昆虫食の世界

「蝉のフルコースを食べたよ」

三宅直人氏は敬愛する生物ライターだ*。

「蝉のさなぎを使ったポタージュや

蝉の唐揚げなど美味しかったよ」

微笑みながら平気な顔で言ってける。

「ムムッ」と後ずさったが、

考えてみれば食べられそうである。


「昔からイナゴの佃煮はあるし、

長野では川のザザ虫を唐揚げに、

九州ではスズメバチの幼虫を

鉄板焼きにして食べる。

中国ではゲンゴロウも食べるし、

蝉だって食べている。

アフリカでは蟻も食べる」


でもまだまだ日本では

虫を食べることに

抵抗があるのではないか。

そんなことを思っていたら、

コオロギを食べることが

ニュースになっていた。

養殖のコオロギである。


養殖をしている人は

コオロギの餌をドングリから

アーモンドに変えたら

甘くなって美味しくなったという。

『広島こおろぎ』なるふりかけは

お好み焼きで重宝されている。

唐揚げは居酒屋の人気メニューだ。


昆虫食について三宅氏が断言する。

「未来の人間の世の中は、

虫が大切なタンパク質になる。

だから今のうちにいろいろな

研究をしておく必要もある。

虫を食べることに抵抗があっては

生き残ってはいけない」


未来に向けて本も多く出ている。

内山昭一著『昆虫食入門』では

「アブラゼミはナッツ味」が副題。

三橋淳著『昆虫食古今東西』は

世界の昆虫食がわかるし、

デイビッド・ウォルトナーの

『昆虫食と文明』も名著。


もはや昆虫はありがたい

人間が生きていくための

サバイバル食材なのである。


※三宅直人氏のブログ『ボーダーガーデニングと庭の事件簿』は http://bordergardening333.blog.fc2.com/