終了しています
**本編はページの最後から観ることができます
「まちがえること」は、わるいことじゃない
——物語は保育園が舞台。主人公のぼったんが、ボタンをかけちがえることを繰り返して進んでいきますよね。“ボタンのかけちがえ”に注目した理由を教えてください!
私の娘が1歳のとき、一生懸命パジャマのボタンをかけようとしていたことが印象に残っていて、この物語をつくりました。
一般的に、ボタンをかける練習を始めるのは3歳からと言われています。ですが、娘は大人の手つきを真似てボタンをかけようとしていました。ボタンはかけられませんでしたが、「やってみたの?えらいね」と褒めるとニコニコしてくれたんです。
——「挑戦することは素晴らしい」ということでしょうか?
そうですね。娘の様子を見て、とにかくやってみることにレベルも年齢も関係ないんだと思いました。そして、挑戦に失敗はつきもの。成長とともに娘が、失敗を恐れて挑戦しなくなるのではと想像して、絵本として今の気持ちを残したくなったんです。
——とはいえ、失敗は怖いですよね。どうすれば、失敗が怖くなくなるのでしょうか?
私自身、空気が読めない性格で。よかれと思って行動した結果白い目で見られたり、とっぴなことをして変な人だと避けられたり、失敗だらけの恥ずかしい人生を送ってきました(笑)。
幸運だったのが、大学で自分を受け入れてくれる友人に出会えたことです。「間違っちゃっても、友だちが笑ってくれる」だからこそ、挑戦するハードルが下がりました。
絵本でも、最後に大人が登場してボタンをかけちがえた主人公を受け入れてくれます。誰かに受け入れてもらえることが、失敗が怖くなくなる方法だと思っているので。
——「受け入れてもらえるから、失敗しながらでも挑戦していこうよ」ということですか?
そうですね。あと、失敗自体が何か新しい発見や出会いにつながることもあるので、「間違えること」を「おもしろい」と感じてもらえたらいいなと、ボタンのかけちがえで主人公が変身するストーリーになっています。
一方、社会に出ると「出る杭は打たれる」のも事実。保育園で娘は集団生活をしていますし、夫は上司への忠誠や献身が求められる職場で働いています。「間違いがおもしろい」だなんて、許されない環境にいるのかもしれません。
それでも、娘をはじめとした自分の家族には「間違えることは悪いことじゃない」「間違いがおもしろいこともあるし、人生は悪くないよ」とメッセージを送り続けたいんです。
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——絵本では、ボタンをかけちがえた主人公がいろんなものに変身しますよね。この展開にこだわった理由はありますか?
集中して読んでほしかったからです(笑)
子供って、変化がないとすぐに飽きちゃうので…。娘が知ってるもの、これから知るであろうもので「何が出てくるのか」ワクワクするような物語をつくりたいと思いました。
娘が好きな絵本「ちゅうちゅうたこかいな」を参考にしてはいたのですが、最初はつまらないオチばっかりで…(笑)。作画担当のお皿さんにアドバイスをもらって、おもしろくなりました!
お皿さんが「くぼみさんならもっと奇想天外なオチを設定できるはず」と気持ちを高めてくれたおかげで、本作品ができあがったんです。
できあがって娘に読み聞かせると、すごく気に入ってくれました。ひとつひとつのオチで声を上げて反応してくれて、嬉しかったですね。
——かわいい(笑)。お子さんの好きなものを詰めこみましたか?
自分が小さいとき好きだったもの・憧れていたことも、しっかり詰め込みました。空を飛びたいとか、ふわふわの雲をお布団にしたいとか(笑)。
オチを考える際に、娘の見ている景色を想像するのが楽しかったですね。人や動物、食べ物、乗り物、自然、初めて見る世界のすべてが気になっているんだろうなと改めて感じました。
——お子さんは、特にどんなところを気に入っていましたか?
まず、保育園という設定にテンションが上がったのではないかと(笑)。園児さんが出てくるシーンでは「これは◯◯ちゃん」「これは◯◯くん」と、実在するお友だちの名前をキャラクターにつけて遊んでいました。
食べ物が登場すると、絵をつかんで食べる動作をしたり。飛行機が登場すると、一緒にブーンしたり。一番のオチのシーンでは「わああ」と声を上げていました。完全に、空想の虜です(笑)。
あと、これは関係があるのかどうか怪しいのですが、最近は私のパジャマのボタンをかけようとしてくれます。
——ボタンが気になってきたのでしょうか。他に何か変化はありましたか?
「ママがつくった絵本だよ」と繰り返し読むことで、絵本を一緒に読む習慣も戻ってきたように思います。寝る前にいろんな絵本を一緒に読むようになって、彼女の語彙が増えていると感じられるのが、すごく嬉しいです。
夫をはじめとした家族も、絵本を気に入ってくれて。「おもしろい」「今後も頑張って」と応援してくれるので、絵本をつくって本当に良かったです。身近な人たちの中に、物語がふわっとでも残るよう今後も読み続けます。
取材・文:久保みのり(自作自演😂)
(絵本「ボタンをかけちがえたら」作画:お皿)
絵本「ボタンをかけちがえたら」を、試し読みしたい方はこちらへどうぞ👇
動画制作:たね
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