満月とかぐや姫
暑い日中が終わり
ようやく涼しくなった夜。
そろそろ眠るかと
寝室のベッドに横たわる。
ふと窓から空を見上げると
満ちた月が煌煌と光っている。
ずっと雨か曇りだった。
久しぶりに見た月が満月だった。
満月の光は驚くほど明るい。
隣の屋根はほの白く見えるし、
木々の輪郭もはっきり見える。
人の顔さえもわかるだろう。
だから雲霧仁左右衛門は
満月の日におつとめはしない。
新月に押し込みをするのだ。
とはいえ、満月は美しい。
白く輝く8月の満月。
周囲の空は群青色だ。
右横には赤く輝く星、
ジュピターを侍らせている。
竹取物語では8月の満月に
かぐや姫は月に帰ったという。
月の光の道を上っていった。
その日が今夜であれば……、
かぐや姫の横顔を拝めただろうか?