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【読書記録#12】安全地帯から社会の穴を考える~ロストケアを読んで~

お疲れ様です。穂南です。
今日は映画化されたロストケアを読みました。

舞台は介護現場。誰にもばれずに進行していた連続殺人。それに気づいた検事と犯人の対峙が描かれています。なぜ、彼は殺人を行ったのか?悪いのは彼だけなのか?



私は先に映画を鑑賞してから、原作を読ませていただきました。
映画と原作では描き方に違いがありどちらも楽しむことができました。

私はこの本を初めて本屋で目にしたとき、直感的に「この本は読むべき本だ」と思いましたが、読み終えた今「直感は間違っていなかった」と身に染みています。

僕にはこれ以上、何をがんばればいいのか分かりませんでした。この時、僕は思い知ったんです。この社会には穴が空いている、って。

小説の中の話ですが現実に通じるものがあり、とても考えさせられる話でした。
私は看護師であり両親はまだ元気な、いわゆる『安全地帯』から『地獄』の人々を見てきたからこそ、刺さる部分が多かったです。

刑務所に入るほうが立派な生活ができると窃盗を繰り返すおばあちゃん、育児と介護に自分を追い込まれてしまうママさん。いつ自分が『地獄』側に行くかもしれないのに、人はそちら側に行くまで他人事のように感じていることにこの本を通して気づきました。


果たして、犯人だけが悪かったのか?
制度が悪いのか?それとも社会そのものが悪いのか?

介護保険によって介護はビジネス、資本の理論の上に乗せられた。それはつまり、助かるためには金が必要になったということだ。

私は一人一人の意識の低さが原因だと考えています。少子高齢化であることは、誰しも知っています。しかし、自分が介護する立場や高齢になるまで考えることから逃げているから、頼る先がわからないし準備ができないのだと思いました。そして結果的に自分が追い込まれてしまう最悪のパターンに陥ってしまいます。

制度がもっと良くなればいいことですが、そこに期待するよりもまずは自分自身がどうするか。『こんなはずじゃなかった』となる前に、まずは考えておく必要があるんだなと再認識しました。

一人でかかえこまずに頼れる先がある、相談できる人がいるって、生きていくうえでとても大切なことだなと思います。

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