ガンバ!銀ちゃん!

「マスターズを見ています」

闘病中のKI銀次郎から

朝早くメールが来た。

今年のマスターズは

84年の歴史上初めて

秋に開かれている。

アゼリアはs位咲いておらず、

新型コロナの影響から

無観客で行われている。


マッハで飛ぶティショット、

ピンをデッドに突くセカンド、

Sカーブを読み切ったパット。

人間業とは思えない数々の

スーパープレーにも

歓声はおろか拍手ひとつない。

とても静謐な不思議な雰囲気だ。

しかし芝の美しさは春同様、

緑の絨毯が敷き詰められている。


「最初に打ったレジェンド、

ゲーリー・プレーヤーの

85歳とは思えない素晴らしい、

ショットに唸りました」

盟主の祭典、マスターズでは

オノラブルスターターと言って

過去の偉大なチャンピオンが

大会記念の第1打を放つ。

伝統を重んじ讃えるのだ。


プレーヤーとニクラウスに続き、

現役の名選手がプレーしていく。

松山英樹やタイガー・ウッズも

ミケルソンやスピースも

マキロイやデシャンボーも

ケプカやデイやファウラーも

優勝した者だけが着られる

グリーンジャケットを夢見て

闘志をみなぎらせていく。


「マスターズでは信じられない

凄いドラマが必ず起こる。

最後の最後まで目が離せない」

ゴルフ好きの看護婦さんを相手に

ゴルフ談義に花を咲かせる

苦しい治療を忘れる愉しい一時。

ゴルフの神様となった

中部銀次郎を敬愛する彼は今や

仲間から「銀ちゃん」と呼ばれる。


さあ、マスターたちとともに

銀ちゃんも試練を耐えに耐え

すべてを乗り越えて寛解という

グリーンジャケットを着るのだ。

頑張れ、銀ちゃん!ガンバ!