東太郎とカラス

マリア・カラスに魅せられ
彼女のすべてのオペラの
歌とシーンを覚えしまった彼は、
今や音楽家に演奏指導をし、
ヴォイストレーナーまで行う。

天才肌の輪嶋東太郎さんに
マリア・カラスのことを、
オペラを聴かない人たちや
カラスをよく知らない人に
たっぷり講演をしてもらった。

ギリシャ系アメリカ人として
1923年ニューヨークに生まれ
アテネ王立歌劇場でデビュー、
並外れた歌唱力と心理描写の演技で
1950年代のオペラ界を席巻した。

「イタリア語がわからなくても
物語の筋がわからなくても
カラスの歌声ですべてがわかる。
彼女の演ずる主人公に感情移入でき、
感動の嵐が渦巻いてしまうのです」

「ルチア」「ノルマ」「トスカ」など
ハイライトシーンの彼女の歌を聴き、
秘話を入れながら解説してくれる。
噺家顔負けの絶妙な語り口と内容に
彼の講演は果てしなく楽しい。

東太郎さんのような
天賦の才を持った人が
もしも音楽評論家であったなら
多くの人がオペラ好きになるだろう。
そう思ってやまない一日だった。