雨の雫
朝から雨が降っている。
それもずっとかなりの強い雨だ。
外を眺めると、1つの雨露は30cmもの長さがある。
その雨露が次から次へと連続して灰色の空から降ってくる。
2時前になったらスノウベルに行って、
ギターとベースのアンサンブルを聴きに行こうと思っていた。
でも、この雨に怖じ気づいて、部屋に籠もっている。
堀江敏幸の小説をぼんやり読みながら。
ステレオからはエンリコ・モリコーネの
ニューシネマパラダイスのメインテーマが流れている。
すぐに愛のテーマが流される。
映画のワンシーンが蘇り、涙が出そうになる。
隣の庭の柿の木から雨の雫が落ちている。
熟した赤い実に、いつも来ているヒヨドリの姿がない。
雨の音は聞こえない。
雨の雫と流れる音楽以外、時が止まっているようだ。