青々とした田んぼ

炎天下に田んぼが広がっている。
青々とした稲が風に揺れている。
稲は緑なのに青に見えてしまう。
稲の穂がどれも頭を垂れている。

穂には米の籾があることがわかる。
いくつの籾がついているのだろう。
ひとつの穂からわずかの米粒だ。
とても貴重な米粒なのである。

「ご飯茶碗にたったひとつの
米粒も残してはいかんよ。
ちゃんとすべて食べなきゃ、
お百姓さんに叱られるよ」

田舎の祖母の言葉である。
祖母の顔は真剣だった。
お百姓さんは祖父も含まれる。
祖父はただ笑っていた。

いまもご飯を食べるときは
一粒たりとも残していけないと思う。
青々とした稲を見ても
祖母の顔が蘇ってくるのだ。

青々と なびく稲穂に 祖母思う  京太郎